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機械の心に花束を  作者: アルミニウム
2/7

ロボット的これからの事

思いつく限りです。

これからする事、とゆうかやりたい事を考えてみた。


先ずは考えたのは、外に出ること。

これは是非とも最優先で実行したい。

私は兄弟たちの記憶を持っているが、兄弟たちの殆どは生まれ、自我に目覚めると同時に機能を停止してしまった。

だから私はこの小部屋しか知らないのだ。

外があるという事は知識としては知っているが、見たという記憶はないのだ。

記憶がなく、知識がない。

ロボットとしての本能が、知識を集めろと叫ぶのだ。


しかし、ちょっとした不安もある。

私は人になるべく造られたが、どこから見ても人とは程遠い姿をしている。

人は姿を重要視するという知識に従えば、私は受け入れられる事はないだろう。

下手をせずとも攻撃を受ける危険がある事は分かりきっている。

なれば、今は焦って外に出るのは愚策だ。

とりあえずは第一目標と定めておく。


第二案として、この施設を復活させる事がある。

外へ出ないならば、しばらくここで過ごす事が決定している。

なれば私はこの小汚い部屋で寝泊りをするわけだ。

しかし幾ら何でも汚すぎる。

壁の傷や、床に散ったオイル。

それでさえ許しては置けないのに、一体何なんだこの椅子の残骸は。

パイプ椅子と呼ばれる椅子の残骸だが、これにどんなダメな座り方をすればこんなゴミを生成できるのか。

本当に理解に苦しむ。

小汚いどころか大汚い。

こんな使い道のないゴミが置いてあるなんて、本当にダメな施設だ。


最低限の生活水準を満たせるように改造するのがいいかもしれない。

せめて電灯をつけよう。

私は暗闇でも目は見えるが、原始人でもあるまいし、光のない生活など現代の文化人として有り得ない。

うん、これは最優先事項として設定しておこう。


そして三つ目なのだが、この話をする前に少しばかり説明をしておこうと思う。

私はロボットだ、まごう事なき純度100%のロボットだ。

世間一般の常識として、ロボットは如何なる場合でも孤独を感じ得ない。

それは、ロボットには定められた行動しかせず、自分で考えて動く事はない。

つまりは自我や心といったものを伴わず運動を行うためである。

しかし、私は人でもある。

あくまでも体はロボットだが、心は人であれと造られた。

つまり私は人の心を持ち得ながら、鋼鉄の体に生きている。


おおよそ全てのロボットには理解できないだろうが、私は心あるゆえにある種のセンチメンタルを抱えているのだ。

たった一人で、誰にも祝福されぬままに生まれ、暗く汚いゴミ施設で生きていかなくてはならない。

この事実が私の心を突き弄るのだ。

このまま無口に生きて言葉さえ忘れてしまい、いつしか外への憧れも消えてしまうのでは、と思えてしまうのだ。

そもそも私は生まれたばかりなのだ。

いくら何万という兄弟の記憶を持とうが、記憶と心は結びつかない。

相応の時間を生きなければ心は成長できないのだ。

心は他者との愛で育まれるもので私は他者との繋がりを感じる記憶が一切存在せず、たった一人で朽ちていく記憶しかない。

こんな事で心が成長するだろうか、いいやしない。


まあつまり私が何を言いたいかというと、一人は寂しいという事だ。

とゆうわけで第三案として仲間を造りたい。

仲間というか愛を感じたい。

親愛友愛恋愛狂愛共愛敬愛、とにかく愛を感じたい。

私の人の心が愛を欲している。

誰かと話をしたい。

祝福をして欲しい。

心あるものと話をしてみたい。

目標として掲げるならば、心あるロボットを造ると言った所だろう。

まあ優先度では第二目標だ。


今したい事は出揃った。

優先度で行けば、施設の復活、その機能を使い仲間を増やし、どうにかして地上に出る。

とりあえずはそんな所か。

地上に出る為の案は無いが、追い追い決めればいいだろう。

仲間ができればいい案も出るかもしれない。


よし先ずは掃除から始めようか。

床も壁も全部引っぺがして、シミ一つなく仕上げてやる、このダメ施設め。






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