表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/40

プロローグ

 気がつくと浜辺に立ち尽くしていた。


 隣を向くとそこにはもう二度と会うことができない女の子がこちらを見て笑っている。その笑顔を見て、胸が熱くなった。


「久しぶりだね。太陽は元気にしてた?」


 その声を聞いて、その瞳を見て、その姿を見て、溢れんばかりの思いが色んなところから吹き出す。だけど、それらを抑えて僕は彼女に向き直った。


「今までは正直元気だったとは言えないな。でも、葉月が戻って来てくれたならまた昔みたいにやっていけそうだよ」


 そう言うと、葉月は少しだけ悲しそうな顔をした。


「そうなんだ……」


 なぜそんな顔をするのだろうか。そう考えた途端、物凄い不安に襲われた。僕はまた彼女を傷つけてしまったのだろうか。言わないといけない。あの時はごめんと。彼女に謝らなくてはならない。


「もう行かないといけないんだ」


 そんな僕の思いとは裏腹に、葉月はじゃあねと手を振って歩き出した。


 ダメだ。いかないで。


 今すぐに彼女を追いかけたい。だが、僕の足は重い鉛のように全く動かない。思うように走れない。その間にも葉月はどんどんと砂浜を進んで行ってしまう。


 必死に声を振り絞ろうとするが、声が出ない。


 葉月が行ってしまう。


 彼女が、遠ざかっていく。


 葉月……振り絞った声は、喉の奥でかすれて消えた。


 この声が届くことはきっとない。


 だって彼女はもう、この世にはいないのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ