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第21話 三人


無事ルーパーの進化を達成させた俺たちは、地上へと還ってきた。

外は真っ暗になっているが、23時だ。日が変わる前に攻略できたようだ。


進化したルーパーは翼が大きくなったことでバックパックに入らなくなったが、まだ飛べる訳ではないらしく、俺の背中にしがみついている。

「るぱるぱ」

背負う重さはそこまで変わっていないが、ステータスが格段に上がったので、前より頼もしい感じだ。


過去2回の攻略と同様に、今回も玉座から1つの宝箱と脱出用魔法陣が現れた。

宝箱を開けると、何らかの神様がもくもくと解放されていくのを見届けた後、一つの装備を手に入れた。

『風切丸』。敏捷の高さに応じて切れ味が増す効果をもつ小刀だ。

ナーシャが携帯するにはやや大振りで、現状では2人ともあまり使いみちがない。

一旦アイテムボックスに収納しておいた。


今回の攻略でナーシャのレベルは70に上がり、俺のレベルも1だけ上がった。

現在の二人のステータスはこうだ。


====================

アナスタシア・ミーシナ(24)レベル:70(EXP+200%)

加護:治癒神, 水神

性能:体力C, 筋力D, 魔力B, 敏捷C, 運G

装備:光魔の杖, スラッシュナイフ, 破邪のワンピース, 破邪のジャケット, 幸運のタリスマン

【スキル】

戦技:会心の一撃, 隠形, 緊急回避, ナイフの心得

魔法:初級(水雷風回治), 中級(水), 超級(回水), 身体強化支援, 治癒系魔法全体化, 界絶瀑布

技能:テレポート, ダンジョンマップ, 経験値等分配, 状態異常耐性, 回復促進, 言語理解

====================


====================

渡瀬太一(30)レベル:111(EXP+300%)

種族:人間

加護:魔神, 龍神, 八百万神

性能:体力S, 筋力S, 魔力S+, 敏捷S, 運E

装備:太極棍, 五行錫杖, フォースリンガー, アンダーアーマー, 祝福のカジュアル, 黒のロングコート, ウィンドシューズ, 幸運のタリスマン

【スキル】

戦技:龍の爪, 火事場の真剛力, 韋駄天, 隠形, 金剛, 超集中, 威圧

魔法:初級(火氷雷風土回治), イン★フェルノ, ドレインタッチ, バリアー, 念動力, 身体強化, 超魔導, 簡易錬成

技能:ステータス閲覧, アイテムボックス, テイム, 消費魔力半減, 起死回生, 超回復, 状態異常耐性, 念話, 意思疎通

【インベントリ】

アイテムクーポン(下×31/上×24/特上×4), 装備クーポン(下×10/上×1/特上×2)

製造くん(食糧/飲料水/快適空間/ユニットバス), 何でも修理くん, カプセル(ハウス/バイク/カー),

エクスポーション×2, エクスエーテル×2

魔素核(小×320/中×18/大×1)

====================


ナーシャが新たな魔法を授かることはなかったようだ。

そういえば、ダンジョン以外でも、ナーシャって呼ぶ方がしっくりくるようになったな。

呼びやすいし、本人も気にしてなさそうだから、まぁいいか。


「太一さん、攻略お疲れさまでした。今回は魔力が余っているので、テレポートで一気に家まで帰りましょう」

「それは有り難いな…。ねぇナーシャ。タイミングが合えば、一度アレクさんと話せないかな?俺もそろそろ顔を合わせておきたいかなと」

「そうですね、丁度紹介したいと思っていたところです。私もここ数日情報交換が出来ていなかったですし、明日、基地の衛星電話からコンタクトをとってみましょう。

それでは、今日は瀬戸基地に泊まることにしましょうか」


テレポートで一気に基地へと帰ると、シャワーを浴びてリフレッシュし、初のセントラルビルでの宿泊を体験した。


ベッドがふかふかすぎて、ちょっと落ち着かなかった。


--------------------------------------------------


翌日、昼前まで寝ていた俺は、出された簡素な昼食を食べて顔を洗うと、ナーシャに連れられて、情報棟の一室にあるビデオ衛星電話室までやってきていた。

昨日ナーシャがメールを送ってみたところ、日本時間の昼過ぎなら時間がとれるので是非とのことだった。

アレクさん、世界中を飛び回って、よっぽど忙しくしてるんだろうな。


「えーと…太一さん。アレクはなんというかちょっと、やや?テンションが高めなところがある人です。最初は少しビックリするかもしれませんけど、とてもいい人なので。宜しくしてあげてくださいね」

「そうなんだ。まぁブラジル人といえば陽気なイメージがあるし、むしろ話しやすくて助かるよ」

「はい…では繋ぎますね」


プルルルル

プルルルル


ピッと画面が点灯すると、褐色肌で刈り上げの、背の高そうな男性が画面に映った。

表情は明るく、確かになんだか陽気そうだ。


「オラ、アレク。こちらが、太一さん」

「どうも初めまして、太一といいま…」


「イェェェェェス!やっと話せたね!キミがタイチかい?イケてるじゃないか!こんなトンデモナイことになってしまった世の中で、同じ境遇のたった三人の兄弟。まさに魂のブラザー、それがキミさ!ナーシャから話は聞いてたよ~。ぶっきらぼうだけど締めるところは締める、ヤる男だってね!僕の名前はアレキサンダー・ド・リオ・サレス・オリヴェイラ。今年で32歳になったよ。ん?31だったっけ。まぁそんなことはどうでもいいね。歳も近いしアレクって呼んでね。僕もタイチって呼ぶからさ。タイチ、かなり強いんだって?ヒューマンがモンスターに滅ぼされないために、もう僕も世界中飛び回って忙しいのなんの。だから、キミには超期待してるぜ、ブラザー!」


「……お、おう。宜しく、アレクさ…アレク」

「アレク、私達は合流してから、既に日本のC級を2つ落としました。そちらの状況はどうですか?」

「イエスイエスイエス、ナーシャ!攻略おめでとう!ついに地球の神達を解放したってわけだね。大いなる一歩じゃないか!瀬戸基地の建設も順調だと聞いているから何よりさ。

僕は今アフリカに来ているんだ。現地のダンスタ(ダン協スタッフ)たちと協力して、各国に1つずつだけど、小さな魔導兵器工場を設立して回っているところさ。僕のスマホは魔導技術を取り入れた特別製に改造したから、今後はなにかあったらいつでも連絡してよね!」


「わ、分かった。ところで、アレクは一人で大丈夫か?危険があるようであれば、ナーシャの力を借りれば手伝いにも行けると思うが」

「ありがとうタイチ!ありがとう!その気持ちがとても嬉しいよ!でも大丈夫、僕もどちらかというと技術系だけど、戦闘もそこそこやるんだぜ!ジョブでいうなら、魔銃士ガンスミスってとこかな。なかなかイケてるだろ?それに、世界を飛び回る内に、僕ら三人みたいにガチャによる加護を授かったわけではないけど、幾つかのスキルをもった『ガチャ勢』が3人仲間になってくれたからね。また紹介するよ。キミたちがロシアのA級を攻略する際には、僕も絶対メンバーとして加わるからね、その時一緒に戦えるのを楽しみにしてるよ!」

「分かったわ、アレク。それで今後だけど…」


すごい勢いのトークに圧倒はされたが、なるほど、気のいい人のようだ。

しばらく話していると、もう何年来の友人かってくらい、打ち解けて話せるようになった。

これがコミュ力か…。

ちょっと高すぎる気もするけど。


活発な情報交換が一区切りついて、そろそろ電話を切ろうかという雰囲気になったところで。

ふとアレクが声のトーンを落とした。


「そういえば、一つ気になっていることがあるんだ。最近、中国や東南アジアの一部地域で、『奉魔教会』を名乗る集団が、『僕が作ったものではない魔導兵器や魔導機械』を使った奇跡を起こして、信者を増やしているとか。燃費は相当悪いらしいんだが、強力らしい。そこまでなら、『ガチャ勢』の誰かの仕業かな、で済むんだが…。

まぁ!あくまで噂だけどね!また何か分かったら連絡するよ!じゃあ2人とも、チャウ!」


ブチッ


唐突に電話が切られた。


こうして彼との初コンタクトは、嵐のように始まり、嵐のように終わった。

しかし、世界を飛び回っている彼の話は、とても有益だった。


最後のは何だか不穏な情報だったが…ま、こんな世の中じゃ、こういうカルトは生まれやすいかもしれないな。アレク以外に魔素核加工技術をもった人間がいたことは驚きだったが。


ナーシャも何か思う所があったのか、しばし考え込んでいるようだった。


------------------------------------------------------


「で、ナーシャ。今日はこれからどうする?また次のC級に向かうか?」


セントラルビルから出ると、かなり長いこと話していたらしい。夕方近い時間になっている。

特にその後の予定は決めていなかった。


「そうですね…そろそろ、新たな仲間の発掘もしておきたいところですし、加護者養成所に行ってみましょう」


数日ぶりに訪れた加護者養成所には、大勢の人が出入りしていた。

日本国内の加護者もどんどん見つかり、今は10人の加護者がここで訓練を積んでいるようだ。

そのうちの9人は、レベルが上がれば即戦力となる加護もちであり、魔導兵達と共に訓練、演習に明け暮れているとのことだ。


残る1人はむしろ、どんな加護なんだろうな…。

ひとまずナーシャと共に、9人が訓練場で修練に励む様子を見に行くことにした。


「太一さん、『閲覧』では、彼・彼女らはどうですか?」

「うーん、たしかにバランスの良い加護や性能が揃っているけど…」

「いずれA級やS級に挑めるほどの逸材かと言われれば・・ですか。難しいですね」

「俺だって挑んだことはないから、分からないがね」

「今後発現するスキル次第では、攻略メンバーにスカウトすることも考えられるかもしれませんね。…行きましょうか」

「あぁ」


訓練場を出ると、目の前から、夕陽を背に、トボトボと中年の男性がこちらへ歩いてくるのが見えた。


なんか見覚えがあるような…。


男性の方もこちらに気がついたのか、顔を上げると、こちらと目があった。

…ん?


「わ、渡瀬君じゃないですか。こんな所で会うなんて。久しぶりですね。息災でしたか」


なんだか、本当に久しぶりに会った気がする。


彼は、元バイト先の、コンビニ店長だった。


ついに三人が揃いました。

ちょっとオーバーヒート気味のキャラですが、歓迎してもらえると嬉しいです。

ステータスで、初級〜超級魔法をまとめてみました。

回復のヒールと治療のキュア、合わせて治癒系です。分かりづらければまた変更するかも。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 外国だと、さん付けは最初から無いんじゃないかなぁ?
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