番外編 初詣
「明けましておめでとうございます」
「おめでとうございます」
「初詣に来ましたよ〜!」
いつにも増してテンションの高いメロスを連れて、俺はいつものメンバー、リュウ、学と一緒に初詣に来ていた。
ついさっき年が明けたばかりの真夜中だ。
「今年も一緒に初詣に来られて嬉しいです!」
「そうだな」
高校生になってバラバラになった俺たちだが、何かあればこうして集まって一緒に遊んでいた。
「メロス、その格好寒くないの?」
「さぶいです〜。もうすぐ僕は凍ります」
「だから厚着して来いっつったのに」
準備のいいリュウは、メロスにカイロを渡している。
「甘酒とかあるかな? 飲んだらあったまるんじゃない?」
「甘酒? お酒ですか? 学くんもついに不良になったんですか?」
「なってないよ」
甘酒を知らないメロスに、学が説明する。
「わあ! それなら僕も飲んでみたいです」
「その前にまずはお参りだな」
お参りを済ませた後、目当ての甘酒を見つけて購入した。
「みんなは何をお願いしたんですか?」
「成績が上がりますように」
「家内安全」
「健康」
「地味ですね」
「芳樹、成績は神頼みじゃなくて自力で頑張りなよ」
「いいだろ別に。自力で頑張らないとは言ってない」
その上での神頼みだ。
「メロスは何をお願いしたんだ?」
「僕は、みんなと一緒に高校卒業出来ますようにと、じいやのバイトの時給が上がりますように。あと学くんの彼女に今年こそ会えますように」
「賽銭いくら入れたんだよ⋯」
「みんなと一緒に卒業って、メロス留年しそうなの?」
「そういう意味じゃないです!」
メロスは、未だに迎えがいつ来るかはわからないらしい。卒業までこっちにいたいと、よく本人は言っている。
「学の彼女のことも、まだ諦めてなかったのか」
「一昨日まで日本にいたんだけどね」
「なんで言ってくれないんですか!?」
学はとぼけたように肩をすくめる。これは確信犯だな。
「あ、おみくじやろうよ」
甘酒であったまったので、次はおみくじの列に並んだ。
「今年こそは大吉を引きます!」
意気揚々と箱を振ったメロス。去年は吉で不満そうだった。
番号を伝えて、巫女さんからもらったおみくじに書かれていたのは、
「⋯凶?」
「凶だな」
「すごい、僕初めて見た」
引いた本人は、ぽかんと口を開けてフリーズしている。それから、事態を理解したのかプンスカ怒り始めた。
「なんですかこれは!」
「だからお前の運勢だろ。お、俺大吉だ」
「僕も大吉が良かったです〜。リュウ君交換してください!」
「やだよ。それ意味ないだろ」
「でもほら、凶って滅多に出ないから、逆に珍しくて運がいいとも言うよ?」
「そういうのはいらないです!」
「ガキか」
唇を尖らせておみくじを見つめるメロス。俺もそれを横から覗いてみた。
「あ、でもほら『待ち人 来ない』」
「!」
「これって、今年もまだ一緒にいられるってことじゃないか?」
「う〜」
ようやく納得出来るところを見つけたのか、溜息を吐きつつも結びに行く。
「来年こそは必ず大吉を引いてみせます!」
「おー、がんばれ」
気合いを新たに、なんのこだわりか出来るだけ高い枝に結ぼうと、リュウに枝を掴んで下げて貰っているメロスを見ながら、俺は学と肩をすくめて笑った。
END.




