最底辺の男
初投稿なので気軽に楽しんでください。
世界にたった一つ、天まで届くかという塔があった。無限の塔と呼ばれるソレ。ソレはいつからあるのか、誰が造ったのかもわからない。
しかし、人はそこに狂ったように入っていく。その中には見たこともない金属、武器などが手に入り、そして人ならざる力も身につけることができる
人と言うものはよく深いものである。誰もが心の中では人より優れたいと思うもの。
それが力か富か権力かはそれぞれ。だかそこに入れば、そして登れば登るだけそれらを得られるとなれば、人が惹かれるのは当然のことだろう。
そしてまた一人ここに塔へ登らんとする者がいた。名前はアルフレッド。奴隷である。
この国オストベルグの奴隷は少し特殊な役割も兼ねている。塔の攻略である。塔の中には異形の怪物が跋扈している。命はかけたくない、しかし中で手に入る物は得たい。そういった者たちは、ある時は共に塔へ潜り、又ある時は奴隷をまとめて送り込むのだ。
もしそこで有用だと判断されれば奴隷商でクソみたいな飯を食わずに済むし、はたまた身分を与えられ奴隷から解放される未来まである。命を賭けてでも成り上がりたい奴隷にとってはとても夢のある話だ。だか逆に全てを諦めている者からすれば馬鹿な話でもある、なぜ最低限とはいえ飯と寝床があるのに命を賭けなければならないのかと。
そしてこのアルフレッド。アルは前者の考えを持つ者であった。いつか塔を登って成り上がる、俺はこんなところで腐って死ぬ人間じゃない、そう思って奴隷商の中で日々自分を鍛えてきた。
そしてそんな彼に転機が訪れる。
―この者か。塔へ行きたいと言うのは。―
やって来たのはこの塔のある領地を収める侯爵、その子飼いの貴族であるルシアン。ルシアン•ゲイルであった。
彼は、というよりこの領地の貴族たちに求められるのは塔からの利益を国へ還元することである、しかし武の才能を持たなかった彼は侯爵や、他の貴族たちとは違い自分で塔を登ることを諦めた。
しかし貴族として納める物は納めなくてはならない。
今までは塔の探索に慣れている者を雇いやり繰りしていたが、その者たちにも自分たちの生活もある。
全ての利益をルシアンに渡すわけでもなければ命を落とすこともある。その上雇う上での賃金も払うとなれば自転車操業である。
そこで今日は思い切って雇うに安い奴隷を見に来ていた。塔へ潜ったこともなければ、何ができるのかもわからない者への投資は悩んだが、物は試しと今の状況を変えるためにやって来た。
「ようこそ、旦那さま!こいつがウチでは唯一の塔への志願どれいでさぁ。」
店主の男がルシアンに告げる。
「なるほど、奴隷だからか少し痩せて見えるが、その辺のものよりはできそうなのか?」
「まぁ、こいつはずっと塔に行きたいって言ってこんな所にいても鍛えてるような変なやつなんで。やる気はひと一倍なんですが」
なるほど。と、ルシアンは熟考する。果たして使えるかと。そしてその男、アルを見て目を見開く。
―なんだ、この男の目は!ここで買われること、そして塔へ行くことが全てというような、今この瞬間に全てを賭けてるような燃えるような目は!?―
そう、アルの目はぎらついていた。やっと来たチャンス、次にいつ訪れるかわからない。もう死ぬまで買われないかもしれないのだ、こんなクソみたいなところを出て成り上がるためには今この瞬間しかないと本能で悟っていた。そのため睨め付けるようにルシアンをじっとみていた。
「店主、この男を買う。いくらだ?」
「かしこまりましたぜ、旦那。これくらいでどうですかい?」
そしてアルはルシアンに買われた。
これより始まるのは誰も辿り着けない階層まで登り人々から畏怖、好奇、嫉妬、様々な意味で注目される攻略チーム。
ヴォルフ•ガングの物語である。
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