表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何気ない日常を彩る美少年  作者: さくら優


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/31

1-1.メロスが仲間になった

メロスは走った。

100メートル25秒という速さで。


「おっそ⋯」


ストップウォッチのタイムを見て、俺は思わずそう漏らしてしまった。

これはなかなか、頭が痛い。


「はあ、はあ、はあ⋯、ああぁ⋯」


バタン。


あ、倒れた。


「メロ――スッ!」


100メートルを必死に走ってきたメロス、本名メロウ·スンヴァニリシアは、この春うちのクラスに転校してきた、宇宙人だった。



   ✦✦✦


「今日は転校生を紹介する」


担任のその台詞に多かれ少なかれざわめきが起こるのは、今も昔も変わらない。


「女子か?」

「美人だといいな〜」


イケメンか美人を期待するのも変わらない。

俺は、中3になって転校生なんて珍しいなと思いながら、周りが喋っているのを聞いていた。


「入って」


担任が廊下に声をかける。ガラっとドアが開き、転校生が入ってきた。男子の制服を着ているから男なんだろうが、金髪碧眼のかわいらしい見た目の子だ。外国人か。


「メロウ·スンヴァニリシアさんだ。セリヌヴァカラ星から来た」


――は?


クラスがしん、と静まり返る。

担任は真面目で、普段冗談を言うような人じゃなかった。


「先生、今、なんて?」


クラス委員の学が質問する。そうだよな、学年首席もさすがにこの状況は予想出来ないよな。


「ん? だから、セリヌヴァカラ星から来た、メロウ·スンヴァニリシアさんだ」

「⋯⋯」


2回聞いてもやっぱり混乱は解けなかった。


すると、ニコニコしながら状況を眺めていた金髪碧眼の美少年が、それに見合った爽やかな声で話し始める。


「すみません。混乱してしまいますよね。皆さんに分かりやすく説明すると、僕は、宇宙人です」

「は?」

「え?」

「う⋯?」


「宇宙人ー!?」


クラス全員の声がハモる。


「と、いうわけだ」

「先生! 驚きが薄い! なんでそんな落ち着いてんの!?」

「先生だってそりゃ最初は驚いたよ。けどほら、今は多様性の時代だし」


出たな多様性。なんでもそれで片付ければいいと思いやがって。


「ちなみに、このことは国家機密らしいから、誰にも喋らないように。家族にも言うなよ」

「どんな状況!?」


なんかこんな場面、漫画かなんかで見たような。


「すみません。色々と事情がありまして。よろしくお願いします」


金髪が丁寧に頭を下げる。


「え、なに、もし喋ったらどうなんの?」

「国家機密なんだろ? 逮捕されるとか?」

「ってか、そいつ大丈夫なの? 実はもうすぐ月を永遠の三日月にします。その後は地球もそうする予定です、とか言わない?」

「いえいえ! 大丈夫です。そんなどこかの黄色い触手お化け先生みたいなことは、僕には出来ませんから」


なんか日本の漫画事情にも詳しい宇宙人だな!?

ってか、あの漫画のセンセーは別に宇宙人じゃなかった気がする。


「よし、とりあえずもう授業始まるから、あとの詳しい話は本人に聞くように。スンヴァニリシアさんの席はあそこな」

「はい」


名前、途中で切れてたみたいだけど、わざわざ言い辛い方で担任は呼ぶ。そっちが苗字とかなんだろうか。ていうか最初の星の名前も含め、噛まずにスラスラ言ってたけど、何回練習したんだろう。教師って大変だな。


金髪は、なんと俺の隣の席になった。名前をなんて呼ぶか問題はすぐに浮上し、休み時間になると、まずそこを決めることになった。


「メロウ·スン⋯、なんだっけ?」

「メロウ·スンヴァニリシアです」

「ああ、メロスでいいじゃん」


俺の前の席に座っている隆之介がそう提案する。


「メロス! いいですね! かの有名なお話の主人公の名前ですね!」


本人も喜んでいるようなのでいいだろう。なんで知ってるんだという驚きは、さっきの触手先生を知ってた時に使ってしまった。


「皆さんの名前も教えてもらっていいですか?」

「ああうん。俺は芳樹。こっちは隆之介」

「リュウでいいぞ」

「あと、そっちはクラス委員の⋯」

「学です。何か困ったことがあったら言ってね」

「はい! ありがとうございます!」


俺が普段つるんでいるのはこのリュウと学だったんだけど、席が隣になったことで、この宇宙人転校生メロスとも、この春から一緒に行動するようになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ