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異世界へ逝き損なったニートと貧乏OLの同居生活  作者: 都々木 上ル
プロローグ 魂だけ漂流するに至った経緯
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運命のウェブサイト

オレは東京在住20代男性、現在無職。

元々大学に通うために上京したんだけど、大学はなんか思ってたのと違っててね、すぐ中退しちゃった。

そのまま地元には戻らず数年暮らしてるけど、実家がそれなりに裕福なもんで生活には困らない。

たまにネットを使って、できる範囲で稼いだりして悠々自適な生活を送っている。

(全国の苦学生&社畜の皆さんゴメンね☆)


その日も24時に起きたオレはゲームをしながら、ネットサーフィンを始めた。

無音は寂しいのでYouTubeで作業用BGMをかける。


真夜中でもセミが鳴き止まないこの季節、不快な湿気で前髪が額に張り付く。

1束100円で買った黄緑のゴムで髪をまとめながら、“次のページ”をクリックすると、なぜか知らないサイトに飛ばされてしまった。


『異世界へ逝きたい人集まれ!』


いや、ネット小説を検索していたはずなんですけれども…。


いかにも怪しいサイトだったけど、読書好きのオレにとっては異世界ものは大好物なもんで、タイトルが気になって、開いてみることにした。

ウイルスに感染するなら、それはそれ。




そのサイト曰く、

“満月の夜の明ける時、古のインカ魔術の秘儀の発動叶えば、異世界へいざなわれ”るらしい。

ただし転生だから、この地球では転生元の人間は死ぬ、一方通行の儀式。なんだそうな。


一応オレも大人だしね、そんなものを心から信じた訳じゃないけど、偶然にもその日は満月だった。

「なんてタイムリーなんだ!これはやるしかないwww」

せっかく条件がそろってる訳だし、話のネタにでもと思ってやってみようと決めた。

何せ暇なんだ、オレは。



まずは、太陽をモチーフにしたらしい魔法陣を拡大印刷して近くのガラ空き駐車場に配置した。

次はパワーストーンの調達。

石の違いで行ける世界も変わるらしく選択は重要だ。

なんでもインカの力を秘めた石が必要らしいが…。



オレはここで首をひねった。

「いきなり南米産のパワーストーン調達とか無理だし。」


もう4時を回っていて、日の出まで1時間もないくらい。Amazonでも時間内の配達は無理なレベル。

諦めかけた時、ふと台所の調味料棚に目が留まった。


「あったぜ!!インカのピンク塩!!」

塩ってなんか儀式っぽいし、鉱物だし、ぴったりじゃん。

普段から自炊しててよかった~。日頃の行いの勝利だな。


塩だとどんな世界に行けるんだろうな~。干からびた世紀末みたいな世界かな。

サイト管理人さん、どの鉱物でどんな異世界行けるか書いてないのって、不親切だと思います。

もうちょい世界観作りこんでから投稿お願いします。


魔法陣の太陽フレア1つ1つに盛り塩っぽくインカのピンク塩を配置して、オレが真ん中に立ったら準備完了だ。

あとは待つだけなんだが、こんなバカみたいなことをやってるところを誰かに見られたくない。

そんなことを思っていたら、人の足音が聞こえてドキドキする。

そもそもここに駐めてある車は無いし、袋地だからこんな時間に人は来ないと思うけど…。

あ、足音遠ざかっていった。セーフ。オレはいつの間にか止めていた息を吐いた。



(場所をちゃんと選んで正解だったな~)


そんなことを考えている間にも空はどんどん白らんできて、ついに日の出の時間がやってきた。


その瞬間、目の前が金色に光ってそのすぐ後に真っ白に変わる。


(これは、マジで異世界行ける!?どうしよう、ドキドキとワクワクで心がぐちゃぐちゃ。遺書とか残してきた方がよかったかな。成功するとは思っていなかったしな。)


そんな事を考えながら、オレはゆっくりと意識を失っていったのだ。

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