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『悪役令嬢になりたいのに、全部善行扱いされてしまうんですが!?』  作者: ゆう
《悪役令嬢ムーブ、全敗》 ――すべてが善行に変換される地獄の学園生活

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第1章 第5話 悪役令嬢として!

第5話は、主人公がついに“計画的悪役ムーブ”に挑む回でした!


・ノートを奪う

・冷たい言葉をぶつける

・悪役らしく突き放す


すべてがミリアの成長イベントに変換されるという残酷仕様。

王太子や他の令嬢にまで“指導者エリザベート様”扱いされる始末です。


主人公の望みと現実のギャップは、ついに修復不能レベルへ……。

第1章 第5話 悪役令嬢として!


――悪辣計画が、なぜかヒロインの人生イベントに進化しますの!?**


 王太子アレクシスに“惚れられる”という予想外の大事故を起こしてから、私は必死に考えていた。


(このままでは悪役令嬢どころか……

 ヒロインルートを私が踏みつぶしてしまいますわ!!)


 本来のヒロインであるミリアの恋愛イベントがまったく進まない。

 むしろ私の存在がジャマになっている気すらする。


(いけませんわ……!

 これはもう、私が責任を取って“悪役らしいこと”をして、

 ミリアちゃんに主人公ムーブをさせてあげなければ!)


 そこで私はついに決意した。


――ミリアをちょっとだけ困らせて、

 ヒロインとしての自立や成長イベントを発生させる!


 名付けて、“悪役プロデュース計画”。


(これなら悪役ポイントが上がる上に、

 ミリアちゃんのヒロイン度も上がる一石二鳥……!)


 よし、やるわよ……エリザベート!

 今日こそは悪役令嬢として成功するのよ!!


***


 昼休み。

 私はミリアを人気の少ない中庭に呼び出した。


「ミリア。ちょっとこちらへいらっしゃい」


「は、はい! エリザベート様!」


 ミリアは相変わらずきらきらした目で駆け寄ってくる。

 かわいいけれど、この“忠誠心MAX状態”が問題なのだ。


(ミリアちゃん、ごめんなさい……

 これもあなたのためなの!!)


 私はわざと冷たく微笑んだ。


「あなた、学園生活が順調すぎて……調子に乗っていませんこと?」


「えっ……?」


(よし、傷ついて! ヒロイン特有の挫折イベントは必要よ!)


 しかしミリアは、ぽかんとしたあと――


「わ、私……そんなに良く見てくださっていたんですね……!

 気を引き締めます!」


(あれぇ!?)


 困らせるはずが、まさかの感謝。


 私は次の手に移った。


「では……あなたの持っているこの資料、

 少しだけお借りしていきますわ」


 そう言って、ミリアが授業復習に使っていたノートをひょいと奪う。


(はい来た! ヒロインの“ノート紛失イベント”!

 これならミリアは努力して取り返したり、誰かの助けを借りたり……

 王太子と接近できるはず!)


 そう思ってニヤリとした、その時。


「エリザベート様……わざと、ですよね?」


「へ?」


 ミリアは、ぐっと目を輝かせた。


「私が、自分の力で乗り越えるように……!

 あえて試練をくださったんですね!!」


(なんで分かるの!? 読心術持ち!?)


「わ、わたくしはそんなつもりでは――」


「ありがとうございます!!

 努力します!! 今日中にすべて暗記してみせます!」


(ちがーう!!)


 私が“奪った”つもりのノートは、

 ミリアにとって“努力イベントを発動させるきっかけ”になってしまった。


 しかも――


「ミリアさん。どうかしたの?」

中庭に通りかかった令嬢クラリスが声をかける。


「クラリス様! 実はエリザベート様が……

 私に成長の機会をくださったんです!」


「成長の……機会……?」


 クラリスは私を見ると、深くうなずいた。


「さすがエリザベート様。

 気高いだけではなく、後輩を鍛えようとされるとは……!」


(違う違う違う!!)


 さらに悪いことに――


「ミリア、どうした?」

アレクシスまで登場する。


(あっやば……これは見られたら絶対まずい展開……)


「殿下! エリザベート様が私に“試練”を与えてくださったんです!」


「……ほう」


 アレクシスはゆっくりとこちらを見る。


(ど、どう説明しよう!?

 “ノートを奪って困らせようとした”なんて言えるわけが……!)


 しかしアレクシスは私の苦悩など露知らず、落ち着いた声で言った。


「エリザベート。

 君は相変わらず……慈愛に満ちた行動をする」


「………………………………は?」


「後輩に成長の機会を与えるのは、指導者として最高の仕事だ。

 君のその姿勢、尊敬する」


(なんで!? なんでそうなるのよ!?)


 ミリアは胸に手を当て、熱く語る。


「殿下、私……エリザベート様みたいな淑女になれるように、

 もっと頑張ります!」


「うむ。頑張れ、ミリア」


(ミリアちゃんの成長イベント……私の悪役ムーブのせいで、

 一気に“主人公確定イベント”みたいになってるじゃない……!)


 こうして私の“悪辣な計画”は、またもや失敗。


 いや、失敗どころか――


ミリアのヒロイン力を爆上げする結果にしかならなかったのだった。


(悪役令嬢って……どうやってなるんですの……?

 わたくし、間違ってませんわよね……?)




今回もお読みいただきありがとうございます!


第5話でミリアの成長が加速し、

エリザベートの悪役計画はますます遠ざかりました。


次は第6話。

いよいよ舞台は“魔法授業”へ。


第6話:高笑い魔法 → 天才魔法使い扱い

悪役ムーブが学問分野にまで誤解を広げます。

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