表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢になりたいのに、全部善行扱いされてしまうんですが!?』  作者: ゆう
「悪行のはずが慈愛に変換され、学園が崇拝し始めましたわ」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/27

第4章 第18話――断罪イベントを自分で告知したのに、称賛されましたわ!?

第18話では、ついにエリザベートが

自作自演で断罪イベントを告知しました。


しかし結果は……


・罪の告白 → 自己反省と誤解

・生徒全員 → 感動して涙

・殿下 → 「君の心は尊い」

・断罪イベント → 尊敬イベントに強制変換


という、本作でも指折りの“悪役阻止回”となりました。

第4章 第18話――断罪イベントを自分で告知したのに、称賛されましたわ!?


 殿下の恋愛フラグが完全に確定し、

 学園では「実質婚約者」とまで言われるようになった翌日。


(な、なにが“実質婚約者”ですの……!?

 私は悪役令嬢になりたいだけなのよ……!!

 王太子の隣なんて本来、断罪待ちの席でしょう!?)


 私は朝から胃が痛かった。


 だが、まだ逆転の可能性はある。

 そう、自分で 断罪イベントを作ればいい のだ。


(殿下との恋愛フラグを折るには──

 “世間の前で嫌われるしかない”!!)


 私は震える手で書類を用意していた。


『本日正午、中庭にて重大発表あり』


 学園掲示板に貼り付け、

 その下に、自分の名前を書いた。


(これで人が集まるはず……そしてその場で自分の悪行を宣言し、

 自ら断罪イベントを起こしてみせますわ!!)


 悪役令嬢が自分で断罪を宣告するなんて前代未聞だが、

 もうそんなことを気にしていられない。


***


 正午、中庭。


 私が掲示した文言に惹かれた生徒たちが、

 予想以上に集まっていた。


「エリザベート様、何があるんだろう」

「殿下との大事な話かもしれないわ」

「もしかして……新しい慈善活動の告知……?」


(ちが……違いますわ……!

 今日は慈善活動じゃなくて断罪イベントの日!!)


 私は台の上に立ち、深呼吸した。


「皆さま。

 本日は……私から、どうしても伝えたいことがありますの」


 ざわつく生徒たち。

 殿下まで駆けつけてしまっている。


(来ないで!! 今日だけは来ないで殿下!!)


 覚悟を決め、私は声を張った。


「わたくし……重大な“罪”を犯しました!!」


 中庭が水を打ったように静まった。


(来た……! これで悪役令嬢ルート復活の兆し……!

 さぁ皆、私を非難してちょうだい……!!)


 だが。


 次の瞬間、ミリアが震える声で叫んだ。


「……エリザベート様……

 ご自分を“罪”なんて呼ばないでください!!」


(いや罪を呼んでほしいのよ!?)


「エリザベート様は……いつも私たちのことを思って……

 自分の努力不足を“罪”と思い込んでしまわれているんです……!」


(ちょっと待って!? 認識が違いすぎますわ!!)


「わたくしは実際に──」

と言いかけた私を遮るように、今度はクラリスが涙ぐんで言った。


「自分の責任を“罪”と呼ぶなんて……

 なんて高潔なお方なの……!」


(違うのよぉぉぉ!! 私は実際に悪行を言いたいのよ!!)


 さらにアイリーンまで叫ぶ。


「エリザベート様!

 私達は、あなたのような方にいつも助けられて……!」


(助けてませんわよ!? 私は悪役ムーブばかりしていたのよ!?)


 生徒たちの間に感動の波が広がり、

 あちこちで涙をぬぐう姿が見える。


(なぜ泣くの!? 断罪イベントでしょう!?

 今日の私は“悪女宣言”をしに来たのよ!?)


 殿下がゆっくりと前に進み出てきた。

 静かな声で、しかし力強く言う。


「皆、聞いてほしい」


(来た……殿下……あなたが断罪してくれたら……!!)


「エリザベートは……常に自分に厳しい。

 私達がどれほど彼女に救われているか……誰も気づいていない」


(救ってませんわよ!? 悪役をやって失敗しただけ!!)


「自分の“至らなさ”を罪と言うほどに……

 周囲のことを考えられる優しい女性だ」


(違う……違うー!!

 本当の罪を言わせてーー!!)


 殿下は私に向き直り、

 優しすぎるほどの声で言った。


「エリザベート。

 君が今日ここで“罪”を告白しようとしたその心……

 国にとって何より尊い」


(尊くない!! 今日ばかりは尊くないのよ!!)


 その言葉に、中庭中が拍手喝采した。


「エリザベート様ー!!!」

「なんて崇高な……!」

「真の淑女だ……!」


(断罪イベントが……拍手喝采の尊敬イベントになっている……!?)


 私は震える唇で、小さく呟いた。


「……断罪……は……?」


 殿下は優しく首を振る。


「そんなもの、この国には必要ない」


(必要ありますのよ!!!

 むしろ私が今日持ってきたのよ断罪を!!)


 私はその場でへたり込んだ。


(……どうして……

 悪役令嬢をやりたいだけなのに……

 ここまで妨害されますの……?)


 中庭は祝福ムードのまま、

 私の断罪イベントは秒で消滅した。

お読みいただきありがとうございます!


第18話にて、

エリザベートは完全に「断罪不可の国民的象徴」に認定されてしまいました。


次の第19話では、


「罪を重ねようとして全部善行扱い」

エリザベート最大の崩壊回になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ