探索者ギルド
装備品やもろもろを買い込み、ルシアンに飯を食わせてもらい宿に泊まったアルは朝からなんとも言えない気持ちで自室の鏡を見ていた。
彼の泊まっている宿はルシアンが探索者向けの宿として連れてきたそこそこ人気のある、黄金の豚という宿だった。
本来はまだアルが泊まれるようなところではないが探索者からすれば比較的安価で泊まれ飯も美味いあたりの宿である。駆け出しから中堅どころまでが好んでくる程度ではあるが無一文のアルにとっては天国のようなところだ。
昨日までの生活とは違い綺麗な水で体を清め、看板メニューだという黄金豚のステーキを食べた。ルシアンから飴をもらったわけだ。
これに見合った働きをしろと。
それはアルにとって望むところではあるが、探索者になればこんな所に泊まりこんな飯を食うのが当たり前だという事にやはり自分の考えは間違ってなかったのを再確認するとともに、奴隷とは、つくづくクソッタレだと思う。
こんな生活を手に入れてやる。燃えるような意志を宿しアルは荷物をまとめて宿を出る。ルシアンから言われた所に向かうのだ。
そう、アルはキャンプに行くのである。
キャンプ。それはこれから塔へ潜る探索者達に向けた初心者講習のようなものだ。
やってきたのは探索者ギルド。ここは荒くれ者の探索者を管理するために作られた寄り合い所である。探索者達のいざこざを無くすため上下関係がわかるよう、強さや貢献度に応じたランク制度を作り、塔で集めた素材や宝を買い取るなどを主な役割としていた。
その中にある一つの制度としてキャンプがある。
塔を登るにおいての最低限の知識や立ち回りなどを実戦形式で教える。国にとっても有益である探索者達が火にいる虫のようにどんどん飛び込んで死んでしまっては利益も出ない。その為ある程度、塔で生きる術をここで学ばせるのだ。
アルはルシアンに言われた通りに受付へ行きキャンプの申し込みを行う。
「キャンプを希望する、」
「かしこまりました、こちらの札を持ってお待ちください。」
受付の者に言われアルはC−3と書かれた札を持ち適当な席を見つけて腰を下ろす。するとニヤニヤとした顔で近づいてくる男女に声をかけられる。
「見てたぜ、お前もCのようだな、俺の名前はカイルだ!よろしくな、奴隷仲間君。」
「カイル!あんたのそういう所が、はぁ。ごめんなさいね?私はリアよ。Cの札って言うのは奴隷に渡されるものなの、だから私達は同じ境遇ってわけね。」
その言葉に少し驚くアル。なにせ自分のいた奴隷商には死んだ目をした奴らしか居なかった。他にも自分のようなものがいた事によって二人に少し興味を持つ。
「俺はアルフレッド。アルと呼んでくれ、二人はどうして探索者になったんだ?」
それからカイルやリアも同じように一攫千金、奴隷からの脱却を目標にしている事、アルとはべつの貴族に雇われて探索者デビューをする事をきいた。お互いの宿を教え合い、お金を手に入れたら飯を食う約束をした。カイルが剣士、リアが弓を使うようだ。そんな話をしていると、受付からCの札を持つ者へ呼び出しがかかった。
どうやら奴隷連中は、俺達だけのようだな、3日間よろしく頼むぜ?相棒。
またしてもニヤリと笑みを浮かべるカイルを見てアルも笑う。
その少し後ろを呆れたような顔でついていくリア。
アル達3人のキャンプが始まる。




