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「本当に…申し訳ない事をした…もう二度と迷惑はかけない…顔も見たくないと言うならそうする。いや…元からそのつもりだったんだ…」
隊長様は全て話し終えると深々と頭を下げられました。しばらくして頭を上げた隊長様はとても傷付いた顔をされていました。
「……泣くほど、か…そうだよな…」
言われて自分が泣いている事に気付きます。止めようと思っても余計に涙は止まりません。
「お前を勝手に巻き込み、傷付けた…謝っても許してはくれないだろう。…しっかりと詫びをさせて貰う。もちろんリューク達からも……戻ろうか。ここは冷えるから」
そう言って背を向ける隊長様に、私は必死で出せない声を張り上げます。
『違う!違うのです!!私が泣いているのは、私が傷付けられたからでは無いのです!!』
しかし隊長様の背中は遠ざかって行きます。
嫌です!!
このままなんて嫌!!
私の話を聞いて!!
『行かないで!!』
気付いた時には、隊長様の背中に抱き付いていました。
「…っ!?…ベル!?」
身動ぎされる隊長様に振り払われまいと必死にしがみ付きます。
『私を利用しておいて勝手にサヨナラなんて酷すぎます!!私の意見を全て無視して勝手に決められるのはもう沢山!!私は私の考えがあるんです!!!それなのにっ…それなのに隊長様はっ!!!』
「なっ…何…何だ!?どうした!!??」
『駄目です!!話を聞いてくれるまで私は絶対に離しません!!!』
ギュゥッと隊長様の服を握り締める私の様子を見て、隊長様がふっと力を抜かれました。
「分かった。分かったから落ち着け。後で必ず聞くから」
な?と言いながら私の手を優しくぽんぽんと叩かれます。
『本当に?』
チラリと視線を上げると、優しい黄金色の瞳が私を見つめ返してくれました。
「本当だ。俺はもうお前に嘘はつかん」
その言葉に少し安心して微笑むと、私は左手を離しました。
「おい…右手は?」
私は俯いて首を振ります。
嫌です。また何処かへ行かれるかもしれませんから。
「嘘は吐かないと言っただろう?……分かった。じゃぁこうしよう」
そう言うと服を掴んでいた私の右手を外して、隊長様の左手で握り締められました。
「これで何処にも行けないだろ?」
私が頷いたのを見て、隊長様は再び歩き出されました。
今度は私に合わせてゆっくりと。




