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何気ない日常を彩る美少年  作者: さくら優


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番外編 執事喫茶と推し活

リビングで本を読んでいると、バイトが終わったじいやが家に帰ってきた。


「ただいま戻りました」

「おかえりなさいです」


最近じいやは執事喫茶でよくバイトをしている。他にもラーメン屋さんや、ビルの清掃なども多いそうだ。


「執事喫茶のバイトって、どういう感じでやってるんですか?」


今日、芳樹くんたちが家に遊びに来てその話題になったので、気になって訊いてみた。すると、


「普段坊ちゃまとお話している時と、さほど変わりませんよ」

「やってみてください」

「かしこまりました」


こほん、と咳払いをして、じいやは軽く微笑む。


「おかえりなさいませ、坊ちゃま」

「⋯いつもと同じですね」

「でしょう?」


夕食の時間が近づいてきていたので、じいやはそのままキッチンへ入っていった。僕も少ししてからダイニングの方へ行くと、いい香りが漂ってくる。


「おまたせいたしました。『推しと食べよう、ふわふわオムライス』でございます」

「わあ!」


ふわふわの玉子が乗ったオムライスと、サラダとスープが用意される。


「これも執事喫茶のメニューですか?」

「さようでございます」

「なるほど」


まだ執事喫茶ごっこは続いていたみたいだ。僕の無茶振りにこんなにちゃんと付き合ってくれる執事は、なかなかいないんじゃないかと思う。


「ケチャップでハートを描きましょうか」

「お願いします」


じいやはお約束通り、ハートマークをケチャップで描いてくれた。しかし、


「じいや⋯」

「はい」

「⋯ケチャップが少ないです」


綺麗に描かれたハート。しかし、縁だけなのでケチャップの量が少ない。文字とかにしてもらえば良かった。


「そうですか? ではこうしましょう」


じいやは、ハートの真ん中にギザギザを追加した。


ブロークンハートになってしまったけど、まあいいか。


口に入れるとふわふわの玉子が溶けてくみたいだった。


「すっごく美味しいです!」

「それは良かったです」

「メニューの、推しってどういう意味ですか?」


確かクラスの女の子たちが話していた気がするけど、意味がよくわからなかった。


「何かを応援することや、その対象のことのようですよ。アイドルやキャラクター、その他食べ物などでも、オススメしたいものに幅広く使われているイメージですね」

「ふーん。好きなものとは違うんですかね」

「ほぼ同じと捉えて使われている方もいらっしゃると思いますし、少しニュアンスが違うと思われている方もいらっしゃると思います。厳密なルールに縛られないからこその良さがあるのかもしれませんね」


なるほど。


「ちなみに、私の推しは今も昔も坊ちゃまでございます」

「! それも執事喫茶ごっこの続きですか?」

「いえいえ。本心です」

「ふふ。ありがとうございます」


気分よく食事を終え、両手を合わせる。


「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです。これもみんなにも食べてもらいたいですね〜」

「またご招待されればよろしいかと」

「いいんですか?」

「もちろんです」


今日ケーキを焼いてもらったばかりで、またじいやに負担をかけてしまうのは悪いと思ったけど、じいやは喜んで作ると言ってくれた。


「ありがとうございます」

「坊ちゃまに素敵なご友人が出来て、旦那様と奥様もお喜びでしょう」

「はい!」


みんなとは高校生になったら今みたいに毎日は会えなくなってしまうだろうけど、それでも時々は今日みたいに、集まっておしゃべり出来たらいいなと思った。


END.


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