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アーサー王100本の剣伝説

27本目の剣

作者: 中村翔

梅雨。雨のふりずさむ。

気まぐれに降る雨の中。

人は立ち往生しながら。

雨の香りに胸震わす。


「いやー。雨っすねー。この季節は苦手っす。おっ、有りましたよ。」

女が指を指す先には何もない。

「?」

「あちゃー。モドリッド卿の背だと見えないっすねー。よいしょっと。」

女が子供を肩に乗せる。

「!!。」

目の前の丘の向こうに町が広がり大木が雨から守るように通行人を遮っていた。

「さてと。この町は滅びなきゃいいっすけどね。」

「なんだいアンタら。見ない顔だね。旅人かい?見えると思うが梅雨だからねえ。宿をとるのは諦めな。」

「あー。私に考えがあるっす。モドリッドは少しその辺を歩いててください。」

子供は大木に近づくと木の根元を撫でた。

(!!)

子供の足元に剣らしきモノが。

(この剣か・・・埋まってる)

「モドリッドって君かい?ああー。ようこそ我が町へ。どうぞ我が家にお越しください。」

「ややー。モドリッド。この家に泊まるっすよ。じゃ、部屋は2階っす。私は仕事があるので。」

いつものあれか。

ギィーバタン。

(このふとん・・・ちょっと匂う)

ギシギシ……。

(大人は大変だな)

ふかふかな布団を諦め夢の中に。

チュンチュン。

「いてて……。腰痛い・・・。」

ザーーーーーー。

「雨っすね。最近ずっと雨降って……。あっ、モドリッド。」

「ここはあぶない」

「そっすねこのままじゃ私の腰が・・・いてて。」

「そうじゃない。この村の近くの川が氾濫してる。逃げるから早くして。」

「か、川が?でもここからじゃ見えないっすよ。」

「魔眼。氾濫する光景がさっきから見えてる。」

「2本目の魔眼っすか?じゃ、村の人に伝えて……。」

「いや、この村は棄てる。名剣への信仰が薄いから。」

「・・・いずれってことっすか。わかりました。行きましょう。」

村から少し離れた丘の上ーーー

ザザーン!!

ザーーーー。

「これで8個目っすよ人が死ぬの。人の業ってやつっすか?」

「私には分からない。でも助けるに値するかはわかる。」

「アーサー王が聞いたら怒りそうっすね。」

ザーーーー─。

しばらく雨が降り続いた。


雨が止んだ頃村へとおり剣に名をやった。

「レイン。」

モドリッドは剣を抜くと木に掘った。

この村の民。みなここに眠る。


川の氾濫は止められない

人々に逃げろと言っても

どうにかしてくれと言ってきただろう

ガヘリスは分かってはいた。

でもモドリッドの英断に従った。

人は助けられても生活は続けられないのだと。


27本目の剣。読了。

Thi・28本目の剣を始めますよろしいですか?

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