52、シャインがクラスに合流?
「ローズ、じゃあ友達として応援するぜ!」
「アルフレッドが友達……」
「あ、もしかして無礼だったか? 悪い」
「いえ、私には友達はいないから嬉しいわ」
「はい? ローズ、何言ってんだ? シャラやルーク、それからシャインくんと仲良くしてるじゃねぇか。友達だろ?」
「あっ……そうね、確かに友達ね」
「もしかしたらアマゾネスには、友達という感覚がないのかもしれないけど、ローズは前世の記憶を思い出したからわかるようになったんだぜ。これも、いいことだぜ」
「ふふっ、そうね」
アルフレッドは、Sクラスのみんなを集めた。シャインくんも、なぜか寄ってきた。
「おっ、シャインくんもローズの印の話は知っているよな」
「えっ? あ、はい、カースさんがローズさんの記憶を思い出させて、封印を解いたら託されていた使命があったのは知っています。使命の内容は聞いていません」
「シャインの父ちゃんとローズは同郷らしいことは知っているか」
「えっ? 知らないです。ローズさんも日本人だったんですか」
「ええ、そうみたいよ」
「だから、ローズさんは父さんみたいなんですね。近くにいると安心する感じが……あっ、僕、失礼なことを! ご、ごめんなさいっ」
(それで手を握ってきていたのね、ふふっ)
「大丈夫よ。何か似た雰囲気があるのかもしれないわね。私も、マスターの店は居心地がいいもの」
そう言うと、シャインくんはホッとしたような笑顔を見せた。すぐにオドオドするから、シャインくんの笑顔を見ると私もホッとするわ。赤ん坊を泣かせないようにするのは、難しいものね。
「シャインくん、ローズの印は、その星を救ってほしいという神託なんだよ」
「えっ!? 星を?」
「あぁ、ローズは前世では、星の消滅が原因で死んだようなんだ。おそらく神々の戦争に、地球が巻き込まれて爆発してしまったみたいなんだ」
「ええ〜っ! そんな、ひどい……。じゃあ、父さんの前世の星がなくなったのですね」
「そうなんだ。だから、俺達は、怪盗アールを呼びたいんだ。あの怪盗は、時空を超えることができるし、不可能はないだろ? 呼ぶ方法を知らないか?」
シャインくんは、ふるふると首を振った。そして、あっ! と、何かを思いついたような顔をしたけど、また難しい顔をして黙っている。ふふっ、百面相ね。
「シャインは、いま、女神様に頼めばいいと考えたけど、ガツンと断られると思って断念したみたいです」
ルークが、シャインくんの百面相の解説をした。シャインくんは慌てている。
「ルーク様ぁ〜」
「シャインは思念がダダ漏れなんだよ。別に俺が覗いたわけじゃないよ?」
あーあ、シャインくんの目に、また涙が溜まってきているわ。あらら……。
「シャイン、そんなことで泣くなよー。男だろ」
ルークにそう言われ、口をへの字に曲げて涙を我慢しているようだ。すると、シャラさんが近寄っていった。
「シャインくん、涙がいっぱいになってるよー」
優しく頭を撫でられ、とうとう涙がポロポロとこぼれ落ちた。その様子を見てシャラさんは、キュッとシャインくんを抱きしめていた。
「やだ、かわいいー」
(なんだか、ペット扱いね。なるほど)
これが、男達の嫉妬の原因なのだろう。それでまたキツイ言葉をかけられて、それを見つけた女性が構いたくなって……。
私には、解決策は思いつかなかった。おそらく、マスターも、周りの人も、このことに気づいている。だが、本人が自分に自信が持てるようにならないと、どうにもならないことだ。
「うーん。じゃあ、明日からは、みんなで手分けして、怪盗の情報を調べよう。知り合った人に、聞いてみてくれ。有力な情報があれば、俺が働いている探偵事務所に来てくれ」
(えっ……探偵事務所?)
私が少し動揺したことに気づいたアルフレッドは、もう一つの案を出した。
「シャインくんの家の1階のバーでもいいぜ。マスターは伝言してくれるし、ルークは、ちょくちょく立ち寄るだろう?」
「アルさん、俺、ほぼ毎日行ってます。朝食時間はマスターはいないけど」
「伝言はきっちりしてくれるはずだぜ。王宮でも、あの店に伝言を頼むことになってるから大丈夫だ」
「わかりました。何か発見があれば、アルさんに伝わるようにします」
「なんだかわからねぇけど、楽しくなってきたな! 俺、冒険者仲間にも聞いてみる」
「バートンは、学校もちゃんと行けよ。それから、週イチでSクラスはホームルームしなきゃならないから、それも来いよ?」
「あー、うーん、覚えてたらな」
バートンは悪気なく、そんな返事をしていた。やる気がないわけでもなく……ほんとに自由人ね。
「ルーク、シャインくんをどうするんだ?」
「シャインは、すぐにイジメられるから、できれば一緒に居てあげたいんだけど……」
「そうだな。えっと今、何年生だっけ?」
「僕は、学年もクラスもないです。一緒に入学した人はみんな卒業したし、僕はすぐに忘れてしまうから、勉強したこともすぐ忘れてしまって……」
「なるほど、留年しまくってるんだな。成績評価は?」
アルフレッドがそう言うと、シャインくんは帽子の中をゴソゴソしていた。そして学生証を出してきた。
「シャインくん、そのモコモコの帽子はアイテムボックスなの?」
「えっ? あ、いえ……これは僕がうっかり狼にならないようにする魔道具なので、アイテムボックスじゃないです。でも、頭から取れないから、大事なものを入れています」
「耳を隠してかぶっているのかと思っていたわ。でも頭から取れないなら、蒸れるわよね」
「僕は取れないけど、母さんなら外せるんです。頭がかゆくなったら、父さんがシャワー魔法をかけてくれるから大丈夫です」
「へぇ〜」
シャインくんの成績を見ていたアルフレッドは、なぜか笑っていた。何? 変な笑い方ね。
「そうだとは思ってたけど、なるほどな、座学以外は全て評価Aか。冒険者の登録者カードも、見てみたいな」
「えっ!? えーと……」
「アルさん、登録者カードは個人情報ですよ。でも、アルさんの想像通りです。シャインは、守護獣としての能力は、ありえないほど高いです。まだ自分でコントロールができないから、ベアトスさんが特別に作った魔道具をかぶってるんですよ」
「えっ〜? シャインくんは守護獣なのー?」
突然、シャラさんが叫んだ。
守護獣といえば、精霊を守る存在だ。アマゾネスのある大陸では虎が守護獣をしている。王国の方は狼だったかしら。あ、さっき、うっかり狼にならないように帽子をかぶっていると言っていたわね。
「はい、僕は、守護獣の……たぶん、大人になったら里長を継がないといけないのです。いま、爺ちゃんが里長なので、次は父さんで、その次が僕……」
「シャラさん、シャインが大人になる頃には、シャラさんは生きていないので心配はいりません」
「そっかー。だよね。びっくりした〜。守護獣の役割は大人になってからよね」
そう言うと、シャインくんの頭をまたナデナデしていた。シャラさんにペット扱いされて、シャインくんは困った顔をしているが、されるがままになっていた。
「シャラ、守護獣をペット扱いしてると、精霊の加護が受けられなくなるんじゃないのか」
「大丈夫よ。シャインくんはまだ担当精霊はいないもの。ってか、ノーマンがなぜ、冒険者の言い伝えを知っているわけ?」
「俺は博識だからな」
「まぁ、とりあえず、解散だ。また明日学校でな〜」
「じゃあ、私は、ちょっと知人のとこに行くわ。またね」
私は、軽く挨拶をして、この場を離れた。
シャインくんが私の方を見ていたので、やわらかく微笑んだ。すると、小さな手を振ってバイバイをしてくれた。シャラさんにまだ離してもらえないようで、少し困り顔だったのが、かわいかった。
(さて、ミューに届けに行かなきゃ)




