リアの想いと決着の矢
ラストぉ!
意気込んだもののボロボロの二人と怒り狂うラット。
状況は圧倒的に不利だった。まともに戦えるはずがない――ならやり方を変えればいいだけだ。
「カイル、剣貸してくれ。守りは任せる。」
「任せろ。」
吹き飛ばされて武器の無くなったアルはカイルに剣を借り、武器を無くしたカイルはと言うと―両手でガッチリと盾を握りしめる。
しっかりと持った盾で敵の攻撃を受け止めるカイル、その合間を縫ってカイルが受け止めた腕に剣を振り下ろすアル。
何度も。。何度も何度も何度も機械のように繰り返す。もう二人には動き回る体力など残っていなかった。だがそれでも構わない。繰り返すのだ。アイツが倒れるまでは‥‥
リアはそんな二人の後ろ姿を見ていた。
リアには理解できない。なぜそんなにもなってまでまだ戦うのか。AチームもBチームもみんな負けた。教官だって今の私達には厳しいって言ってた。なのに。あんなにボロボロなのにどうして‥‥
私には二人しかいないのに。
物心着く頃にはすでに私は奴隷商の中にいた。親の顔なんか知らないし興味もない。ただここで食べて寝て、どこかの変態に飼われるか、この中で野垂れ死ぬだけ。そう思っていた。でも、カイルが入ってきてから変わった。変わらされてしまった。カイルはいつも楽しそうに話をしてくれた。外に出て、探索者になって美味しい物を食べて、ふかふかのベットで寝て。俺の夢だって。こんなクソ溜めなんか直ぐに抜け出してやるって。
全ても諦めていた私はそのカイルの眩しさにつられるように夢を見始めた。本当にそんな夢見たいなことあるのかな、でも夢ならいくら見てもいいよね。
それから奴隷商の中でカイルと特訓が始まった。毎日毎日クタクタになるまで探索者になる為に鍛えた。
疲れて嫌になることもたくさんあったけど、無気力で何もかも諦めていたあの頃なんかより全然良かった。
そんな中、遂に探索者奴隷を買いたいと言う家族が現れた。本当に来た!私はカイルとそれはもう喜んだ。そして念願のキャンプ、これが終われば探索者デビュー。そんな気持ちではしゃぐカイルとギルドへ向かい、そこでアルと出会った。
最初は大人しい子だなと思った。でも、時折見せるその瞳はカイルと同じだった。それで興味を持った。話していくうちに次第に仲も深まり、カイルがパーティーが組めたらなと言った時本当にその通りだと思った。毎日三人で塔で探索して美味しい物を食べて、そんな日々をこのまま三人でずっと‥‥‥
思考の波から帰ってきたリアは、前で戦う二人を見る。まだ二人は諦めてなかった。諦めてるのは私だけだけ。もし二人がこのまま倒したら私は必要ない?
一人諦めた私を二人はどう思うだろう。
必要ないって捨てられる?それとも私が二人についていけなくなって、それで‥‥‥、
いや、そんなのはいやだ。絶対。カイルも、アルもいない世界なんか意味がない。私は二人に守ってもらいたいんじゃない。三人で明るい未来を掴むんだ!
リアが涙を拭いて顔を上げる。その時――
「ギギィーーーッ!?」
もう何度目かのアルの一撃。盾と剣ずっと負荷を与えて続けていたジャイアントラットの前足が――ガクンッと落ちる。
――カイルッ!―
―よしキタァ!―
前にツンのめるように下がるジャイアントラットの鼻っ面に下から渾身の力を込めた盾と剣がぶち当たり――顔を跳ね上げる。
「「リアァァァァァッ!!」」
――あぁ、二人はまだ。後ろで泣きじゃくるだけの私をまだ。信じてくれていた――
「‥‥私に‥わだじに!まがぜなざいっ!」
――パァァァン――
リアが放った渾身の矢は跳ね上がったジャイアントラットの目に突き刺さる。
そのまま身体をビクンッと振るわせたジャイアントラットは、光になって消え―大量のドロップ品が散らばった。
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