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『悪役令嬢になりたいのに、全部善行扱いされてしまうんですが!?』  作者: ゆう
「悪役の道を作りたいのに、全部善行として処理されますの?」

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第3章 第15話――ライバル令嬢を作ろうとしたら、全員が勇気づけられて味方になりましたわ!?

第15話は、“ライバル作り”という悪役令嬢の王道展開を

全力で潰されるコメディ回でした!


・挑発 → 励まし扱い

・対立 → 勇気づけ

・敵意 → 尊敬

・ライバル候補 → 弟子化&味方化

・殿下 → 王妃資質再評価


悪役令嬢としての希望はまたしても破壊されました。

第3章 第15話――ライバル令嬢を作ろうとしたら、全員が勇気づけられて味方になりましたわ!?


 ミリアからの好感度を下げる作戦が失敗し、

 むしろ「慈愛に満ちた導き手」扱いされてしまった翌日。


(く……まだですわ……!

 悪役令嬢として生き残るには、どうしても“敵”が必要……!)


 ヒロインとの仲を悪くしようとしてもダメ。

 殿下はむしろ好感度を上げ続けてくる。


(ならば……!

 “ライバル令嬢”を作ればいいのですわ!!)


 乙女ゲームの悪役令嬢といえば、

 美しさを競い、社交界で張り合う強敵ライバルが必要不可欠。


(ライバルができれば、

 嫉妬・対立・権力争い……悪役イベントが大量発生しますわ!)


 私は意気揚々と教室へ向かった。


***


 教室に着くと、

 例によって生徒たちが一斉に席を立った。


「エリザベート様のお席を拭いておきました!」

「本日の紅茶、よろしければ……!」

「学園誌に“エリザベート様特集ページ”ができました!」


(いらない!! どこへ行っても王妃待遇ですわよ!?)


 私は咳払いして、

 ひとりの令嬢に目をつける。


名前はセシリア。

成績優秀、容姿端麗、気品ある優雅な令嬢。

唯一、私に勝てそうな有望株。


(よし……今日こそ“対立フラグ”を立てますわよ!)


 私はセシリアへ歩み寄り、

 わざと挑発的な眼差しを向けた。


「ねぇ、セシリア。

 最近……ずいぶんと熱心に勉強しているようですわね?」


 セシリアはびくっと肩を揺らす。


(よし……! 敵意を感じて!! ライバル宣言を返して!!)


「は、はいっ……!

 エリザベート様の背中が……あまりにも眩しくて……!」


(眩しい!?)


「尊敬して……つい、追いかけてしまって……!」


(尊敬!? 私はあなたの敵になりたいのよ!?)


 あわてて言い換える。


「そ、尊敬ではなくて……対抗心を燃やしてはどうですの?」


 しかしセシリアは目を潤ませて言った。


「対抗心だなんて恐れ多いです……

 でも……エリザベート様のおかげで、

 “努力すれば私でも変われる”って思えるようになりました……!」


(やめてーー!!

 なんで勇気づけてしまっているのよぉぉ!!)


 そこへ、別の令嬢が割って入る。


「エリザベート様は……私達の希望ですもの」

「そうよ、セシリア。あなたも頑張れるわ」

「皆でエリザベート様について行きましょう!」


(ついて行かないで!! ライバルになって!!)


 私は焦って言った。


「皆、誤解してますわ!

 私はただ……セシリアに“挑戦してこい”と――」


 だが言い終わる前に、

 セシリアが涙をこぼしながら頭を下げた。


「エリザベート様……!

 私はあなたがくださった言葉を胸に刻んで……立派な淑女になります!!」


(挑戦……じゃない!! 挑発したかっただけ!!)


 他の令嬢達まで一斉に頭を下げた。


「エリザベート様、感謝いたします!」

「励ましの言葉……私達も心に響きました!」

「エリザベート様のおかげで……私達、今日からもっと努力します!!」


(励ましじゃない!!

 ただ敵を作りたかっただけなのよーーーー!!)


 そのタイミングで、絶対に来てほしくない人物が来た。


「エリザベート」


(殿下……あなたは本当に空気を読まない……!!)


 アレクシス殿下は皆の様子を見て、

 深い微笑みを浮かべて言った。


「また君は……仲間たちに勇気を与えたのだな」


(勇気じゃない!! 対立を起こしたかったの!!)


「努力を促す言葉……

 王妃として必要な資質だ」


(王妃の資質じゃない!! 悪役の素質を見てほしい!!)


 殿下の言葉に令嬢達が一層ざわつく。


「やはり……エリザベート様がお妃様に……」

「努力も才覚も備えた方……!」

「殿下と本当にお似合い……!」


(違うんですのよ!!

 私、悪役として断罪されたいのよ!!

 なんで王妃ルートに補正が入るのよ!!)


 その日の学園の噂はこうだった。


「エリザベート様、セシリアを励まして更生」

「令嬢たちの努力を促す“指導力の高さ”」

「殿下、ますますエリザベート様の器を評価」


(違う違う違う!!!

 私は人生で一度も“指導”した覚えはありませんのよ!!)


 私は机に顔を伏せて絶望した。


(お願い……ライバルがほしい……

 誰でもいいから私を憎んでぇぇぇぇ!!)

ここまで読んでくださりありがとうございます!


第15話でついに

「誰一人敵にならない世界」

が完成しつつあり、

エリザベートの悪役願望は地に落ちました。


次は 第16話:ヒロインとの友情ルートが進む → 主人公ヒロイン化

ミリアがエリザベートに“友情イベント”を作り始める回です。

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