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ドーーーン!!と大きな音を立ててドアが吹っ飛びました。


『ひえぇぇぇぇぇえ!?』




「離れろリューク!!」

「弱っている女性にまで手を出すとは!!」

ドアが存在していた場所に現れたのは隊長様とアルフレッド様でした。二人とも険しい表情で私達…正確には私の隣のリューク様を睨み付けられています。

「まだ何もしてないよ?ねぇ、ベル?」

リューク様は落ち着いた様子で私に微笑みかけられます。その瞳には「面白い」とありありと映し出されていました。

面白くないですよ!?

お二人から殺気がダダ漏れですよね!!??






隊長様がベリッとリューク様から私を引き剥がし、アルフレッド様がリューク様を離れた所まで引きずって行かれます。

「お前も地に落ちたなリューク」

「私はお前をそんな奴だとは思わなかったぞ」

言いながらアルフレッド様は何処かから出した縄でリューク様をグルグル巻きにされています。そんな……相手は王太子殿下ですよね?

「ちょっ、ちょっと待ってよ!!僕は何もしてないよ!?」

「問答無用」

「や、ちょっと……ベルっ!!助けてっ!!」

その声に慌てて私を抱き抱えている隊長様に縋り付きます。

『隊長様!!リューク様は何もしていらっしゃいませんよ!!私がしばらくこの王宮に保護される事になったと伝えに来られただけです!!』

書いているのももどかしく、ゆっくりハッキリ口を開けて話します。

『だからリューク様を離して差し上げて下さいっ!』


「…本当か?」

隊長様は私を上から下まで訝しげな視線で観察されます。そして大きくため息を吐くと、先程よりも厳しい声で怒鳴られました。

「リューク!!お前騙したなっ!!??」

「騙しただなんて人聞きが悪いよ〜」

「なっ…!!…では私が聞いた伝言は偽りだったのか!?」

「やだなぁ〜。何の事?僕は『ベルはまだ目覚めていないけど、今のうちに会って仲良くなろうと思う』って伝言を頼んだだけだよ?一体何を勘違いしたの?いや〜らし〜いなぁ〜」

「くっ……この野郎…」

「私はてっきり……冗談も大概にしろ!!」


「ごめんごめん」と戯けた声をだしたリューク様の瞳は、悪戯が成功した子供のように輝いておりました。





その後すぐに騒ぎを聞きつけた様々な人物が現れ、リューク様はひょろりとした男性に引きずられて行き、後のお二人もバツの悪そうな顔でそれに続いて出て行かれました。





一体……何だったのでしょうか……





どっと力が抜けてベッドに倒れ込みます。

フカフカのそれは当然私がいつも使用していた物よりも寝心地が良いので、幾らでも寝れてしまいそうです。

女性達は「何かありましたらお呼び下さい」と部屋を出て行かれました。というか、先程の騒ぎにも気配を感じませんでしたよ…。




一つ息を吐いて左腕に目をやると、銀色の腕輪が変わらずにそこにあります。右手を添えて感触を確かめます。

最近気付いたらそれを触っておりますが、そうすると不思議と気分が落ち着くのです。



隊長様……お元気そうでした。



先程の出来事を思い出してクスリと微笑み、私の意識は眠りに落ちていったのでした。

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