朱色の舞台
舞台は幕を開ける。出演者の血で染まった舞台が。
「ひぃっ!」
短い悲鳴をエルフの女が上げた事で正気になったのか、もう一人のヒューマンが慌てて剣を抜いた。
ふむ。こいつもまたつまらなそうな獲物だ。
やはり楽しみなのはあのエルフの女だけだ。自称気高き種族のエルフを恥辱に塗れさせる・・・・・あぁ、なんて素晴らしい遊びだろうか。
早く楽しむためにもゴミはさっさと処分すべきかな?そうと決まれば・・・・・。
その場にいた者には信じられない事だったろう。
先ほどまで数メートル離れていたはずなのに、瞬きすらしていないのに、気がついた時には男の後ろに嗤っている鬼がいるのだから。
「君はどんな死の音色を奏でるのかな?」
そう呟くと同時に首筋を切り裂き絶命させた。
男の首から噴水のように噴出した血は店内を赤く染め上げ、猟奇的な現場に仕立て上げていく。
「さて、これで残すは君だけ・・・・・あぁ、そういえばまだ君たちがいたね。ごめんごめん、忘れてたよ。」
その言葉に今まで時が止まっていたかの様に、カクスと少女が動いた。
顔は青ざめ、歯をガチガチと鳴らす。
先ほどまで頬笑みながら話していた男の面影はなく、今あるのはただの狂気のみ。
そして二人に歩みよっていく。少女は恐怖でカクスに抱きつき、カクスも自然と少女を庇う様に立っていた。
そんな二人を見て俺はほほ笑む。ただお礼がしたいだけなのだから。
「そんなに怖がらないでよ?これでも感謝しているんだよ??カクスさんの料理は俺に温かみを与えてくれたし、君の笑顔はとても綺麗で優しげで、救われた気がした。」
その様子に2人は命の危険から免れたと思い力が抜けた。
でもね?まだお礼は終わってないんだよ?
「だから、助けてあげるね?」
俺は腰の短剣を素早く抜き、二人の首を断ち切った。
「弱者が生きにくい、強者が蔓延るこの世界から・・・・・ね。」
その様子をエルフは見ている事しか出来なかった。自慢の弓も恐怖で腰が抜けた状態じゃ何の役にも立たず、ただただ己の順番がくるのを待っているしかできなかった。
そして鬼がこちらを向く。
「さぁ、今度こそ君だけだ。君は大事な大事なおもちゃだから、すぐには壊さないよ?ゆっくり、じっくり壊してあげるね?」
それはどこか美しく、どこか歪な笑顔だった。
今日の更新はここまでです。お読み頂きありがとうございます。
ちなみに作者は実際にMMORPGやっていますが、こんな物騒なことしませんし、出来ません(笑)
ノンビリがモットーなのでチャットしてばっかという正反対のプレイヤーですw