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無限の塔  作者: ドジョウ


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今後の予定と打ち上げ


翌日アルは、使いの者の案内でルシアンの元を訪れていた。手に入れた、素材と受け渡しとキャンプについての報告のためだ。


「話は聞いているよ。ジャイアントラットを倒したそうじゃないか。なんでも六年ぶりだとか」


ルシアンの機嫌は良さそうだった。それもそのはず、アルは安い値段で買った奴隷だ。初期費用以外は宿代(食事付き)ぐらいしかかかっていない。

それに、五階層のジャイアントラットを初心者が倒せるようになるには早くてひと月、長い者では半年近くかかる事もあるそうだ。そしてそれらは挫折せずに探索者を続けている者の話だ。


しかしアルはキャンプのメンバーと組んだとはいえ三日で倒してしまった。今回のジャイアントラットの素材を売れば今までアルに使った分などお釣りがくる。

探索者パーティーに日毎に賃金を払いっていたのが馬鹿らしくなるほどだ。


「今回のパーティーメンバーは皆初心者の奴隷だったようだがそれほど腕の良い者がいたのか?」


「いえ、確かに皆とても頼りなるメンバーで自分よりも他のメンバーが劣っているとは思いません。ですがずば抜けている者がいると言うよりも全員が最後まで諦めず、ギリギリ倒せたと言う感じでした。」


アルの説明を聞いて、ルシアンは考える。なるほど。ならば他の奴隷を見繕いアルにつけるのはどうかと。特別な力がなくとも、それなりの者を二、三人程アルにつければまた近いうちに五階層を突破できるかもしれない。そうすれば定期的に、ジャイアントラットの素材の利益。さらにはそこから先の階層の魔物素材が手に入る。


ある程度今後の道筋を決めたルシアンはアルに提案する。


「今後アルのパーティーメンバーを見繕う。合わなければソロでも構わないがジャイアントラットが倒せるとなればやはりパーティーを組んでどんどん成長していってもらいたい。日程は追って伝えるが奴隷商をともに周り気に入った者がいれば購入しよう。」


頷くアル。確かにカイルや、リアのような仲間がいれば心強いし、塔を登る速度もソロより段違いだろう。

それに、アレはまだ一人では倒せない。


それからアルはルシアンにジャイアントラットの素材を使って装備を作る事を許可された。今回の成果の褒美とこれからへの投資を兼ねてとのことだ。余った素材はルシアンの物となる。そして、打ち上げの話をすると、これで払いなさいと、多めのお金をもらった。


なんでも、今回ジャイアントラットの素材が手に入ったのも、アルが成長できたのも、他の二人のおかげでもあると言うことで、これで二人のことも労ってやりなさいと言うことだ。ルシアンとしても優秀な奴隷がこっちに鞍替えでもしてくれないものかと、わずかな打算があることに間違いはないが。




それからルシアンの元を後にしたアルは鍛治屋のアンドレイの元を訪ねた。アルのことに気がついたらアンドレイがニヤニヤしながら声をかけてきた。


「よぉ、少しは見込みがあると思ったが、まさかここまでとはな!」


―――ガッハッハと、嬉しそうに笑うアンドレイにアルは今回の目的を伝える。



「なるほどな、ジャイアントラットの素材で装備か。お前さんも倒したならわかると思うが安い剣程度なら通らない耐久性があるからな。防具はジャイアントラットの革素材で作ってやる。後は武器だな。希望はあるか?」


槍を新調しようかと思ったがふと奴隷を見にいく事を思い出したアル。


メンバーが増えるならそれに合わせるのも必要かもしれない。それにジャイアントラットを倒したので少し身体能力も上がっている。今ならある程度の武器なら振り回されることもないだろう。


「武器は保留にする。また近いうちに頼みにくる。」



――わかった。三日で出来るからそん時にまた取りに来い。




装備を頼んで鍛治屋を、後にしたアルは宿に戻り、素振りなどをして時間を潰し、体を清めてカイル達との待ち合わせ場所に向かう。



訪れたのは探索者に人気の酒場だった。打ち上げといえば酒だろと、カイルがはしゃぎだし、満更でもなかった二人が了承したため決まった。奴隷だった事もあり酒など飲んだことがない三人が興味を持つのも当然だった。



店に入るとすでに揃っていたカイルと、リアに呼ばれるテーブルにつく。アルはルシアンからお金を預かっている事を二人伝えると、二人は喜んだ。二人とも今回の件を雇い主に褒められ、報酬も貰ったそうだがタダでご馳走にありつけるとなれば話は別だ。


料理と、周りの探索者が飲んでる()()()と言うお酒を頼んだアル達。


酒が運ばれてきた所でカイルが音頭を取る。



「それじゃあ、ジャイアントラット討伐と俺たちの素晴らしい出会いに。乾杯!!」


「「乾杯!」」


ガツンと樽ジョッキを打ち付け酒を煽る三人。


「クウゥゥッ!こりゃあ、たまんねぇ!」


美味しそうに酒を飲み一気飲みするカイル。アルも気に入ったようで普段見せない少し緩んだ表情で酒を飲み干していく。


――よくこんな苦いの飲めるわね。「あっ店員さん、

この果実酒?ってやつ一つもらえるかしら?」


エールは口に合わなかったのか、カイルに押し付け次の酒を頼むリア。


それから三人は美味い飯と酒を食べながら話に花を咲かせていく。これからの予定、まだ試してないスキルの話などネタは尽きない。腹も膨らみ酔いも回ってきたころ。カイルが二人を見回していった。また、三人で飲みにこよう。



そして、また一緒にパーティを組もう。と。



いつになるか、そんなことはなにもわからないが、二人は頷き、約束する。





解散となって外に出たアル。今日の風は少し冷たい。だが、今のアルにはちょうど良く、心地いい。








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