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無限の塔  作者: ドジョウ


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初めての海鮮

 

 カトレアと今回来たのはいつもより少しグレードの高い店だ。ルシアンからも特別報酬を貰い、これから十階層の報酬も振り込まれる。今後の予定もゆっくり話したかった為、いつもの大衆向けから、少しランクを上げ贅沢をする事にした。


 今回の功労者であるカトレアに何か食べたい物は無いか聞いたアル。カトレアは、少し恥ずかしそうだったが―――それなら魚が食べたい。と言った。


 元貴族であり、両親がそれなりの探索者であったカトレアは、最高級とはいかないまでも、色々な物を食べたことがある。その中で奴隷なってから食べていないのが魚であった。


 ならばと訪れたのが【Blue lagoon】だ。


 この塔で採れた魚介類をふんだんに使った料理が食べられるようで、ある程度稼げる探索者から、稀に貴族も来ることがある酒屋だ。


 個室に通されたアル達は流行る気持ちに任せてメニューを見る。


 そこには知らない名前の魔物を使った料理が沢山並んでいた。


 カトレアは、名前を見ればなんとなくどんなものか分かる物もあるようだが、物心着く前から奴隷のアルにとっては未知の世界だった。カトレアにこれはどんなものか、メニューを指して聞きながら頼む物を決めて行く。


 二人が取り敢えず頼んだのは、ハンマークラブの蒸し焼き、スカイフィッシュの揚げ物、そして、本日の魚と貝の盛り合わせだ。


 打ち合わせを兼ねている事をお互い分かっていたので軽い酒で乾杯する。


 探索の疲れを潤し、料理が来るまでまだ時間がかかる為アルは話を切り出した。


「今日の探索で思ったが、これから塔を登って行くにはやはり新メンバーは必要だと思う。」


「そうね、メンバーを増やす事に異論はないわ。ただ、誰でもいいって訳にはもういかないわよ?」


 そう。今回アル達は十階層を突破した。それは探索者としての一つの壁を越えたという事。十階層を越えられない者は掃いて捨てるほど居る。自分達のレベルが低ければ欲しいメンバーにそれ用のスキルを与えて役割を分担すればいい、地力が同じならば。


 しかし、アル達がこれから探索して行くのは十階層以降、やる気のない者や、駆け出しは十階層を一緒に越える事はできない。必然的に十階層で戦える実力がある者か、自分達に折れずに着いてこられる者に限られる。日銭稼ぎのやつは候補にならないという事だ。


「そうだな、なら、一般枠は、実力のある者、奴隷なら意思のある者といった感じで探すか。」


「奴隷から選んで大丈夫?私が言えた事じゃないけど、今から育てるのは大変よ?」


「確かにそうだ、だがあの劣悪な環境にいて尚、心が折れずに探索者になろうとする者は並大抵の事では心が折れない筈だ、しっかりフォローし、俺達が元奴隷で塔を駆け上がってる事を知れば離れる事はないだろう」


 ―――自分で言うのもなんだが探索者奴隷の成功者のように見えるだろうしな。


「確かにそうね、じゃあパーティーを組みたいある程度腕のある人か、探索者になる意思の固い奴隷を探しつつ、コボルトキングを安定して倒せるように鍛えていく感じで行くって事でいいの?」


「そうだな、一般枠はギルドで募集してもらって、奴隷は、奴隷商に、希望者がいたら知らせて貰うようにするか。」



 ある程度話がまとまった頃、遂に料理が運ばれてきた。一度に頼んだのでまとまって運ばれてくる料理達。


 キラキラと輝く刺身の盛り合わせ、香ばしい匂いをさせる魚の揚げ物そして、やはり二人の目を引いたのは大きなカニの蒸し焼きだ。テーブルの真ん中にデカデカと置かれたそれは迫力が凄い。


 蒸し焼きは熱いとの事で冷める前にと早速取り分けていく。足は半分ずつに分け、本体は食べ方がよく分からないので、カトレアに任せる。


 足は殻をとって中身を食べるとの事でカトレアに習い身を外す。硬い殻に入っていたとは思えない程柔らかい身を掴みアルは早速食べてみた。



「ッ!これは‥凄く、美味しい。」


 普段では、想像できない緩み切った顔のアルを見てカトレアも、ふふっ。と笑いハンマークラブを食べていく。他にも盛り合わせや、揚げ物にいちいち嬉しそうに反応するアルを見てカトレアも楽しそうだ。



 ―――これは最後の楽しみよ。大人の味がするの。


 粗方食べ尽くし、満足したアルにカトレアは言う。

 それは、ハンマークラブの本体だ。身の他に何やらドロっとしたソースのようなものが入っていた。それを混ぜ合わせ、「食べてみる?」と言われた。


 中々の見た目におそるおそる口に運んだアルは‥


「俺、こいつは足だけでいい。」と呟き酒で流し込んだ。


 そして、美味しいのに。とぱくぱく食べるカトレアを信じられないような目で見ていた。


 とはいえ、初めて来た店の魚料理に大変満足したアル達。



 二人はまたここに来れるように頑張ろうと誓った。


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