1-7.青春は終わらない
「楽しかったなー」
「やー、最高だった!」
「ふふ。メロスはどうだった?」
「最高でした!」
全てのプログラムが終了し、大方後片付けも終わったところで、俺たちはグラウンドの芝に座り込んでいた。
クラス対抗リレーで優勝した俺たちのクラスには、トロフィーが与えられた。
一応、体育祭全体での勝負もあるんだけど、正直そっちより、このクラス対抗リレーがめちゃくちゃ盛り上がるので、全体の勝敗はあまり気にしていない。
「最高でしたけど、もうこれで終わっちゃうんですね⋯」
夕焼けを見ながら、メロスがポツッと呟いた。
そう、何事にも終わりがある。青春は短いのだ。
「感傷にふけってるとこ悪いけどな、まだ合唱祭があるぜ」
タフなリュウが、空気をぶち壊すように言ってきた。
「合唱祭、ですか?」
「そう。10月だからまだだいぶ先だけどな。そっちもクラス対抗だ」
「課題曲と自由曲の2曲を歌って、優勝を決めるの。自由曲は、もう今から決めて練習始めてるクラスもあるくらいなんだよ」
「すごいですね」
そういえば、メロスは歌はどうなんだろう。音楽の授業では、良くも悪くも、特に目立ってはいなかったけれど。
「メロスは歌は得意?」
「⋯えっと」
あ、なんか嫌な予感がする。
「⋯もしかして、音痴とか⋯?」
「音程は、わかります。ちゃんと」
それは、音痴だという自覚があるということか?
「え、でも、普段の音楽の授業とか聞いてても、そんな外れてる子いなかった気がするんだけど」
「音楽の授業は、まあ⋯」
「まさか、口パクでごまかしてんのか?」
「ちゃんと歌ってますよ! ⋯目立たない程度の声で」
「おい!」
マジか。
一難去ってまた一難。
「ったく、しょうがねえな。よし、来週からは歌の練習だ」
「ええ!?」
「つーか今からカラオケ行って練習だ」
「今から!? ムリです! 僕もうヘトヘトです」
「んなの、カラオケで飯食えばなおる」
「そんなぁ」
リュウに引っ張られていくメロスの金髪が、夕日に当たってキラキラと光る。
俺と学は苦笑して、その後を追いかけた。
「お代官様〜。御慈悲を〜」
「どこで覚えたんだよそんなの。お前が終わっちゃって寂しいっつったんだろ。良かったな、まだまだ終わらないぜ」
「うわーん!」
そう、俺たちの青春は、まだまだ終わらない。
END.




