エピローグ
「ったく、なにやってんだ、あいつ」
高校の入学式当日。駅の少し手前のコンビニ前で、俺はメロスと待ち合わせをしていた。
約束の時間を10分過ぎても来ないので、仕方なく電話してみるとすぐに繋がる。
『芳樹くん!』
「お前今どこいんの? 時間過ぎてるぞ」
『えっと⋯』
何かあったのだろうか。やっぱり迎えに行くべきだったか。
『それが、大荷物を持った妊婦のおばあさんを助けていて、遅れました』
「⋯それは大変だな」
それはあれだよな、妊婦さんの祖母って意味だよな? おばあさん自身が妊婦さんなわけじゃないよな。
昔からよくある遅刻の言い訳、大荷物を持ったおばあさんを助けていた、というのと、子どもが産まれそうな妊婦さんを助けていた、というのが混ざったんだろう。
「バカなこと言ってるとおいてくぞ」
『わー、待ってください! 違うんです! 迷いました!』
「だと思ったよ」
『駅はどっちですか?』
知るかボケ!
だからちゃんと事前に道順確認しとけって言ったのに。
だが、メロスは相変わらず呑気でちょっと楽しそうだ。
『こういう時こそGPSですよ』
「なんでもいいから早く⋯あ!」
その時、通りの向こうに見知った金髪が見えて、俺は手を大きく振った。
「メロス! こっち!」
「! 芳樹くん!」
俺の姿を見つけて安心したのか、ぱぁっと嬉しそうな笑顔になる。
こういうところは普通に可愛いんだけど。
「わーん! 芳樹くーん!」
「いいから行くぞ。初日から遅刻とかシャレにならないからな」
「はい!」
今ならなんとか、遅刻はせずにすむだろう。
俺は後ろをついてくるメロスに声をかけた。
「ほら早く! 走れ! メロス!」
END.




