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『悪役令嬢になりたいのに、全部善行扱いされてしまうんですが!?』  作者: ゆう
「悪役の道を作りたいのに、全部善行として処理されますの?」

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第3章 第17話――殿下の恋愛フラグが確定してしまい、逃げ場がありませんわ!?

第17話では、

ついに 殿下の恋愛フラグが確定してしまいました。


エリザベートが冷たい態度を取るほど、

殿下はそれを“素の一面”として深読みし、

好感度がさらに上昇するという負のループが完成しています。


殿下はもう完全に「恋愛対象として確信」。

ミリアはそれを温かく(?)支える形になってしまいました。

第3章 第17話――殿下の恋愛フラグが確定してしまい、逃げ場がありませんわ!?


 ミリアとの友情イベントを強制的に取得させられ、

 学園中から「エリザベート様こそヒロイン」と騒がれた翌日。


(……終わりですわ。

 悪役令嬢の“悪”の字すら残っておりませんわ……)


 私は登校しながら深い溜息を吐いた。


 今日こそは──

 せめて殿下とのフラグを折ってみせる。

 殿下との距離をどうにか広げられれば、

 王妃ルートだけは阻止できるはず。


(殿下に冷たくすれば、きっと嫌われますわ……

 あの人、絶対表向きは優しいけれど、

 本当はプライドの高い王太子様ですもの……!)


 そうやって作戦を練っていた私の前に、

 運命の悪戯のように殿下が現れた。


「エリザベート。少し時間をもらえるか?」


(来た……! ここで拒絶を見せれば悪役っぽいはず……!)


「申し訳ありません殿下。今日は忙しいのですわ」


 ぴしゃりと断った。

 これぞ完璧なツン対応。


 だが殿下は微笑んだ。


「……ありがとう」


「えっ?」


「君が忙しいと言ってくれるのが、嬉しいんだ」


(どういう解釈ですの!?)


「いつも私に合わせようとしていただろう?

 ようやく“素”の君が見られた気がする」


(素!? 今の拒絶が!?)


 殿下は私に近づき、

 まるで宝物を見るような眼差しを向けた。


「……今日は、どうしても伝えたいことがある」


(な、なにか嫌な予感が……!)


 殿下は私の手を優しく取った。


(待って待って! 王太子の手を取るなんて、断罪フラグどころか恋愛CGですわよ!?)


「エリザベート……君は私にとって──」


(や、やめて……! “大切な人”とか言ったら本当に逃げ道が……!)


「唯一、仮面を外して話せる相手なんだ」


(セーフだかアウトだか微妙!!)


 しかし殿下は続ける。


「誰も私に本音で接してくれない。

 だが君だけは違う。

 君は……私を“普通の人間”として扱ってくれる」


(それ……全部悪役ムーブの副作用なんですわよ……)


「私は……君に心を救われている」


(言ったーーーー!? 心!? 救われた!?

 もっと嫌われたいのに、なぜ浄化イベントになるの!?)


 殿下の瞳には揺るぎない決意があった。

 どうやら殿下自身、もう確信してしまったらしい。


「エリザベート。

 私は……君のことを──」


「殿下!!」


 急にミリアが割り込んだ。

 殿下の告白未遂を止めてくれた……と思ったが、


「エリザベート様を困らせないでくださいまし!

 ……エリザベート様は、その……とてもお優しい方ですから……!」


(ミリア!? それ援護射撃になってるのよ!!)


 殿下は苦笑し、ミリアの頭に軽く手を置いた。


「ミリア……分かっている。

 だが私は……彼女にどうしても伝えたい」


(伝えないで! 私は断罪されたいの!!)


「エリザベート。君は私にとって特別だ」


(終わった……

 この国の王太子の“特別”なんて、

 もう王妃ルート一直線ですわ……)


 殿下の告白はまだ完全には口にされていない。

 だが、確かに“恋愛フラグ確定音”が聞こえた。


 学園ではすぐに噂が広まった。


「殿下、エリザベート様に恋愛宣言寸前」

「もはや婚約確定では?」

「ミリア、エリザベート様を全力擁護」

「エリザベート様、完全ヒロイン」


(違う違う違う!!

 私は悪役令嬢で、ヒロインを泣かせる側ですのよ!!)


 私は空を見上げて頭を抱えた。


(……これでもう……悪役令嬢になるの……無理ではなくて?)


 泣きたい気持ちを胸に押し込みながら、

 私はそっと溜息を吐いた。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


第17話にて、

エリザベートは 逃げ場ゼロの恋愛ルート へ突入しました。

悪役願望は完全に粉砕され、

殿下の心はほぼ固まっています。


次は 第18話:断罪イベントを自分で作ろうとして、さらに好感度が上がる

という、地獄の第四章が始まります。

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