私の趣味はヨーロッパ
焦って適当になる。
分かりきった事だが、私はロボットである故に、力は強く精密な動きもできる。
いやロボットである故にという言い方は語弊があるか。
ロボットでも力が弱いものもあるし、荒い動きしかできぬ物もあるだろう。
要所要所に適した様に造られるのがロボットである以上、全てと仮定するのは完璧ではない。
正確にはそうある様に造られた故に、力は強く精密な動きもできるだ。
最も私は人としての造られたのに、人を超えた力を出すなんて馬鹿げた話だと思うんだが。
最早本末転倒、気軽に人と握手もできない状況になっている。
する相手もいないがね。
と、私はこの体のツッコミを入れるが、一人で全てをしなくてはならない今としては、私を造ったおバカにも感謝感激雨あられだ。
力もある、精密さもある私にこの施設を復活させるなどお茶の子さいさいだ。
まさに赤子の手を捻る、赤子の手を捻るなどゲドー君だな、チョベリバー。
と言ったところだ。
因みにだが、今の私は日常会話選択モード『アラサー』を選んでいる。
ついつい古い言葉を言いたくなるモードだ、そんなバナナ!
なぜこんな機能があるかは知らんが、私の頭脳がマヌケだと勘違いを受けそうなので、お口にチャックだ。
とまあ話が逸れたが、結論から言えばダメ施設だったココが、完璧な施設へと生まれ変わった。
何をもって完璧と言うかは難しいが、私の美的感覚から言えば完璧と言って間違いない。
内観は以前から変わりなく、中世ヨーロッパを意識したモダンかつウェルダンな出来だが、更にいくつかの家具を作った。
鏡の前には私の完璧なるフォルムを模った石像を二体。
そのポーズはついになる様に、私の記録にある最も美しい姿、ダブルバイセップスを決めている。
机は、記憶にある人間をモデルにした。
四つん這いをした人間のした背に肘を置いていると、少しばかりの優越感に浸れ、気分がいい。
私は人に造られたロボットである以上、私の親は人という事になるが、一切顔も見せない親を好きになる子供はいないだろう。
それどころか親と同じ種族の人間に憎しみを覚え、自分を人間だと思い出し自己嫌悪に陥ることもあるかもしれない。
最も私は人でもあるがロボットだ。
そんなバカなことは考えないがね。
とまあこれぐらいなものだ。
たったこれだけかと言われそうだが、私はロボットであるが故に、家具というものを必要としない。
椅子と机を作ったのも、人らしい事をしてみようと思っただけだ。
大した理由はない。
あとは精々使うこともないトイレを作ってみたぐらいか。
因みにだが、便座には考える人をチョイスした。
きっと彼は地獄ではなく、排泄物の行く末を案じていることだろう。
最も私は排泄などしないが。
つまり、私はここしばらく無駄な事をして過ごしていたという訳だ。
ロボットとしてあるまじき事だが、人である故に、と言い訳しておこう。
とゆうか私は先程から、長らく説明をしているが、一言も喋っていない。
とゆうか生まれてすぐ声を出してから、一言も話していない。
笑いもしない、泣きもしない、だがたった一人で笑っていたら恐怖だろう。
私は起きた事を二百年分は完全に記憶できるため、大爆笑な出来事を完璧に思い出すことができる。
故に、思い出し笑いの常習犯となり得るのだ。
そんな私が一切笑わないというのだから、つまりは非常につまらないという事に他ならない。
「ナンダカ、ヒマヲ、シテイマス。」
久しぶりに声を出した。
何だか片言外国人の様な言葉になっていた。
まずいな。
これは記録にある、二週間ぶりに外に出て、コンビニの店員の「温めますか?」に対して声が出ずに、「あ、、あ、、、。」としか喋れなくなる引きこもり現象の前触れに違いないだろう。
このままでは、コンビニ店員から苦笑いどころか、真剣に心配されて、咄嗟に「か、過呼吸で。」と嘘をつき、逃げる様にして家に帰ったはいいが、せっかく買ったものを忘れて帰ってしまった、位まずい事になるだろう。
これは、少し早いが、次のステップに行くべきか。
つまりは仲間を造るというステップ。
しかし、命を作る。
施設の力と私の頭脳があれば、命あるロボットなど楽勝優勝一等賞だろうが、そうして造られたロボットは私にとって何になるのか。
私は人に造られた。
私の記憶にあるロボット達は、同じ者から造られた以上、それは兄弟となるのだろうが、私が造ったとなれば、それはなんだろう。
…子か?
生まれ出でて三ヶ月、早くも子持ちなのか。
命をバカにしているとしか思えんな。
全く命を悪戯に造り、愛されず育った子供はどんな大人になるのか分かっているのか。
悪の道に進み人生を台無しにするかもしれぬというのに。
全くけしからん。
...とりあえず子育て用品でも造っておくか。
まずは哺乳瓶だな。