2-8.修学旅行
そしてやってきた修学旅行当日。
1日目のメインは、夜の星空鑑賞だった。
「すげーな」
「綺麗ですね〜」
普段、星なんて見ないから、満天の星空はなかなか感動する。
「家から見ても、外が明るいからこんなには見えないしね」
理科の授業で多少星座は覚えるけれど、実際見たところでどれがそうなのかはよくわからない。俺たちはただただ眺めるばかりだ。
「メロスの星は見えるか?」
「見えませんよ。セリヌヴァカラ星は惑星なので光りません」
「地球から見える星は、太陽みたいに自分で光ってる恒星だからね」
「そうです。太陽みたいだったら熱いじゃないですか」
なんかメロスがやたら得意気だ。最初苦手だった理科の成績が、最近急激に上がってきたからかもしれない。
「間違ってないんだけど、なんか腹立つな」
「わあ! やめてください〜」
リュウがメロスの頭を掴んで髪をわしゃわしゃした。いつものことなのでもう誰も何も言わない。
それにしても。
「これ、合唱祭の前に見たかったよな」
「同感」
「見てたら優勝出来たかもしれないですね」
「だよな〜」
まあ、楽しかったから別にいいんだけどさ。
星空鑑賞の後は、売店でお土産を選ぶことにした。
「みんなは誰にお土産買っていくんですか?」
「家族だよ。あとは自分用。メロスはじいやさんに買ってくんだろ?」
「じいやにはこれです。温泉饅頭」
定番だが、甘い物が好きなら外れの少ないチョイスだ。
「美味しそうだったので2つ買いました。後で部屋で食べましょう」
「買い食いは禁止だよ」
「えっ!? そうなんですか?」
学に言われて、メロスはがっくりと肩を落とした。
「枕投げも禁止で買い食いも禁止なんて、どうやって部屋での夜を楽しめと言うんでしょう」
「それな」
「普通におしゃべりしたりとか、あと、明日もあるんだから夜更かししないで寝ろってことでしょ」
「大丈夫だメロス。持ってきたことにすれば買い食いじゃなくなる」
「! リュウ君頭いいですね!」
パッケージ見たら一目瞭然なんだけど。
「じゃあ枕投げも、投げるんじゃなくて渡してることにすればいけますか?」
「あとは転がすとか」
「丸い枕を持ってくるべきでした」
「そんなにしたいの? 枕投げ」
それならと、今度誰かの家でお泊まり会でもすればいいという話になる。
「お泊まり会! いいですね!」
「その代わり、ちゃんと勉強もするんだよ」
「じゃあ昼間は勉強会をして、夜は枕投げ大会です」
楽しみです!と心底嬉しそうに笑うメロスを見て、俺は学と2人で顔を見合せて肩を竦めた。




