大予言
暗い地下室。数本の蝋燭の火が揺れるのは彼らの息遣いのせい。
揺れが収まると、ハッキリと浮かび上がる二人の男の顔。
一人は老人。一人は若者。二人の関係は見た目そのまま師匠と弟子である。
ただ、特筆すべきはこの老人が預言者だということ。
そして今、大予言が行われようとしていた。
「う、ううううう!」
「先生!」
「う、くくくううううう!」
「ああ、先生!」
「あああああああぁぁぁ!」
「ついに大予言が!」
「うああああああぁぁぁ…………おっぱい」
「先生!?」
「ふう……」
「いや、先生! 何をやり切った顔をしているんですか! 今のが予言ですか!?」
「左様……上に行き、他の弟子たちに伝えるがよい」
「できるわけないでしょう! ふざけないでくださいよ!」
「しかしだな、他に何も浮かばないのだ。女の、若い女のおっぱいおっぱい」
「それはただ単に胸が見たいだけなんですよ! もっと集中してください!」
「違う! 触りもしたい!」
「おい、先生!」
「おいって……しかし、怒鳴っても無理なものは無理なのだ」
「はぁ……じゃあ、わかりましたよ。ちゃんとした予言をしたら
私が女性を先生の前に連れてきますよ」
「本当か!?」
「ええ。とても嫌がるでしょうけど」
「とてもなのか……」
「とてもです。さあ、はい、わかったらちゃんと予言してください」
「ふむ、よかろう。ではいくぞむむむむむおおおおっぱいおっぱいぱいぱい」
「先生!?」
「これは呪文だ!」
「呪文なんて今まで唱えたことなかったでしょう」
「しっ! 集中しているのだ。ぱいぱいぱいぱいうううううう! うっ!」
「お、来ましたか!」
「闇だ……深い闇……そこは暗い暗い……」
「おおっ」
「路地裏で……」
「んん?」
「三千円でおっぱいを見せてくれると」
「ジジイ!」
「なんだ、また文句か! ワシの命も残り少ないというのに
こんな地下室に入れてうう、ゴホッガホッ!」
「もう、頼みますよ先生……私だって嫌なんです。
でも最近の先生の色ボケぶりは目も当てられないので
他の弟子たちにはとても見せられないんですよ」
「ううひどい弟子だ……ここは暗い……狭い……」
「せ、先生……」
「イヤらしいことするにはぴったりの場所だぁ……」
「クソジジイ……」
「そのために頑張るぞううううううううむむむむパイパイポむううう!」
「先生……あ、そうだ! まずは年代から行きましょう!」
「1999年……」
「おお、いいですよ! それで!」
「路地裏から……」
「駄目です、空からにしましょう!」
「空から一陣の風が吹き……」
「おお、その風が町や人をどうする!?」
「女子高生のスカートを捲り」
「捲らない! 出しちゃいましょう! 空から! 恐怖の!」
「恐怖の女王様が現れ、鞭というご褒美を」
「男! 大王にしちゃいましょう! はい、良いですよ!
あとはこっちで付け足して、読み手が解釈するので、はあああい完成!」
「う、うううううブルセラショップ、ガールズバー、キャバクラ、コンカフェ、パパ活……未来は……素晴らしい……」
こうして、ノストラダムスの大予言は弟子たちの手により広まり、後世まで伝わった。
ノストラダムスの予言はその後も行われ
そのいくつかは予言の書に書き加えられたがそのほとんどが、おっぱい。
他にも聞きなれない言葉がありはしたが
しかし、その顔からしてヤラシイことに関係があることは明白であったので
余りの恐怖に気が狂ったとされ、そういった予言は書き記されなかった。




