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少しずつ、それでも着実に遺跡を探索していく私達。

そこでいくつか分かった事が有った。


まず一つ、ディナダンさんのビルドだ。

高火力の攻撃を与えつつ、与えたダメージの一部をHPとして吸収していくディナダンさんのスタンスは確かにソロ向きであると言えた。

きっとあの槍や遺跡へ入る前に付けていた指輪が、そのビルドを可能とさせているのだろう。

真正面から殴り勝つ。

回復の割合も意外と多くて、ポーションの消耗もそこまで多くは無い。


次に、鑑定はモンスターや遺跡の壁や床にも使えるという事。

試しに目を凝らしてみると、色々な物が見えたのだ。

壁や床の違和感に目を凝らし、罠を見つけられるようになったのは大きかった。


最後に、この遺跡のフレーバー部分の設定だ。

この神殿はとある女神を信仰していた神殿だったらしい。

やけに悪魔族のモンスターが多いのは、その女神が悪魔と争った結果らしい。

占拠されているという事は、きっと負けてしまったのかもしれない。

出てくるモンスターの中には、邪教信徒という名前のヒト族も存在した。

この遺跡は、宗教戦争の結果に出来た物なのだろう。



「……意外といける物ですね」



私は辺りにモンスターが居ない事を確認してから、肩の力を抜いてポソリと口にする。

前を歩いていたディナダンさんはその言葉を聞いて、足を動かしながら顔を向けてくれる。



「まぁ俺はユンちゃん以上に驚いてるけどね。まさか始めたばかりの子が此処までやれるとは思わなかったよ」


「ふふふ、伊達にゲームばっかりやってお母さんに怒られてません」



褒められた。

とは言え戦闘に関してはディナダンさんに任せきり。

私がやってる事と言えば、敵の位置を教えたり、罠に注意したり、ディナダンさんの回復が足りなさそうな時にポーションを使ったり。


後はたまに落ちている薬草や調剤に使えそうな素材を鑑定して拾っている位なものだ。

お陰で鑑定のレベルがガンガン上がっているし、フィールドのモンスターよりも強いせいかベースレベルもかなりのペースで上がっている。

パワーレベリング美味しいです。



「ただ、徐々に罠の発見が難しくなって来てるんです。鑑定のレベルが上がって来てるはずなんですけど」


「本来罠を見つけるのは探知のスキルだからね……。ユンちゃんはそれを地でやってるというか―――」



突然私の足元が光り、浮遊感が襲ってくる。

パーティ分断の魔術トラップ。

いかん、完全に気を抜いていた。

最後に見たディナダンさんの顔は、驚きで目を見開いていた。


ごめなさい、ディナダンさん。

私は此処でリタイアの様です。

トラップのくせに神々しい光なのが腹立たしい。

眩い光に包まれた私は、思わずギュッと目を閉じる。






その光が治まってゆっくり目を開くと、辺りの雰囲気が一転していた。

綺麗なステンドグラスや豪華な柱、そして女神の像が見える。

朽ち果てた遺跡とは思えないほど、綺麗な礼拝堂だ。


おかしい。

どう考えても、先ほどの遺跡と同じ場所だとは思えない。

その証拠に、視界の端のパーティリストに表示されているディナダンさんの名前が暗転している。

別のマップに飛ばされたのだろうか。



『神の子よ―――』


「み"ゃひっ!?」



突然頭に響く女性の声に、思わず素っ頓狂な声が上がる。

辺りを見渡しても、そこには誰も居なかった。

それでも女性の声は頭に響く。



『神の子―――、よくぞここまで―――』



まるで電波の悪い通話の様だ。

言葉が途切れ途切れで聞き取れない。

言葉の端々から推測するしかないだろう。


神の子、というのはきっと私の事を指す。

ディナダンさんが通っても発動しなかったのに私が踏んだ時に発動したという事は、きっと私が持っている物が原因で発生したイベント。

けれど、私の持ち物はディナダンさんから貰った物が大半で、後は拾った石ころや採集した薬草類しかない。


となれば、発動するトリガーは一つ。

"幽世の少女"。

もしもそうであるなら、割と重要なイベントを拾ったのかもしれない。

幽世の少女は、ヒト族でありながら進化を許された存在。

選択肢を間違えれば悪魔にだってなりそうだ。


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