第2章:翔太と晴起
平成20年2月9日(木)、いつものように安倍 翔太と森永 晴起と共に昨日見た音楽番組について語り合っていた。
翔太は茶髪で強面だか、根は優しい奴であり、運動神経は抜群だか勉強はいまいちである。
晴起は丸い眼鏡をかけ、黒髪の坊ちゃん刈で背は低い。パソコンが大の得意である。
いつもこの3人で行動する。話が合うということもあるが、1つだけ共通していることがある。 それはいわゆる超能力という類のものだ。
翔太の持っている能力は、手から火を出すといったもの。正確には指を鳴らすと火が出るのである。
小学校4年生の時に初めて気づいたと教えてくれた。その当時、指を鳴らすことが流行っていて、翔太もやってみたところ、音ではなく火がでて周りを驚かしたという。
指鳴らしにはまってしまった翔太は、火を大きくしようと練習していた時、近くにあった宿題プリントに燃え移り、火事になりかけ両親にかなり怒られたと言っていた。
それからは学芸会などの行事でしか見せていないらしい。それでも翔太は練習を続け、火の大きさを調節出来るようになった。
晴起の持っている能力は、パソコンを通じて人々の独り言や噂、情報などを自由に読みとる能力である。
実際に見せてもらったが、晴起がネットを開くと様々な情報が飛び交っていた。
K高校の誰と誰が両思いだとか、同じクラスのN君は照美に対して意地悪であるが、実は好意を抱いているとか、その人自身しか知らない情報も多々載っていた。
しかし晴起以外の人間がそのホームページにいこうとしても存在しない。
晴起がこの能力に気づいたのは、中学2年生のパソコンの授業でのことだった。
初めて触るパソコンに感動し、いざホームページを開いてみるとこのページが開いたらしい。
初めは特に気にしていなかった晴起も内容を読むうちに青ざめたそうだ。
そこには同じクラスの男子や女子の晴起に対する意見が沢山書かれていたからだ。それも悪いものばかり。
晴起は近くにいた男子に聞いてみるとまんざら嘘でもないようだった。
その男子は驚いて晴起に事情を聞き出し、ホームページを友達と探したそうだが見つからなかったらしい。
それから晴起は、自分だけの能力だと理解し、活用しているそうだ。




