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砂と塩  作者: ヨシトミ
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第43話 それで満足か

第43話 それで満足か


「銀鷹丸さん…!」

「嫁は下がってなさい」


銀鷹丸さんは敵に発砲しながら言った。

その口調は「銀鷹」の研修の時よりもずっと厳しかった。

弾は敵のひざに命中し、敵はその場に倒れ込んだ。

次の発砲で彼女は右手を奪った。

そして彼女は敵に言った。


「帰ったら父に伝えてください。

あなたの指図した事で、道具は傷つき、手を汚し、

使い物にならなくなった、皮肉ですわね…それで満足か!」


さすが俺の主人、惚れ惚れするよ。

こんな時でも少しも輝きを失わない。


「ホークスさん、ごめんなさい…私、人を撃ってしまいました。

こんな主人を持つのは、妻としてさぞ嫌なことでしょう。

どうぞ、別れてくださいな…」


そこまで言うと、銀鷹丸さんは顔を歪めて倒れ込んだ。

俺もさすがに血を失い過ぎて、もう意識があやしい。

それでもなんとか這いよって、彼女に手をかけた。

そして、残った力を振り絞って抱きすくめた。


「断る…! たとえあんたが何人殺しても、

俺があんたを愛したってことは事実、

嫌いにでもならない限り、変えられないんだよ…!」


俺は銀鷹丸さんが微笑むのを見た。



目が覚めると、知らない窓があり、海も見えなかった。

とりあえず病院に収容されたのはわかった。


「秀忠…!」


姉が嬉しそうに、いそいそとナースコールを押した。


「ここ、どこの病院?」

「田中病院やで」


田中病院とは、ムラから少し内陸へ行ったところにある総合病院だった。

地域の病院はここしかなく、

俺も姉も母も、よしのりもおっちゃんも、みんなこの病院で生まれている。


「あんたらほんまに頑丈やなあ、

あんなけ撃たれてなんで生きとんねん」


姉はよしのりとおっちゃんはじめ、安田と和田さん、

ムラの男たちも別室に入院していると、苦笑しながら教えてくれた。

俺だけは別に、ナースステーション前の混合病室だった。


「姉ちゃん、銀鷹丸さんは…?」

「赤さんは一応身体は女やから、女のもんの部屋におるで」

「あと、れいなんこさんは?」


銀鷹丸さんと同じ意味で、俺はれいなんこさんの扱いも気になった。

彼もまた身体は女のはずだ。


「れいなんこさんて?」

「安田と和田さんと一緒にいた、すごい訛りの美少女」

「ああ、あの子? あの子は赤さんと2人部屋やで」

「…あいつら…銀鷹丸さんも、治ったら捕まる?」


姉は「ないわ」と笑い飛ばした。


「うちらのムラは他のムラと離れとる…陸の孤島や。

昔から警察もムラにだけは手出し出来ん。

しかも赤さんのお父さんちゅう、上級国民様が関わっとる。

何もかんもみいんなみいんな裏側での出来事や…」


それから間もなく、トイレや洗面に立てるようになり、

フロアや売店にも出るようになったが、

姉の言う通り、病院に警察はひとりも来ていなかった。


“申し訳ない。今、ケガで病院に入院している”


俺はベッドから連合掲示板に書き込んだ。

入院中、暇だったので合戦には参戦し放題だった。

マグパイさんはまだ連合に居座っている。

夜伽さんはいなくなっていた。

すぐにゴールデンルーラーさんから個人チャットが来た。


“ホークスさん、留守中申し訳ないけど、夜伽さんを除名にしました。

あれだけチャットで荒れられるとさすがに…”

“了解、ありがとうございます”


古参連合員たちの移動、ふく豆さんの脱退、

夜伽さんの除名で連合員の人数はさらに減り、

わずか15人になっていた。


“それと、マグパイさんが勧誘に動いていますが…”

“連合としては参戦率が満たせれば、

不足分をどこかで補充できれば、それでかまいません”

“了解、では参戦率の確認が取れ次第、招待を出します”


そうしてその晩、22時終わりに新しい人たちが4人やって来た。

さすがにマグパイさんの勧誘なだけあって、みんな戦力は高い。

マグパイさんからも勧誘した旨の連絡が来た。


“それからホークスさん、あと1名ですが、

クエイベ終わり、後衛に「SKY AVOVE」から呼んでいます。

参戦は1.5程度と落ちますけど、

戦力も1000万超えと絶対強いです”


「SKY AVOVE」は比較的新しい連合だが、上位10位以内には入る。

上位の後衛…難しい問題だね。


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