表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何気ない日常を彩る美少年  作者: さくら優


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/31

番外編 同窓会 後編

光の円盤は、ゆっくりと中学校の校庭の方へ向かって降りていった。


まさか、そんな。


久々の全力疾走と、期待と逸る気持ちとで心臓がバクバクする。


光が落ちていった中学校のすぐ近くの空き地へ行くと、半円型の銀色の塊が地面に突き刺さっていた。


「うぅ⋯、着陸失敗しました⋯」


スーッと扉が開いて、中から人影が出てくる。

暗い中でも辛うじて見える金髪。


「――メロス⋯?」

「!? 誰かいるんですか?」


焦った声が聞こえる。やっぱり宇宙人だということがバレるとまずいのかもしれない。


しかし、向こうも俺たちが誰だか気付いたのか、すぐに、ぱぁっと表情を輝かせた。


「え? え? 芳樹くん? リュウ君と、学くん?」

「メロス⋯、なんで⋯?」

「わー! すごいです! なんで僕が来たのわかったんですか!?」


キャーキャーと嬉しそうに抱きついてくるメロスにされるがままになりながら、俺たちはまだ呆然と顔を見合わせていた。



   ✦✦✦


「で、なんで突然戻ってきたんだ?」


ようやく少し落ち着いて、俺たちは事情を尋ねる。まさかまたブラックホールの危機が迫ってきたのだろうか。


しかし、返ってきた答えは非常に平和なものだった。


「同窓会があると聞いたので」


メロスはそう言って、ポケットから折りたたんだ紙切れを取り出す。同窓会の案内ハガキだった。しっかり参加のところに丸がつけてある。


「え、メロスのとこにも送ったの?」

「送れるわけないじゃん。何言ってんの」


リュウのボケに、学が珍しく真面目にキレていた。まだ驚きから抜けきれていないのかもしれない。


しかし、こうしてメロスがハガキを持っているということは、誰かが用意したのだろう。


「佐々木さんかな⋯」


学が呟く。佐々木というのは、中3の時のもう1人のクラス委員だ。


送れるかどうかは別として、懐かしさからハガキだけ作ったのを、例のじいやさんの知り合いの偉い人が送ったのかもしれない。


「さすがに返事は送れなかったので。同窓会はいつですか? 明日? 明後日?」


よほど楽しみにしていたのか、メロスは目をキラキラさせている。


うぅ、この状態の彼にこの事実を伝えるのは非常に心苦しい。


「⋯今日、だよ」


それでも言わないわけにはいかないので渋々伝えると、サーッとメロスの顔から表情が消えていった。


「⋯今日?」

「さっき、終わった」

「⋯⋯」


メロスは、ふら〜っと倒れるように地面に手をつく。


「ガーン⋯」


セルフでオノマトペを付けながら。


なんだか可哀想になってきた。


「二次会、まだやってるかな⋯?」

「うーん、さすがにもう解散してるんじゃない?」

「だよな」


皆にも会わせてやりたかったが。せめてあと1時間早ければ。


「うぅ、いいんです。終わってしまったものは仕方ありません」

「まあそう気を落とすなって。俺に会えたんだから十分だろ?」

「リュウ君⋯。そうですね。そう思うことにします」

「なんかムカつくな」

「わあ! やめてください〜」


リュウはメロスの頭を掴んで髪をわしゃわしゃした。あ、なんかこのやりとり懐かしいな。


「ん〜でも本当に、3人に会えたのがすごく嬉しいです」

「俺も。正直もう会えないと思ってたから」

「どうしてですか? また来るって言ったじゃないですか」

「いやまあ、そうなんだけど」


遥か遠い宇宙にいるのに、まさかそんな、本当に会えるなんて思わなかったし。


「メロス、もしかして1人で来たの?」

「そうです」

「自分で宇宙船操縦出来んのか!?」

「免許をとったんですよ」


宇宙船にも免許があるようだ。


「なので、これからは1人で地球に来られるので、次に同窓会をやる時は、必ず間に合うように来ます」

「おう。それがいいよ」

「とりあえず今日は、俺んちで4人で飲もうぜ」

「いいんですか? やったぁ!」


それから俺たちは、コンビニで酒とつまみを買って、リュウの家で朝まで4人で語り明かした。


卒業から10年が経っていたけれど、その時間は一瞬で飛び越えて、青春していたあの頃と変わらない、楽しい時間が流れていた。


END.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ