パーティの在り方
コボルトキングを倒したアルはその場に立ち尽くしていた。緊張の糸が途切れ、先程までの出来事が次々と頭の中に蘇っていた。
強敵を自らでとどめを刺した興奮。情けなさや、カトレアへの申し訳なさ。様々な感情が湧き上がっていた。
そんなアルの元へカトレアも走り寄っていく。
「やったわね!さすがアル!」
その声に振り向くと、嬉しさ全開と言わんばかりに顔を輝かせるカトレアが目に映る。
彼女は、自分の失敗を恐れ作戦通りに動けなかったアルを責めるどころか、凄い凄いと嬉しそうにアルのことを持ち上げる。
そんな姿を見て思わず呟いてしまった。
「今回勝てたのはカトレアのおかげだ。すまなかった。」
―――カトレアを誘った時偉そうにお前に何が出来る?などと言っておいて、いざ自分はこの様だと。カトレアは、自分の役割を十分に果たした。それに比べて‥‥
一度吐き出した思いは止まらず、ぽろぽろと口からこぼれ落ちる。
―――カトレアが狙われたらなどと、仲間の身を案じるフリをして、結局我が身可愛さにビビっていただけではないか。いざとなれば加速を使って割り込むなり抱えて逃げるなり、出来た筈だ。勝てなそうな時の打ち合わせだって、事前に何回もしていたはずだ。
淡々と。自分を下げる事を言い続けるアルの言葉を黙って聞いていたカトレア。
言いたい事をあらかた吐き出したのか黙ってしまったアルを見て、口を開く。
「アルが今回の戦闘でどう感じたのかはよく分かったわ。確かに作戦通りの動きをしていなかったことにも気づいたし。」
俯くアル。
しかしカトレアの話はまだ終わっていなかった。
「だけどね、私達はパーティーなのよ?自分一人で何でも完璧に出来るならソロになればいい。お互い助け合う為にメンバーがいるんじゃないの?」
「私はアルとパーティーを組んでからアルのことを情けないだとか、使えないだとか思った事は一度もないわ。」
カトレアは言い切った。アルが感じていた様な事は一度も思った事はないと。顔を上げ、カトレアを見た。彼女は下を向き俯いていた自分のことを真っ直ぐ見ていた。
「私は今まで必要とされる事なんて無かった。アルが今言ったようにそれこそ仲間の足を引っ張る役立たず。その癖プライドだけ高くて、本当最低ね。でも貴方と出会って、必要とされて、変われたの。散々馬鹿にされた私の魔法を必要として、頼ってくれた。今回だってそう。私の魔法を切り札って言ってくれたから躊躇わず使うことができたわ。」
「だからいいのよ、失敗しても、仲間に任せても。何度でも挑戦すればいいのよ。私達は‥ヴォルフ・ガングは塔の頂に行くんでしょ?」
そう言って不敵に笑うカトレア。
アルは、自分の中につっかえていた物が取れたような気がした。
―――そうだ。今の俺は一人じゃなかった。奴隷商にいた頃とは違う。仲間がいて、魔物を倒して、そうやってここまで来た。これからもそうあればいいのだ。そして塔を登って行けば、必ず‥。
今度は顔を上げ、アルも真っ直ぐカトレアを見つめる。
「カトレアの言う通りだ。すまなかった。‥これからもよろしく頼む、カトレア」
「えぇ!任せなさい!私も頼りにしてるわよ?」
カトレアはそう言ってニコッと笑い、
「それじゃ、話もまとまったところで、ドロップ品を確認しましょ?見てよアレ、すごいわ!」
辺りに散らばるコボルトキング達のドロップ品にかけていく。
本当、凄いやつだな。俺の相棒は。
アルもカトレアの後を追いかけて行く。
その顔にさっきまでの曇りはもう無い。




