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転生!底辺ドワーフの下剋上~小さな英雄の建国記~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第214話 友人の村長赴任

 巨大な森の土地に作られている村『エルダービッグ』は、着々と建築が進んでいる。


 木材は、切ったばかりでも使用が可能な、この森の巨木を使用しているので、楽に大きな建造物が可能だ。


 とはいえ、大きいから加工が大変なのだが、巨体である『魔物殺し熊』達が器用に手伝ってくれるという芸達者ぶりを見せ、コウ達が鍛冶仕事で作った専用の大型ノコギリで巨木を木材に裁断していく。


 その指導を行っているのは、トラガとタイガ率いる魔物使い達であり、細かい仕事もその能力で教えているようだ。


 一角獅子も能力である切れ味鋭い衝撃波で熊達同様に、木材に穴を空けたり、削ったりしてくれるから、役立っている。


 即死蜂の女王エイビーは、魔物達との通訳として仕事をする事も多いが、普段はハチミツの扱いについて、このエルダービッグの村の村長予定であるハニンゴと打ち合わせを続けていた。


 ハニンゴは、甘い物好きの髭なしドワーフグループでコウの親しい友人の一人である。


 普段は大人しいのだが、この土地でハチミツが取れると聞くと積極的に立候補した経緯があった。


 これには、同じ髭なしドワーフのダンカン達も驚いたのだが、ハニンゴは以前から養蜂をしたいと考えていたらしく、その知識と情熱は十分であったから、街長ヨーゼフもその熱意に圧されて村長に指名したのである。


 ハニンゴはやる気を見せ、専門外のはずである巨大森の魔物達の扱いから、資源となりそうな巨木を加工した材木の扱い、村の開拓作業、そして、切望していた最高級品と村長自ら絶賛したハチミツの採取場の建築など、村長として意外な才能を見せて頑張るのであった。



「ハニンゴさん。いや、ハニンゴ村長、頑張っているね」


 コウが、髭なしドワーフグループから村長が出た事に素直に喜んでいた。


「候補には最初、ダンカンさんも上がっていたんでしょ?」


 ダークエルフのララノアが、髭なしドワーフのリーダー的存在、ダンカンの事を指摘する。


「はははっ! ダンカンさんは即答で嫌だって断ったらしいからね。鉱山長から外れる気はないみたい」


コウは笑って事実を伝えた。


「ダンカンさん、典型的なドワーフだものね。それにしてもハニンゴさんは意外だったわ。普段、コウの家でみんなと飲む時、ゴーレム大好きレムーゴさんと同じくらい大人しいじゃない。普段の姿からは想像できないくらい、今、積極的に働いているわよ?」


「以前から、甘いものが好きだとは知っていたんだけどね。イッテツさんとたまに飲みの席で話している事があったけど、甘いもので盛り上がっていたのかもしれない」


 コウは、ハニンゴの活躍に手放しで喜ぶのであったが、実際、このハニンゴが有能で、村の建築についても当初の予定からかなり大きな建物を多数建造するように指導をはじめていた。


 それは、こちらの想像以上に頭の良い魔獣達が雨露をしのぐ、家というか牧場のような場所を作った方が良いだろうと提案したからだ。


 これには、魔物使いグループのトラガとタイガ達も賛同して、前世で言うところの体育館のような大きさの建物を作って魔獣と人との距離を無くす形の方向で進めていた。


 実際、それは成功して、『魔物殺し熊』や『一角獅子』の多くは、すぐに村の建築の手伝いをするようになったのである。


 だから、普段からこの開拓中の村には、巨大魔獣達が普通に出入りしており、すでに入村しているその辺の村人に撫でられながら仕事に励む様子も見られるのであった。


「クロワとレオが、いると思ったら、コウとララちゃんじゃないか。こっちの作業を手伝ってていいのか? そろそろ鍛冶仕事の方の納品時期が近づいているのだろう?」


 そこへ噂をすれば影とばかりに、新村長のハニンゴが、コウとララノアに気づいて声をかけてきた。


「ハニンゴ村長、お疲れ様。うん、そろそろエルダーロックに戻らないといけないんだけどね。トラガさん、タイガさん達魔物使いのみなさんの様子も伺っておこうかなと」


 コウは、この村に来て生き生きとした元気な様子のハニンゴに挨拶をする。


「魔物使いのみんなには、かなり助けられているよ。まあ、コウが、クロワとレオを従魔にしてくれたから、魔物使いのみんなもやり易かったみたいだけどな。この土地はまだ、未知な魔獣や魔虫も沢山いるから、生き物大好きなアズーさんがその辺は今も調べてくれている。だからその報告を待ってくれよ」


 ハニンゴは、すっかり村長として板についてきたのか、村やこの土地での動向について詳しく把握しており、コウが聞けばなんでも答えてくれる状態になっていた。


「うん、ヨーゼフさんにもそう報告しておく。しばらく一緒に飲めなくなるだろうけど、また、そのうちにね」


 コウはこの髭なしドワーフグループの出世頭の一人であろう友人と握手を交わすと、形になって来たこの巨大森の村をあとにするのであった。



 一日をかけて、コウとララノアはエルダーロックの街に昼頃戻って来た。


 まずは自宅に戻ると、街長の娘カイナが時間を置かずにやって来た。


 どうやら、誰からかコウ達が帰って来たのを聞いてきたようだ。


「コウ、聞いた? さっき、隣領の王家直轄領にいた仲間から報告があって、オーウェン第三王子が、直轄領の税金を下げる事を発表したらしいわ。これまでは内部の汚職について調査をしていたらしいから、その目途がついて内政に着手しているみたい。だからそろそろこっちに遊びに来るかもしれないわ」


「そう言えば、こっちに来るって言っていたのに、ずっと足止め喰らっていたんだっけ? 僕ももうすぐ、近衛騎士団への納品で王都に行く予定だから、その前に来てくれたら助かるかなぁ」


 コウはカイナの報告を聞いて、仕事の予定と被らないように願う。


「すれ違ってしまった時は、また、王都になるかもね。ふふふっ」


 ララノアはタイミングの悪いオーウェン王子の事がおかしくて笑ってしまうのであった。

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