第4章 第20話――ヒロインが全力で私を庇い、悪役になる道が完全に封鎖されましたわ!?
第20話は、
“ヒロインが主人公を全力で庇護する” という
本作の根幹を揺るがすほどの誤解大爆発回でした。
・悪役ムーブ → ミリアが全肯定
・教室 → エリザベート擁護同盟発足
・殿下 → 公然と守護宣言
・すべてが善行扱い
悪役どころか「守られる側のヒロイン」になっています。
第4章 第20話――ヒロインが全力で私を庇い、悪役になる道が完全に封鎖されましたわ!?
昨日は一日中、悪行をやろうとするたびに
なぜか善行扱いされてしまった。
(嫌味 → 気遣い
物を壊す → 神速救助
邪魔 → 参加歓迎
冷たさ → 愛しさ)
この世の地獄かしら?
今日こそは……今日こそは……
誰か、私を嫌ってくれませんの……?
登校してすぐ、私は意を決し、
“最も嫌われるチャンス”に向かった。
(そう……ミリア絡みのトラブルですわ!
ヒロインに冷たい態度を取れば、
学園中から大バッシングのはず……!)
ミリアは教室の中央で、
数名の生徒に囲まれていた。
「ミリアさん、すごいですね。最近成績伸びてる!」
「エリザベート様の導きがあるからよ」
私の導き……?
えっと、いつ導きましたっけ?
(まあいいですわ……ここで嫌味をぶつけるのが第一段階!)
私は颯爽と歩み寄り、
ミリアの前でパチンと扇子を開いた。
「ミリア。
あなた、自分ばかり褒められて……
調子に乗っていませんこと?」
(完璧……!! この一言だけで一発アウト!!
さあ……嫌われてちょうだい……!!)
しかしミリアは涙を浮かべ、首を振った。
「エリザベート様……!
そんな……そんなふうにおっしゃらないでください……!」
(いや、あなたに嫌われたいの!!)
「私は……エリザベート様に恥じないように……
必死に努力してるだけで……!」
(努力の原因は全部誤解なんですけど!?)
周囲の令嬢達がざわめく。
「エリザベート様は……ミリアを“戒めて”おられるのよ」
「成長を促す厳しさ……あぁ尊い」
(尊くない!! 今のはただの嫌味!!)
すると、ひとりの男子生徒が口を挟んだ。
「ミリアさん、最近疲れてるみたいだし……
ちょっと心配してただけじゃない?」
(違うーー!! 私はただ悪役ムーブをしただけーー!!)
ミリアは真っ赤になり、
私の手をぎゅっと握ってきた。
「エリザベート様……
私……エリザベート様に嫌われたら……生きていけません……」
(やめて!? なんでヒロインにそんな重めの好感度を向けられているの!?)
「だから……! 私は絶対に……
エリザベート様の悪口なんて言わせません!!」
(悪口を……言わせて……)
その瞬間、教室の扉が開き、
クラリス、アイリーン、ついでに不運にも殿下が登場した。
「ミリア! 大丈夫!?」
「また誰かがエリザベート様に失礼を!?」
「何があった?」
(なにもないんですのよ!? 私が自滅しようとしただけ!!)
ミリアは大きく息を吸い込み、
教室全体に向かって叫んだ。
「エリザベート様は……悪くありません!!」
(えっ……)
「悪いのは……私です!
私が未熟だから……エリザベート様にご迷惑を……!」
(ええ……!?)
「だから皆さん……
お願いですから……!
エリザベート様を責めないでください!!」
(今から責められにいこうとしてたのに!?
なんで逆に庇われているの!?)
殿下が前に出る。
「……ミリアの言う通りだ。
エリザベートは常に全力で人のために動く。
誰も彼女を傷つけさせはしない」
(だ、殿下!? 私が今から自分で傷つきに行きたかったんですけど!?)
クラリスとアイリーンが殿下に続く。
「エリザベート様に逆らうなんて論外よ!」
「エリザベート様の名誉は……私達が守ります!」
(逆らってーー!! せめて一回逆らってよーー!!)
教室の空気は完全に固まった。
「エリザベート様を守る同盟」
が自然発生した、といっても過言ではない。
ミリアは涙を拭いながら私を見つめる。
「エリザベート様……
私はずっと……ずっとあなたの味方です……!」
(なんで……なんでヒロインに庇護されてるの……
私がヒロインの対立枠になる予定だったのに……)
私は震える声でつぶやいた。
「……逆に……嫌われてみたいものですわ……」
だが、その願いを聞いた周囲の生徒たちが感涙した。
「自分が嫌われてもいいなんて……!」
「なんて尊い自己犠牲精神……!」
「エリザベート様ぁぁぁぁ!!」
(違う……違うのよぉぉぉ!!
自己犠牲じゃなくて自己破壊がしたいだけ!!!)
こうして私はまたひとつ、
悪役令嬢としての道を閉ざされ、
善行ポイントだけ積み上げられたのだった。
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お読みいただきありがとうございます!
第20話で、
エリザベートは 完全に学園全体から守られる存在 となり、
悪役としての自由はゼロになりました。
次は 第21話:周囲全員が“エリザベート=聖人”化する
という、第四章のクライマックスです。




