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機械の心に花束を  作者: アルミニウム
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こんにちわ赤ちゃん

親戚の子供を可愛がることはしないことにしています。

親の愛情は特別でなくてはいけません。

私が下手に可愛がるより、親が特別愛してくれていると思って欲しいからですが、そんなこと口が裂けても言えません。


私は完璧である。

名前はロボプラムだ。

私が完璧である所以は、人でありながらロボットであるという二面性に他ならないだろう。

本来であれば完全に交わる事はない、ロボットと人。

よくサイボーグなどとSF紛いの物を引き合いに出す輩はいるが、あんな物は存在し得ない、空想上のものであり、この世で唯一の現実かつ完璧は私以外にあり得ない。

私こそがオンリーワンロボットなのだ。


前回、完璧な私はおっちょこちょいをしてしまい、子供の材料が足りなくなってしまった。

中身だけ出来上がって、ガワが出来ていない完璧足り得ないロボットになっていた。

最早、使えるものもなく、打つ手なしだと思われた。

しかし、そこは私。

流石、私。

そこらの一般ロボットとは一線を画する私は、狼狽えることはない。

クールロボット、それが私。

私は独創的かつ、エキセントリックな方法を用い、この危機的状況を脱したのだ。

流石私だ、ワハハのハだ。


「お父様、よろしいでしょうか。」


おっと、早速娘が私を、わ.た.し.を呼んでいる。


「はあい。なんだい、私の可愛い可愛い妖精ちゅあん。」

「...その気持ちの悪い呼び方をやめて欲しいのです。私のことはマコちゃんとお呼びください。」

「はいはい、分かったよ。完璧に可愛いパーフェクトなマコちゃん。」

「どうしても気持ちの悪さが抜けないのですね。そうそれは紅茶染みのように。とゆう事で紅茶です、どうぞ。」

「ああ、ありがとうマコちゃん。」


うーん、なんて出来た子なんだマコちゃん。


彼女はマコちゃん。

先の話から出ていた、私が造り上げた娘だ。

彼女は私と同様に心を持つ、ロボットでありながら人である存在、いわばニューロボットだ。

しかし、彼女はなるだけ私とは正反対になるよう造った。

性別、体格、知能、大まかな性格。

しかし、完璧であるというところだけは反対にはなり得なかった、テヘペロ。


女性で体の性格線は細い、周りに気を配れる優しい性格。

ついでにめっちゃ可愛い。

私とは違い、肌に継ぎ目はなく綺麗な流曲線を描いている。

目はつり目、鼻と口は必要ないから取っ払った。

私と違い、頭にはポニーテールを意識した、飾りが付いている。

因みにバナナと呼ぶと怒る、可愛い。

服も着せてあげた。

この子は清楚な娘になるという事で、純白のワンピース。

ワンピースは純白以外にあり得ない、それ以外は淫売と呼んでやる。

しかし、ピンクだけは許してやろう。

マコちゃんがピンクが好きだということに免じてだがね。


「申し訳ありませんお父様、私を椅子に乗せて頂けませんか?」

「勿論だとも、ああ勿論だともマコちゃん。いっそ膝の上に乗せてあげよう。是非そうしよう。」

「大変遺憾なのですが、私は気持ちの悪い提案を、文字通り目を光らせながらしてくる輩の膝上には乗らないと決めているのです。目のLEDの電源を落としてから出なおしてくださいませ。」


そう言うとマコちゃんは、自分で側の椅子によじ登った。

全く素直じゃないんだから。

反抗期でも可愛いよマコちゃん。


マコちゃん1番の特徴として上げたい事が、非常に背が低いと言う事だ。

頭の飾りを含めて、80センチ程しかない。

頭の飾りで5センチ稼いでいるので、実質75センチだ。

すっごく小ちゃい。

私は175センチだから、隣に並ぶと丁度1メートルの差がある。

頭を撫でやすくて凄く気に入っている。

マコちゃんは嫌がる素振りを見せるが、素直じゃないマコちゃんのことだ。

きっと気に入ってくれていることだろう。


まあ本当はもっと高身長にする予定だったのだが、先の話にあった通り、材料が足りなくなった。

そこで、機能は少しばかり削ることになるが、コンパクトにすることにしたのだ。

本来つける筈だった、『最強アームパワーアタッチメント』を泣く泣く外し、骨身を削る想いで『これで君も神になれる!?世界強制シュミレーター』を取り外した。

するとどうだろう。

あっという間に75センチマコちゃんサイズにまで小さく出来たのだ。


私は少しの落胆と期待を込めて造り上げたが、落胆などマコちゃんが目覚めた時から吹っ飛んでしまった。

それ即ち布団のように吹っ飛んだ。

神のごときマコちゃんは出来なかったが、女神のごときマコちゃんが誕生したのだ。


私は嬉しい。

マコちゃんが誕生した事が。

マコちゃんが私の子であった事が。

そしてマコちゃんを愛してあげられる私であった事が嬉しい。


マコちゃん、この世で一番幸せにしてあげよう。

私が必ず一番にしてあげよう。


だからワガママをたくさん言ってくれ。

たくさん悩みを言ってくれ。

私にお願いを叶えさせてくれ。


私にとってそれが至上の喜びだ。


「申し訳ありませんお父様、一つお願いがあるのですが。」


おお、早速きたな。


「なんだいマコちゃん、なんでも言ってくれ。マコちゃんの為なら私は例え火の中水に中。何処にいても何をしていても、全て投げ出して叶えてあげるとも。」


さあマコちゃん、君の可愛い声でお願いを言ってくれ!


「柱と土台が剥き出しの家で生活などしていては、何処の原始人かとあらぬ疑いをかけられるやもしれません。早急に床と壁を文化的かつモダンな物にしていただきたいのですが。」


「うん、ムリ。だって材料ないし。」


人には出来ることと出来ないことがある。

そして大口を叩くのもまた、人間にしか出来ないことである。


故に私は人間である、QED終了。






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