ギルドショップ
祝勝会を終えたアル達は相変わらず忙しい日々を送っていた。塔を登るため毎日自己強化に励む。前回、ジャイアントラットを倒してから十階層のコボルトキングに挑戦するまで三ヶ月鍛え、これならばと挑んだわけだが、それでも十の位のボスは強かった。
結果としては取り巻きを瞬殺し、カトレアの魔法を連続で打ち、アルがとどめを指しただけ。火力は十分あるし、倒せと言われて倒せない事はないだろう。
しかし、一発でも食らえば状況が一変する事は目に見えていた。必要なスキルや火力は十分。しかし地力が足りていない。二人で倒すならコボルトキングの攻撃を安定して受けられる実力がいる。
強力なパーティーメンバーでも、加入しない限り地味に自分達を鍛えるしか無かった。まぁ、アルに取ってはいつも事だった。
しかし、今回はただ自分達を鍛えるだけかと言われるとそうでも無い。
探索者ランクDから解放されるギルド内の店。通称ギルドショップと言われる店に入る権利をアル達は得ていた。
ギルドとしても十階層を越えられる者達は塔をこれからも先に進む気概がある者とみなす。日銭稼ぎのために毎日ラットなどの素材だけを持ち込む者達とは違い明確にギルドのお得意様となる。
上の階層から得られる様々なドロップ品や素材、食材などのこれらはこの塔のある街を支える貴重な品々だ。
ラットなどの素材も尽きることのない新規探索者の装備や、職人達の道具にもなるため一定の需要はあるが毎日山と持ち込まれるそれらよりは、上の階層から取れるものの方が価値があるのは当然のことだ。
だからこそ貴重な探索者には、簡単に死なれては困るし、これからも先の階層に進めるよう、バックアップも行う。
祝勝会の翌日、早速ギルドショップへ向かい、探索者カードを見せ中に入ったアル達。そこには沢山のスキルオーブやアイテムなどが所狭しと並んでいた。
塔から一瞬で脱出できる帰還の書や、大量の物が入るマジックバックなど、様々だ。
そのどれもが今のアル達が手に入れることの出来ない上の階層の品々。上位の探索者達が被った物や資金を得るために売ったそれらを他の探索者が買い、塔を登りまた別のものを手に入れ、ギルドに売る。そうして売られた物がギルドショップで循環し探索者全体の底上げになっていた。
アル達は目移りしてしまうそれらを見て自分達に必要な物を探した。そして、絶対に欲しい物を決め、自分達を鍛えながら資金を稼ぐ事にしたのだ。
必要なら資金を出すと、ルシアンは言っていたが、身の丈に合わない階層に潜り毎回、帰還の書なんかを使っていたら金なんてすぐになくなる。
自己強化も必須である。とりあえずアル達が決めた欲しい物リストはこうだ。
帰還の書×5 今の2倍のマジックバック
スキルオーブ《飛斬》《エンチャント》《並列起動》
これらだ。その他は、新メンバーが見つかった時に、ルシアンの資金を使いその者に適した物を購入する。
アルは投擲しかなかった遠距離攻撃のスキルを。
カトレアは武器に属性を付与する魔法と、複数の魔法を同時に起動できるようになるスキルを。
そして、十階層からの強敵や、ネームド対策の帰還の書を複数。
これらを買えるだけの資金を貯め終わる頃にはそれなりに鍛えられているはずだし、ギリギリだが倒せたコボルトキングも新しいスキルと鍛えた肉体があれば大丈夫だろうという判断だった。
その為アル達は毎日塔へ、潜りコボルトジェネラルの狩りをしている。
因みに装備の方も更新していた。コボルトキングの素材を使った防具と、武器を作った。カトレアは今回も防具だけだ。魔法使いは、杖を触媒にスキルを使うと威力が上がるとされているが、まだ素材が手に入っていなかった。
炎を吐く魔物のドロップや、頑丈な木の素材などはまだ少し先の階層だ。カトレアはたまたま家にあったスキルオーブが凄い物で杖がなくても強力な魔法を使えたが、本来ならば今の段階では皆そこまでの魔法は使えないし杖がないから火力も平凡だ。逆にだからこそ切り札としてカトレアの魔法を頼りにしているのだが。
「まぁ、無い物ねだりはできないわ、でも本来杖を使うのに、それでも通用する魔法を杖ありで使うのは、とても楽しみにしておくわ!」
いつか、杖を使ってボルケーノを放つことを楽しみにしているとカトレアは、笑ってた。アルはその時は最優先で作ると約束した。
そして、毎日塔に登りせっせと資金集めと強化をしていたアル達に知らせが来た。
パーティーメンバー候補が見つかったと。




