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こう見えても、受験生なんだが


 拝啓、父さん母さん。すっかり彼らの食事係にされてしまった私はいつものスーパーで買い物を済ませ、一路アパートを目指して歩いていました。なのに・・・なのになぜ私はこんな所に居るんでしょうか?!

 

 純和風の大きな屋敷。そしてこれまた大きな座敷の中間で、スーパーの袋を片手に持ちつつ正座をしているあたしと、それに相対する形で強面の厳ついおじさんが胡坐を掻いている。あれだ・・・。考えたくも無いが、此処に来るまでの経緯と現在の現状からどう考えても考えても・・・・



「――鈴城叶すずしろかなえだな?」


 開口一番、おじさんがあたしの名前を口にする。


 疑問符を付けているのにそう聞こえないのは何でだろう。まぁ兎に角、聞かれた事に対して無言で頷くとおじさんは目に見えて安堵の息を吐き、再び言葉を口にする。



「俺は神凪組の分家で、この白鴎組の組長をやってる陣明圭吾って言うもんだ。」



 あ、やっぱり? なんて口には出さないが、代わりに顔にはっきりと出てしまったようだ。なんせ顔の筋肉がぴくぴくと引き攣るのだから。そんなこちらの状態もお構いなしに、何やら沁み々語りだす。



 くどくどと、永遠に続くかと思ったおじさん・・元い、組長の話しは急な濫入者によって終わりを告げた。この話しを簡潔明瞭で言うならば、この組長はあたしたちの叔父だと言う。



 母の実家が極道って訳ではなく、また父の実家も極道なんてものじゃない。じゃあなぜかって言うと、若い頃に父親(あたしからしたら祖父にあたるが)と大喧嘩をし、そのまま

飛び出したそうだ、そして拾われた先がこの屋敷だと言う。それから一切の音沙汰も無く暮らしてたそうだが、ある経緯で母の事故の事を知り、残されたあたしたちに会いたくなったそうだ。



 極道なら極道らしくそのままきれいスッパリ過去として葬り去って欲しかった。まぁ、正直? 身内が居たのは嬉しかったけど。けどあれだ。章生は兎も角あたしはごく普通の一般人。毎度半ば拉致られるように倉庫に連れて行かれるがあたしは一般人だ!! しかも受験生!! 本来なら勉強に費やす時間を章生らに奪われて居る現在。一分一秒が今後の人生を左右する。そう断言してもいい!!



「――なので、帰っていいですか?」



 恐ろ恐ろと顔を叔父さんに向けながら聞いたあたしに、とてもとてもすばらしい――ええ、良い子も裸足で逃げ出さんばかりの笑顔を浮かべながら、濫入者とともに、



「此処が今日からお前の家だ。」



「此処が今日から俺たちの家だとよ。」



 あぁ、父さん、母さん。中学浪人しても悪いのはあたしじゃありません。えぇッ!! あたしが悪いわけじゃありませんともッ!!



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