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無限の塔  作者: ドジョウ


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幕間 sideカトレア2

今日は少し短めです。

 

 奴隷になったカトレアは最初、自分の不幸さを呪った。母は、塔で命を落とし

 父は母を失い壊れてしまった。それで自分にはなんの才能もない。


 僅かな希望だった魔法は使い物にならなかった。挙句奴隷落ち。どうして自分だけがこんな目に遭わないといけないのか。


 そんな日々が続き漸く自分の置かれている立場を理解した。このままでは、奴隷商の中で痩せこけた老婆になって死ぬか、好きものに買われ体を弄ばれるか。

 二つに一つ。


 探索者奴隷となる道もあったが買い手はもっぱら貴族だ。貴族と揉め、探索者としては使えないと言われた自分をどの貴族が好き好んで買うものか。



 その事に気づいたカトレアは絶望した。


 塞ぎ込み他の奴隷と同じよう、やがて来るその日に怯えながら膝を抱えブツブツと呟くだけの人形になった。



 さらにそんな日々を暫く送っていたカトレアだが、何があったのか昨日、探索者の奴隷を買いたいという貴族がやってきた。日に4人もだ。


 貴族の玩具か、老いて死ぬだけかと思われたカトレアに僅かな希望が差し込む。どうせ私なんか探索者として買うものはいないと、諦めていたがこれだけ人が来ると、もしかしたら一人ぐらいはと思ってしまった。


 しかしどの貴族もカトレアの経緯を知ると帰っていく。そんな彼らを見てカトレアはとても悔しかった。

 先ほどまで探索者奴隷が欲しいと鼻息を荒くしていたのに、自分の話を聞くだけで首を振って帰っていく貴族たち。


 カトレアはどうしようもなく悔しかった。誰も過去の自分しか見てくれない。あいつには価値がないと言わんばかりの目。そう、あの時のパーティーメンバーの様な。最後に見た父の目の様な。          

 その日カトレアは夢を見た。それは楽しかった昔の記憶。探索者になると必死になっていた時の記憶。あの頃に戻りたい。誰でもいいから私を見て欲しい。   



目が覚めると、いつもの奴隷商だった。



翌日また、貴族が来た。その貴族の目的は探索者奴隷では無かった。カトレアは暴れた。探索者奴隷としての僅かな希望を見てしまった彼女には貴族の玩具になるのは耐えられなかった。




そうして暴れていた時。その人は現れた。


その人は何も聞かなかった。自分にも店主にも。

自分が奴隷落ちした理由なんかどうでも良いといわんばかり。ただ…


――自分のパーティーメンバーを探していると。お前に何ができるとかと。


過去の私ではなく、今の私に何ができるかと。彼はそう言ったのだ。




それは、カトレアにとって、とても、とても――嬉しかった。どうしようもなく。



それからカトレアは泣き出しながら自分の過去を語った。自分はこんな人間で、魔法は使い物にならなくて

どうしようもない人間だと。


その間彼は黙って聞いていた。そして。




「そうか。つまりは強力な魔法を覚えていると。それで?探索者になる気はあるのか?」




……あぁ、この人はほんとに過去の私には何も興味がないんだ。こんなにも私を苦しめた過去に。



カトレアはそれから時間をかけて泣き止むと、真っ直ぐアルの目を見て言った。





「あるわ、探索者になる気持ち。こんな私で良いのなら。貴方の仲間に……して頂戴。」







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