第3話 生徒会3本勝負
・・かなり空いてしまいました。
言い訳はしません!・・とにかく、少しずつ書いて行きます。
ただ結果的に、これまでの投稿の中で最長になってます。
とはいえ、小説を読む方なら全然少ないと思いますので、さらっと読めると思います。
内容的には、生徒会3本勝負の様子となっております。
新キャラも2人登場です!
では、しばしご堪能ください^^
*サブタイトルを初出から現在のものに変更しました。(’15.8.10)
なれど一つ違う才能
第3話 生徒会3本勝負
(お?生徒会室見えてきた!)
(ですです!)
俺は生徒会室まで駆けて来たその勢いのまま、生徒会室のドアを勢い良く開けた。
(ちょっ!?)
姿を消してついてきたフォーチュンから何か聞こえたが、スルー安定。
ドアが突然開けられた音に、室内にいる生徒の多くがこちらを見る。あら、結構ギャラリーいる。
「・・6組の日高君?いきなりどうしたんですか?ノックも無しに入るのは失礼ですよ?」
そう言って俺のところに来て話しかけてきたのは、生徒会書記の谷川。望と同じ1組ということもあって、一応何度か話したことはある。ほとんど挨拶程度だが。
「はぁはぁ・・・。え~~っと、3本試合今日あるの忘れてて、今からでも見たいな~・・って。」
俺はなんとか息を整えながら、考えてきた答えを返す。
「・・それはまぁ、いいですが、何もそんな急いでくることないだろうに。・・ドアの前は邪魔になるんで、こっちに。」
「あ、ああ。了解。」
そうやって谷川の後についていった先は、
(わぁお!特等席!)
(・・だな。)
なんと、谷川生徒会書記のお隣。他のギャラリーの一部もざわついている。
俺は小声で、
(良いのか?いくら知り合いだからって、俺は役員でもなんでもないんだぞ?)
「構わないよね?鳴海会長。」
俺はその名前に、はっとなってその生徒を見た。
鳴海会長と呼ばれた生徒は、身長170cm位で体格は標準のちょっとしたイケメンといえる外見をしていた。
・・が、俺がパッと見すぐ感じたのは、万能感、厨二的に言えば「こいつ、できる!」と言った感じだ。生徒会長と言われたら、まぁ、すぐ納得できるだろう。
「・・知り合いなのかい?」
「・・まぁ、ちょっと。」
「・・・なら別に良いよ。」
そんな会話が終わって2人は視線を、多分今現在試合が行われているのであろう、卓球台の方に向けた。
卓球台の脇には、俺の乱入で中断されたのであろう2人の生徒が立っていた。
一人は卓球部のものと思われるユニフォームを着た男子、そしてもう一人がショートカットで身長は・・170cm弱はあるか、女性にしては長身の、雰囲気からして多分3年だろう体操服姿の女子生徒だ。
「・・・で?そろそろ続き初めて良い?俊樹?」
「はい、すいません。千里ヶ谷先輩。・・先生と相手の方も、中断させてすいませんでした。」
「ん。では、改めてお願いします。」
女生徒のサーブで試合再開。
(千里ヶ谷・・あの人が副会長か。)
(・・のようですね。・・・そして、圧倒的じゃないか!)
(だからそんな台詞、どこで覚えてるんだよ!?)
などという妖精との脳内漫才はともかく、千里ヶ谷副会長は本当に強かった。スコアは8対3。・・確か、11点先取で勝ちの筈だからここから逆転は難しいだろう。
かと言って、相手が弱いわけではなさそうだ。・・少なくとも自分は返せないだろうなと言う球がちょくちょく見受けられるが、副会長は難なく返しているように見える。
「・・・副会長は卓球の経験はあるのか?」
半分独り言だったが、谷川には聞こえたのか、律儀に返してくる。
「体育の授業でやったことはあるとは言っていたけど、それだけの筈。単純に運動神経やバランス感覚、なにより動体視力がすごいんだよ・・」
言われて納得。副会長の返す球は特に癖などはない。・・ただ、相手が打った次の時には、フォアハンドに回り込んでいる。バックは苦手なのだろう、その辺からも技量としては初心者であることが伺える。
だが、どんな球を打っても普通に返されることに焦ったのか、相手側の球がネットに刺さる。9体3。
「これは11点取った時点で勝ち?」
「うん。・・さっきは僕も勝ったし、前回みたいな思いはしなくてすんだかな・・」
ピクッ(・・ん?)
「前回・・・ああ。確か3年の先輩方に負けたんだったな。・・でも相手は上級生でしかもエース級だったんだろ?・・俺が言ってもなんだけど、気にするなよ。」
「・・ありがとう。頭ではわかってるんだけどね。・・・その条件でも圧勝した人が隣にいると思うと、つい・・ね?」
「・・・俺の事か?」
鳴海会長の横槍が入った途端、失言に気づいたのか、谷川は慌てて訂正する。
「・・ごめん。嫌味のつもりはなかったんだ。・・どちらかと言えば、嫉妬、かな・・なんでもできる鳴海会長への。」
「・・・まぁ、別にいいさ。」
・・この2人の会話に、俺は違和感を感じた。失言した谷川はともかく、鳴海会長も・・なんて言うか、言葉を選んでいる・・?
その瞬間、ピーンと来たものがあったので、俺は
「あーーっと!そう言えば、次の試合はなにやるんだっけ!!?」
(!!!?????><><・・・・)
と、大声で叫んでいた。
・・室内の誰もがこちらを見るくらいの音量で・・・
・・ついでに言えば、一番近くで聞いてしまった某自称妖精さんは、一瞬、気を失った模様です。
「ひ~~だ~~か~~~!?また、お前か・・?」
再び試合を中断させたことに対し、当然といえば当然の説教タイム。
突然の俺の蛮行に、谷川とかは困惑。ギャラリーの生徒は一緒に来たもの同士でひそひそ会話。そして俺を睨んでいる生徒も・・・ぁ、副会長じゃん・・
・・まぁ、2回も試合中断され・・スコアは10対3・・・そりゃ、怒るわな。
(@@@@・・・ん、ん、・・で?何、とち狂ったです?)
お?フォーチュン目が覚めた?・・・うん?姿隠し、解けてないんか・・
(つうか、とち狂ったて。・・・考えが無く無くも無いんだぜ?)
(結局どっち!?)
これには答えず、俺は谷川に、
「あ~っと、何度もすまない。今って、生徒会書記と副会長と生徒会長がそれぞれのルールで試合してるんだよな。・・で、次は生徒会長の鳴海の番で・・何するんだっけ?」
わざとらしい俺の言葉に、いぶかしむ室内の面々。・・ただし、俺が注意していた一人だけは周囲と違う、俺が予想したような反応をした。
(やっぱりな・・)
その彼の様子に俺は確信を抱いた。
「・・それは、正確なところはまだこちらもわからないんだ。これから発表するTVゲームで勝負するということしか・・」
「・・へっ?」
(・・何ですと!?)
予想外の答えに俺は驚愕。フォーチュンも驚愕。周りは困惑。・・なにこのヒップホップ?
「ふっふっふ。・・まだ、副会長戦は終わっていないが、こうなっては仕方がない!ちと早いが、会長戦で行うゲームはこれだぁ!」
((なんか濃いキャラでてきたぞ(です)!?))
俺とフォーチュンがシンクロした。・・いや、室内の多くがそう思ったんじゃないか、これ?
とりあえず、その対戦相手っぽい濃い男子生徒の所へ谷川は向かった。
「え~っと、「ストリート・ギルティ3」・・ん?ストリート・ギルティは聞いたことくらいはあるけど、3って出てたんだ?」
「うむ。昨日発売したばかりの最新作だ!!」
(((ぁぁ~~~・・・)))
俺とフォーチュン・・いや、ここにいる生徒のほぼ誰もが思っただろう。
(こいつ、情報のほとんどないゲームを自分だけやりこんで勝つつもりだな)と・・
無敗の相手に対する作戦としては、悪い手ではないと頭の中では思う。・・でもなんていうか、
(((せこい・・・!)))
「・・・・・」
話を聞いていた谷川も、傍目から見ても、若干呆れたようだったがなんとか言葉をつなぐ。
「・・まぁ、運頼みのゲームでなければ基本何でも良いとしているのはこちらですからね。・・・鳴海会長、いいかな?」
だが、件の鳴海会長はぶっ飛んだ答えを返す。
「・・プレイしているところを・・そうだな、CPU3戦目辺りまで見せてくれるなら。」
・・・室内が一瞬シンとなったのがわかった。
正直なところ俺は、出たばかりのゲームなので自身がわずかでも練習させてもらうのかと思った。少なくとも自分はそうしただろう。
それはこの場の誰もが思っただろう、そういった沈黙だった。実際、相手の生徒も、
「・・初めてやるだろう?練習とか良いのか?」
「?必要ない。」
小首を傾げながらの即座の返答。・・その態度を余裕と見たのか、対戦相手の生徒はいらついた表情で、
「・・・わかった。じゃあ、今から俺がやる。」「あのさ~?」
だが、その生徒より明らかに不機嫌な声がした。・・その発言の主は、千里ヶ谷生徒会副会長。
「こっちの勝負、まだ終わってないんだけど?勝手に話進めないでくれる?」
(((あ・・・・・)))
ほとんどの生徒が忘れていたんだろう・・・またもや気まずい沈黙が。
・・・そして言うまでもなく、中断の原因は自分。しかも連続2回目!
(・・・・じー・・・・・)
明らかな恨みがましい視線が飛んでくる。・・・しかも副会長、結構な体育会系美形なので、その迫力は半端ないです・・
「・・は、はは・・・・すいません。先生、続けてください。」
「あ、ああ。・・・」
再開の指示を出す先生。
先ほどと違って、叱責の言葉などはなかった。・・多分、俺があまりに怯えたので、流石に同情したのだろう。
((・・・・・こ、怖かった・・・))
近くを飛んでいたフォーチュンもあの視線をもろに浴びたらしく、揃ってびびらずにはいられませんでした・・・
動揺したのは相手もそうだったのか、最後は相手の方がネットにかけ、あっさり終了。
「11対3で、千里ヶ谷。生徒会側の勝利!」
「ありがとうございます!」
千里ヶ谷副会長が相手に礼をすると、流石にパチパチパチと拍手が起こる。相手の生徒も慌てて礼をする。ん~、いいなぁこの瞬間。
・・・が、千里ヶ谷副会長はつかつかと俺の方に歩み寄り、目の前で立ち止まると引きつった笑みを浮かべてこう告げた。
「・・・日高~?私は勝負事を中断されるのが一番嫌いなんだ。今後覚えとけな?」
「は、ハイ!すいませんでした!!」
「・・・・・・・」
謝られたので、「頭では押さえようとしているが心はまだ怒り収まらない」といった感じで鳴海会長と谷川の間に立つ。そこが定置なのだろう。
(こ、怖かった~~~・・・)
さて、気を取り直して生徒会長VSさっきの濃い男子生徒(多分ゲーム同好会とかその辺)の勝負!・・の前の練習開始。
いや、初めて触れるはずの新作ゲームを鳴海会長は「見るだけ」なのだから、練習というか観戦が近いだろうか・・
「本当に良いんだな?後で文句言っても聞かないぞ?」
「・・文句は言わない。から、始めてください。」
「ちっ!」
わざとらしく舌打ちしてから「ストリート・ギルティ3」を起動する。この作品自体は先ほど彼が言ったように昨日発売なのだろうが、3と言うからにはもちろん1と2が存在するし、なかなかに人気の高い格ゲーだ。
1と2は俺もやったことあるし、一応難易度ノーマル程度のCPU相手なら大体のキャラでクリアしている。だてにゲーマー気どってない。
基本的なシステムはオーソドックスだ。俗に言う「波動拳」や「昇竜拳」コマンドで必殺技を出しつつ、必殺技ゲージを溜めて超必殺技で大ダメージを狙う。・・コンボ重視ではない分、素人でもある程度勝ち目のある比較的敷居は低いゲームといえる・・実際俺も、そんなに格ゲー得意じゃないし・・
・・だが、いくら敷居が低いとはいえ、相手から持ちかけてきたタイトルだ。それなりに自信があると見るべきだろう。
もし仮に鳴海会長が「ストリート・ギルティ」シリーズの相当な実力者としても、新作の3でそのまま生かせるとは限らない。継続して登場するキャラであっても、能力や技特性が大きく変わっているかもしれないし、コマンドも一部変更されているかもしれない。更に場合によっては、反則的な性能を持ったキャラが追加されていると言った事もないと言えない。
・・・おそらくだが、現状、前情報無しで生徒会長は勝負に挑もうとしているはずだ。それで何故「観戦」だけで良いと言ったのか?
「おっし、次で3人目だ。」
などと考えているうちに、一人目と二人目のCPU敵はあっさり倒された模様。・・このシリーズはじめ、多くの格ゲーで二人目辺りまでは弱い場合が多い。おそらく、最初からそれなりに強いと、「勝つ喜び」を知る前に辞めてしまうプレイヤーが出てくるのを止めるためと俺は思っている。そして3人目からある程度的確に必殺技を使ってくるようになる。ここからが本番といえるかもしれない。
だが、予想していたことだが、
(まぁ、手は抜くわな・・)
プレイしている同好会君(勝手に命名)のキャラの動きやを見る限り、あからさまではないがのらりくらりとやっているように見える。流石に必殺技はちょこちょこ出してはいるが、相手の出す攻撃を適当にガードし、まだこの時点ではほぼ連続で攻撃してこないCPUに適当に攻撃を当てていく。
一応、同好会君のゲームパッドの動きを見るが、大体1,2と必殺技コマンドは変わってないかな?程度しか参考になると思えない。まず間違いなく、対戦ではもっと細かく操作するだろう。
(生徒会長さんは何を見てるんだろう?)
ふと彼の方を見て、俺は少し驚いた。
彼はほとんど、ゲーム画面を見ていたのだ・・
「よっし、3人目倒した。それじゃあ、勝負開始といきますか!」
(嫌味なやつ・・・)
観戦している生徒の多くが思ったであろう。が、
「・・了解。始めようか・・」
表情一つ変えずそういった生徒会長に、相手や観衆は戦慄した。
・・結論から言うと、鳴海生徒会長の圧勝だった。
同好会君が選んだキャラは・・前回のラスボス。・・最初から選べないはずだが、おそらく昨日のうちに条件をクリアして出しておいたのだろう。多少癖はあるが、ボスなだけに性能はトップクラス。・・良い言い方をすれば、勝負に徹したチョイスといえる・・悪く言えばちょい卑怯・・
そして対する鳴海会長が選んだキャラは、・・先ほど戦っていた3人目のCPUキャラだった。
会長のキャラは比較的癖のないオールラウンダーだ。・・・逆に言えば決め手にやや欠ける。
などという見方は、全く意味がなかった。
・・鳴海会長はそのキャラを「ほぼ完璧に」使いこなしていたのだ・・
技の間合いはもちろん、技が出るまでの時間、更には各種モーションまで把握している。・・としか思えないほど、無駄のない動きをしたのだ!
相手がどんな攻撃をしようと防ぎ、逆に的確にダメージを与える。相手に一発逆転の超必殺を出させる隙も与えないまま2本先取。
「・・う、嘘だろ ・・そんな・・・」
「こんなの、勝てるわけないーー!」
俺は唖然とする生徒たちを尻目に、部屋の隅のなるべく目立たないところに移動して独り言のようにつぶやいた。
「・・と、これがほぼ毎週行われている光景らしいのだが、・・変わったのはこれだよな?」
「・・間違いないですね。変わったのはこれですね。」
「・・だな。」
俺たち、俺とフォーチュンはお互いため息をつかずにはいられなかった。
なにはともあれ、3本勝負4戦目は、生徒会側の3戦全勝で幕を閉じた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
いかがでしたでしょうか?今回のキーマンである鳴海生徒会長および千里ヶ谷副会長は?
まず生徒会長は、はっきり言って万能というキャラです。・・こういうなんでもできる人って、一つの学校に一人はいると思うんですよね。
副会長はずばり「運動ができる頼りになる姉御」というイメージです。
さて、今回のFWによる改変がどんなことかわかったところで、ようやく次から解決に挑んでいきます。
あるキャラの再登場と新キャラも予定してますので、今後も長い目で見ていただけたら幸いです^^
歯に衣着せない感想や評価を心からお待ちしております!
「面白い」「つまらない」だけでも、大きな励みになると思いますので!