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無限の塔  作者: ドジョウ


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ゴブリンの脅威

 休暇を終えたアル達は朝からギルドに集まっていた。本日から新たな階層に行く為だ。


 今までとは違い十階層を越えると階層が一つ上がるごとに敵の種類が増えたり強くなったりする。難易度が大きく上がるのは十の位が上がる時だがここから先は油断が命取りになる。


 アル達はギルドのテーブルを囲みこれから行く階層の情報を確認する。


「まず今回から現れる魔物だがゴブリンの上位種であるホブゴブリン。こいつらが主な魔物だな。それから偶にゴブリンジェネラル。こいつはさらに上位種で基本的には近接の戦闘型で魔法などは使ってこないらしい。」


「へぇ、ゴブリンって種類が多いのね。階層が一つ上がるだけで、ぽんぽん増えるなんて」


「確かにまだ一つ階層を進んだだけなのに…つ、次の階層に上がったら、何が出てくるんでしょう…」


 カトレアと、クレアの反応を見てアルも頷く、調べた限りでは次の階層もゴブリンだ。今度は一つの集団に必ずジェネラルが混ざっている様だ。まさにゴブリン祭り。十五階層を突破するまではひたすらゴブリンである。


 それを二人に伝えると目から光が消えていく。

 ジンも一度通った道だからか皆んなを憐れみの様な目で見ている。


「とりあえず、索敵と危険な状況ではジンに頑張ってもらうが戦闘は基本的には、俺達がメインで行こうと思う。ジンに頼っても成長できないからな。ジンも適度に攻撃しつつ、いざという時の為に周囲の確認をメインにしてくれると助かる。」


 メンバーが頷くのを確認して、十二階層に転移する。

 景色はさほど変わらず草原が広がっていた。


 いつも通りジンを先頭にクレア、アル、カトレアの順で塔の中を進んでいく。


 それからアル達はホブゴブリン達の集団と何度か戦闘を行った。ジェネラルより下とは言え上位種、それも遠距離攻撃を含む集団だったが、アル達にはとっては普通のゴブリンとあまり変わらない。


 クレアがしっかりと引きつけ、その隙にカトレアが後衛を仕留める。数が多ければアルも対処に回った。


「《アイアンボディ》!《オーバーハウルっ!》」


 しっかりと防御力を上げたクレアは全体挑発スキルを使い敵を一手に引き受けるがホブゴブリン三体程に囲まれても特に問題ない様だ。盾で弾き飛ばし、時には殴りつけながらホブゴブリンを捌いていく。


 ホブゴブリン達との戦闘に慣れて来たころ、遂にゴブリンジェネラルが現れた。


 集団の1番後ろにいる為いつものボス戦の様にクレアがジェネラルにスキルを使う。


「《アイアンボディ!》こっちです!《ピンポイントハウル!》」


 ジェネラルがクレアに惹きつけられたのを確認したアル達は直ぐに取り巻きのホブゴブリン達を処理しにかかる。今回はジェネラルのみをクレアが惹きつけてある為そちらに向かおうとしている者から優先的に倒していく。


「クレア!大丈夫か!?」


「は、はい!問題ありません!」


 ホブゴブリン達を切り捨てながら声をかける。問題なくジェネラルに対処している様なので残りを片付けていくアル達。


 ―――グギャギャギャ!!グギャー!


 クレアの押さえていたジェネラルが突然叫び声を上げる、すると…


 ―――グギャ。グギャギャ。ギャギャ。


 遠くから無数のホブゴブリン達がこちらに向かった走ってくる。


「フッ!」


 直ぐに状況を把握したジンがスキルを使いジェネラルの首を落とし、そのままアルに撤退のサインを出す。


「一時退却だ!ジンを先頭に走るぞ!」


 そのままジンに先導を任せながら横から飛びかかってくるゴブリンを倒しながら走るアル達。ある程度距離を稼いだが中々包囲網を抜け出せない。


「…ッ、ここでやるぞ!クレア、オーバーハウルを頼む。その後は惹きつけてジンにカバーリングだ!」


「はぃぃぃ!」


 クレアがスキルを使うと、一斉にゴブリン達が殺到する。涙目になりながらも盾を構えるクレア。


「今だ!」 「《カバーリングっ!》」


「カトレアァ!」 「《並列起動、ボルケーノ!》」


 クレアがジンの元へ飛んだ瞬間、カトレアが魔法を発動させ、クレアの元へ群がっていたゴブリン達を焼き払う。二重起動したボルケーノの後にはゴブリン達は残っていなかった。


「こ、怖かったですぅ。」


「危険な役目を任せてすまない、素材を回収して今日は一旦戻ろう。」


 黙って頷いたメンバー達。それからギルドに戻り反省会を始める。


「な、なんだったんですか!さっきの!?」


 まず口を開いたのはクレアだ。よほど怖かったのかまだ涙目である。確かに異常なほどゴブリン達が集まって来た現象に疑問を抱いていたメンバーは、とりあえず何が知ってそうなジンを見る。


 すると、紙を出して何かやら書き込んでいくジン。それが終わると書いた紙をアル達に見せる様テーブルの真ん中においた。


 どうやらゴブリンジェネラルは、偶にではあるが仲間を呼ぶことがある、それでもせいぜいが3〜4体程度であり、特に問題ないと思って伝えていなかったということだ。ゴブリンジェネラルが叫びもしやと思ったが、気配察知にかかる数が尋常じゃなかったので撤退の合図をしたと。


 申し訳なさそうに俯くジン。自分の伝達不足で仲間を危険に晒したと思って、過去のことを思い出しているのか下を向き悔しそうな顔をする。


 そんなジンにアル達は声をかける。


「ジンが気にすることはない。その話通りなら今回は完全なイレギュラーだ、ある程度の距離に沢山ゴブリンがいたんだろう。」


「そ、そうですよ!あいつが当然叫んで私は何が起きてるか分かりませんでしたけど、ジンさんはすぐ気づいて対処してくれたじゃないですか!」


「えぇ、あの時直ぐに撤退の合図をしてくれなかったらどうなっていたことか。感謝はするけど責めることはないわよ!」


 メンバーからの言葉にジンはゆっくりと顔をあげる。


「それに、これからはこうなることが分かったし、これに対処出来なければ自分たちの実力が今の階層に見合っていないだけだしな。今回の事態を踏まえて、これからはジェネラルを直ぐ倒すなり何なりすれば問題ない。」


 アルの言葉に頷く二人。そんな仲間達を見て、ジンは深く頭を下げる。


 続きの探索は明日からということにしてその日は解散した。

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