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「君は本当に本当に凄いな」

感心したようにアルフレッド様が仰いました。




理解出来なくて首を傾げる私にとても優しく微笑んで下さいました。あぁ……癒されます。


「アイツは自分の事に無頓着過ぎて困る。…リュークも似た所があるが、アレはまだ王太子としての自覚があるし沈められる分まだマシだが…アレクは違う。殴って気絶させられんから厄介だ」


沈め……気絶!?それは穏やかではありません!!笑いながら言う事デスカ!?


私の驚愕を別の意味に取られたのか、アルフレッド様が納得した様に頷かれます。

「剣の腕は俺やリュークの方が上だがアレクは別だ。アイツは魔術を使えるからな…昔何とか休ませようとしてこちらが休む羽目になった事もある…あの時はしばらく意識が戻らず周りを心配させたな。くくっ、良い思い出だ。…今なら軽く殺されるのが関の山だろうな」

懐かしそうに微笑まれていますがそれって良い思い出ですかね!?どちらかと言うと忘れたい思い出ですよね!?!?分かってますか!?あなた殺されかけてますよ!!??



アルフレッド様は私の様子を見て不思議そうな顔をされましたが、不意に真剣な瞳で見つめられました。


「不思議だな」


…どちらかと言えばアルフレッド様の方が不思議ですが……いえ、それは忘れましょう。


『私、変ですか?』

「あ、いや…変な意味ではなく」

『……?』

「君を見ていると妹を思い出す」

『妹様…ですか?』

「あぁ。私には歳の離れた妹が居てね」

そう言う瞳はとても寂しそうで……私は何も返す事が出来ません。

「……少し、昔話を聞いてくれるか?」







あまり面白くない話だが…と言い置いてアルフレッド様が話し出されました。

「私は妹が一人居るんだが、歳が離れて産まれてね。それもあって妹をとても可愛がっていたんだ。…妹は小さいながらも私の事を兄と呼んで懐いてくれて、本当に可愛かった…とても…大切にしていた…」

そこまで言ってから言葉を切られます。辛そうに、そして憎々しげに自身の手を見つめて力を込められました。

「妹は……死んでしまったんだ。あの子はまだ小さかったのに……俺は近くに居て守ってやる事が出来なかったんだ…」

『そんな……』

あまりの告白に何も言う事が出来ません。いつも優しいアルフレッド様にそんな過去があったなんて…。



「暗い話ですまない…驚かせてしまったな」

私は急いで首を振ります。いえっ!!確かに驚きましたが嫌ではありません!!

アルフレッド様はふっ、と笑うと私の頭に手を当てて優しく撫でて下さいます。

「君の表情や、その仕草が妹に似ていると思う。外見は違うのにな……」

『どのような方だったのですか?』

「そうだな…妹は見事な金髪だったんだ。瞳は藍色だった。周囲からは将来が楽しみだと言われていたな。しかし俺からすれば悪戯好きの甘えたい盛りな子だった」

『それは……私にはちっとも似ていらっしゃる気がしません』

少し頬を膨らませながら伝えると、アルフレッド様はとても楽しそうに笑われました。

「そうかもしれん。だが俺にはそう思えるんだ。だから勝手なのは分かっているが、兄の様だと思ってくれると嬉しい」

迷惑だったかな、と大きな身体を縮められるアルフレッド様が何だか子供に見えて私は笑ってしまいました。


いえ!とても嬉しいです!!


今度はちゃんと私の気持ちを分かって下さったのか、アルフレッド様は嬉しそうに破顔されました。

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