桜咲けども、春は来ず
拝啓、父さん母さん。桜が無事に咲き、中学浪人だけは免れました。
えぇ、念願だった花の女子高生になった後は、いかに高校生活をエンジョイするかです。差し当たり、1年目で彼氏(出来ればイケメン)をゲットし、その後2年3年と順調に交際を続け、さらに就職した後は結婚相手も物色しつつ交際を続け・・・なんて将来設計を立てていました。
が、泣きそうです。いえ、比喩ではなくホントに泣きそうです。
入学式に喜び勇んで出席したのになぜかクラス発表の紙に名前がありません。あれ? 見落としたかなぁ? なんて2度どころか5度見して確認しました。でもやっぱりありません。
明らかに不審者のような動きをしだしたあたしに教員らしきハゲ頭・・・失礼。頭頂部の寂しい・・・ってこれもダメだ。とりあえず訳が分からないため、その教員と共に職員室にお邪魔することにしました。
職員室に着き、詳しく知っていそうな教員の元へと案内され、色々と説明を受けました。そしてあたしは暫し呆然自失の状態に。
「――え?! でも確かに君の親御さんが手続きをして行ったよ?!」
「――両親、共に死んでますが・・・?」
呆然自失のまま蚊の泣く様な声(疑問符付ではあるが)で答えた一瞬の後、見る見る顔色を無くして行く教員が哀れで若干、頭の中を過った考えを言葉にした。
「あぁ・・でも、叔父が手続きしたのかもしれません・・・」
なんか思っていた事と違うと分かるとコロッと表情を変える教員と、まったく変わらず暗いままのあたし・・・。いや、ひょっとしてマンガによくある〝どよーん〟て言う効果音を纏ってるかも知れない。
しかも、しかも! そんな状態のあたしを教員は追い出したのだ!!
「――そういう訳で君は本校の生徒ではなくなったから、本来君が行くべき高校に向かいなさい。」
諭すような優しい口調だが、教員の行動は別だった。
あれ? あれれ?! なんてよく分からないまま職員室から追い出され、尚且つ正門ではなく、裏門から〝はい、さようなら〟と・・・
目の前で門が閉められて行くと言うのに、それがどこか他人事のような気がしてイマイチ現実感が沸かない。けれど、帰り際に渡された1枚の紙がこれは現実の事だと物語る。