最終章:告白
2月13日(月)、龍、翔太、晴起は、感謝状の受賞式に出席するため、学校を休んだ。
朝から3人は大変だった。
新聞の1面に載ったために、携帯電話は鳴りっ放しだったり。
外に出たところで報道陣が待ち構え、インタビューを迫られたり。
道行く人にサインを求められたり。
警視庁に着いた頃には、2時間経過していた。
「はぁー、やっと着いた。結構時間かかったな。」
「そうだね。もう疲れたよ。帰ろうか?」
「いやいや待て!ここまで来たんだから。もう少しの辛抱だよ。」
龍は晴起を何とか引き止め、それからまもなくして授賞式が行われた。
3人は緊張していたが何とか終わった。
授賞式終了後、晴起の家で受賞パーティーが行われた。
飲み物はもちろんカルピスで。
「カンパーイ!!」
3人は自分たちの武勇伝について遅くまで語り合った。
そして…運命の2月14日(火)。
この日は、全国の男子が大いに期待する日でもあり、女子も大いに気持ちをぶつける日でもある。
しかし、龍は全然期待してはいなかった。
今まで期待しすぎて、ショックが大きかったからである。
晴起は毎年張り切っているが全然ダメ。
翔太は興味がないが、沢山のチョコをもらっている。
この日も、3人とも今まで通り登校した。
有名人になったおかげで視線を浴びることは多くなったが。
靴箱に到着した3人に待ち受けていたのは、例年通りの結果…ではなかった。
翔太は例年通り、沢山のチョコが詰まっていた。
翔太はそのチョコを鞄に詰め、その中の1つを食べ始めた。 手紙は見ない主義らしい。
晴気の靴箱には、1つも入って…?いや、1つ入っていた。 晴起は飛び上がって喜んで、龍に自慢し始めた。
手紙には、
「貴方のことが好きです。放課後、体育館裏で待ってます。」と書いてあった。
それを読んだ晴起は…泣いていた。
「う、う、うわーん。生きてて良かった。龍、翔太、ありがとう!」
「いやいや、俺たちに感謝されても…。」
龍と翔太は苦笑い。
「ところで龍は?天野さんからのチョコはあった?」
龍は自分の靴箱を覗いた。
「……何も…ない。」
「マ、マジか…ドンマイ。」
3人のテンションは一気に下がった。
もちろん龍は期待していなかったが、
心のどこかで照美に期待していた。というよりも好きになっていた。
そして…放課後。
どのクラスの男子もそわそわとしていた。
すでに告白を受けた者、今から告白を受ける者、帰り道に期待する者、夜に電話がかかってくることを期待する者など、様々な感情が渦巻いているようだった。
晴起も時間が迫ってくるにつれて、緊張の色が隠せなくなっていた。
授業で当てられても関係ないことを答えたりしていた。
晴起はホームルームが終わると、一目散に出て行った。
翔太と龍は晴起の後を尾行し、体育館の影からこっそりと覗いた。
10分ほど待つと、向こうの廊下から歩いてくる女子生徒が現れた。
その女子生徒が近づくにつれ、容貌が明らかになってきた。
その子は、学校で一番人気とも言われている天城院 桜である。
翔太と龍は目が飛び出るほど驚いた。
あの天城院さんが!?という疑惑と、晴起は実はすごいのでは!?という眼差しの両方が駆け巡る。
桜は晴起の前まで来ると、
「あら、あなたもどなたかと待ち合わせですか?」
と言った。3人は耳を疑った。
晴起は、桜に朝もらった手紙を見せた。
「実は、僕の靴箱にこの手紙とチョコが入っていたんです。」
桜は手紙を見ると顔を歪めた。
「どうして?どうしてあなたが持っているの?言いなさい!それは私が書いた手紙よ。私の愛おしい殿方にお渡ししたはずですわ。」
「そんなこと言われても…。僕の靴箱は右端の下から2番目ですよ。そこに入れたんでしょ?」
「そうね…え?私が入れたかったのは、右端から2番目の下から2番目ですわ。」
「それって…もしかして…龍の靴箱じゃあ…。」
「あなたご存知ですの?龍様のこと。あなた確か…新聞に載っていませんでした?龍様のお隣に。」
「えぇ、載っていましたよ。事件を解決した内の1人ですから。」
「龍様はともかく、あなたみたいな人が解決できるとはね…。」
桜はとても軽蔑するような眼差しを向けた。
それに我慢が出来なくなった龍は飛び出した。
「晴起を軽蔑する奴のことなんかに手紙なんて貰いたくねえな。」
「りゅ、龍様!いつからそこに?」
「ずっとここにいたよ。そいつを応援するためにな。」
「まぁなんて心御優しい御方!ますます気に入りましたわ。龍様、私と付き合って下さいませんか?」
「断る!」
即答だった。翔太は影に隠れながら、頷いていた。
「なぜですの?私と付き合えば、学校中の視線は私たちに釘付けですわよ。」
「俺は、友達を傷付ける女とは付き合いたくない。」
「…ひ、酷いですわ。…でもまぁ、今回は引き下がりましょう。私はもっと貴方のことが好きになりました。必ず私の殿方になって頂きますから、お忘れなきよう。では御機嫌よう。」
桜は何事もなかったかのように去って行った。
「嵐のような女だな…。」
翔太は聞こえないように呟いた。
ところで、晴起はというと、こちらも何事もなかったかのようにケロッとしている。
「あーすっきりした。女子と付き合うのはまだ先で良いや。疲れるからね。龍ありがと。」
「いや、別に大したことしてないからね。」
「これから大変なことになりそうだな。」
龍は楽しんでいるのか、悲しんでいるのか、分からない中途半端な表情で言った。実際のところは龍しか知らない。
3人は一緒に帰るため、体育館裏から校門の方へと歩いていた。
すると突然、
「龍くーーん。」
龍は自分ではないと思い、無視した。
「龍くーーん。」
自分かもしれないと思った龍は、声のした方へと向いた。
そこは龍のクラスがあった。窓には1人の女子、照美が立っていた。
龍は何かの見間違いかと思ったが照美だった。
そして大きな声で叫ばれた。
「龍君!私、あなたのことが好き!大好き!宇宙で一番好き!こんな私で良かったら…彼女にしてください!」
あまりの大きな声に学校中が龍と照美に注目した。
もちろん天城院 桜も。
緊迫した雰囲気の中、誰一人として口を開ける者はいなかった。
そして…龍も大きな声で叫んだ、テレパシーで。
「俺も照美のことが好きだ!大好きだ!宇宙で一番好きだ!よろしくお願いします!」
龍は照美にだけ聞こえるようにテレパシーを送った。
周りは何時返事するのかワクワクしていたが、急に窓から照美がいなくなったことで、ふられたのだと思い、皆、哀れみの表情だった。
天城院 桜を除いて。
桜は当たり前だというような表情で勝ち誇っていた。
しかしその表情も直ぐに崩れた。
靴を履き替え、桜の横を通り越して、龍の許へと走った。満面の笑みで。
そして龍の許へと着くと、いきなり抱きついた。
周りは何が起こったのか理解できずにいた。
近くにいる者同士で、返事を聞いたかどうか確かめ合っていた。
桜は悔しそうに地団太を踏んでいた。
龍と照美はこの状況から抜け出すために、翔太と晴起に別れを告げ、早々と立ち去った。
この余韻に2人きりで浸るために。
終
神明 朱雀です。読んでいただいて有難うごさいました。君に届け2を執筆しようかどうか迷っています。ご意見、ご感想ありましたら、気軽にお願いします。




