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桜咲けども、春は来ず  part 2

 

 拝啓、父さん母さん。目の前にとても大きくて素晴らしくキレイな学校と、窓ガラスが割られ、あちこち壁が壊されている廃校寸前の学校が見えます。そしてここで問題です。叔父さんが転入手続きを取った学校はどっちでしょう? 



 A、キレイな学校


 B、廃校寸前の学校。



「あれ? ヤマちゃん。席ひとつ多くね?」


「あぁ、今日は転校生が来んだ。」


「転校生?! 入学式の日に転校生?!」


「あぁそうだ。名前は確か・・・」


「あ、あった。名前は鈴城叶(すずしろかなう)だってさ。」


「なんでおまえが生徒名簿(それ)を持ってるッ?!」



 上から順に生徒A、担任。生徒B、担任。生徒C、担任。のやり取りがドアの越しに聞こえて来ていた。それと生徒B、あたしの名前は(かなう)ではなく(かなえ)です。



 そして父さん母さん。この馬鹿げたやり取りで気づいたと思いますが先程の問題の答えは察しの通りB,の廃校寸前の学校です。ちなみにこの学校、叔父が経営する学校らしく、その所為かどうか知りませんが教員がどう見てもヤクザにしか見えません。いままですれ違った生徒もヤクザの予備軍見たいな感じになっていて、皆さんどこかしこの族に所属してそうです。だって校舎内外問わずに現在進行形で仁義なき戦いが勃発してました。ちなみにここに章生の姿はありません。あ、落ちてませんよ? ってか落ちる訳ないですよね、章生はあたしと違って頭良いから。――章生はさっさと推薦決めて進学校に入学(いき)ました。内申より点数で決まったらしいです。(なんであたしが転校で章生は自分が望んだ高校に行けんでしょうか。理不尽です。)


 

 そんな理不尽な思いにうんうん、と呻っていたあたしですが、時間は止まる事無く過ぎて行くため仕方なしに目の前にある教室の入り口のドアを開けました。そして目の前に広がる色とりどりのカラフルヘアーの男子たち・・・そう、男子たちです。見渡す限り男子だけで女子がひとりも居ません。そしてその光景を見て妙に納得してしまいました。先程あたしの名前を間違えた生徒B。男子しか居ない教室じゃ、女読みの名前なんて浮かぶわけないよねぇ・・・



 そんな事思いつつも取り合えず、その場であたしは自己紹介をした。そして集める視線、視線、死せ・・・げふんげふん。なんか違うのも混じってはいたが取り合えずそれらを浴びながら思ったことはただひとつ。



 あぁ、父さん母さん。〝きゃ! 逆ハーレム!〟なんて現実逃避してもいいですかッ?! いいですよね?! てか現実逃避させてください!!



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