2-4.進路
来週、三者面談がある。3年の俺たちには、進路を決める大事な行事ではあるが、正直言って憂鬱な行事でもある。
「三者面談ってなんですか?」
配られたプリントを見ながら、メロスが首を傾げた。
「自分と保護者と先生、3人で進路について話すんだよ」
「メロスも三者面談すんのか?」
「僕はしなくていいんですか?」
宇宙人であるメロスの進路。うちの担任には重すぎる案件ではないだろうか。
「もうすぐ帰れそうなら、しなくてもいいのかもしれないけど」
「うーん、それはちょっと無理そうです。まだ何の連絡もないですし」
「じゃあ一緒に卒業して、高校も行くんだろ? 三者面談は必要じゃね?」
「高校⋯」
メロスは眉間に皺を寄せる。地球に来てまだほんの数ヶ月だ。進路と言われても難しいだろう。
「そんなに難しく考えなくてもさ、とりあえず、俺らの誰かと同じ高校行けばいいじゃん」
「3人は、別々の高校に行くんですか?」
「おう。学は駅の向こうにある私立に行くんだろ?」
「うん」
学が受験する高校は、最新設備が整った有名な進学校だ。
「すごいですね! 僕もそこに行きたいです!」
「偏差値70超えだぞ。行けんのか?」
「⋯芳樹くんはどこに行くんですか?」
「あっさり諦めたね」
俺が受験するのは、電車で10分くらいのところにある県立高校だ。
「偏差値的にも、俺と同じところが無難かな」
「リュウ君が行くところは?」
「俺はスポーツ推薦だからな。普通に受験すると、やっぱ難しいらしい。けど、メロスなら留学生だってことにすれば行けんじゃね?」
リュウの言葉に、俺たち3人はメロスの顔を見つめた。金髪碧眼の日本人離れした外見は、確かに留学生で通るかもしれない。しかし、
「日本語以外しゃべれなくても、留学生で行けますかね?」
「それは無理だろうな⋯」
「メロスの星の言葉で誤魔化せば?」
「誰もわかんないじゃん」
結局、留学生設定は諦め、子どもの頃から日本にいるので、日本語しか話せないということにしておくのが無難だろうという結論に至った。
「じゃあ芳樹くんと同じ高校に行きます。芳樹くん、末永くよろしくお願いします」
「まだ受かってないけどな」
しかも、末永くか⋯。
渡されたプリントの進路希望の欄に、メロスは嬉しそうに俺と同じ高校の名前を書いていた。




