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アリスさんがパーティに加わってからしばらくして、カリーさんの友達から連絡が入った。

どうやら自称魔女信徒たちが出入りしている根城を突き止めたらしい。

その場所を聞いて、私は驚いた。

イベント前にレベリングをしていたあの洞窟だったからだ。

ゾンビたちが闊歩し、リビングソードが飛んでくるような不気味な洞窟。

なるほど、いよいよ怪しい雰囲気だ。

私たちはその洞窟へと足を踏み入れ、奥へと進んでいく。


その途中で、パーティの役割についての話が出た。

寄せ集めとはいえ、このパーティはすごくバランスが良い。

主にタンクを引き受けてくれるカリーさんと、いざという時に盾を持って前に出てくれるアリスさん。

高火力が出せる装備に入れ替えて、近接アタッカー引き受けてくれるディナダンさん。

魔術や召喚術を使って火力を出してくれる、マジックユーザーのリッチーさん。

みんなのヒールをしつつ、手が空いてる時にデバフを掛けていく私と、私の分の火力を補ってくれるコーチ。


アリスさんがサブのタンクを引き受けてくれたことには驚いた

オンラインゲームにおいて姫とは、本来周りからの庇護によってプレイを楽しむもの。

戦闘でのサポートは勿論のこと、人によっては何から何までを人に恵んでもらうプレイヤーすらも居る。


けれど、アリスさんは違った。

綺麗な鎧や盾、剣は、全て自分で調達したものだし、ゲームのプレイスキルだって本職顔負けの動きを見せている。

タンクという一点だけでみれば、もしかしたらディナダンさんよりもずっと上手い。

まぁ、元々ディナダンさんはタンク職ではないし、仕方ないのだけれど。


だからと言って、同じタンクであるカリーさんのプレイスキルもバカには出来ない。

同じタンクであるアリスさんに比べて技術的な所は劣るけれど、盾を持っていないにもかかわらず平然と攻撃を受けに行く気概があるからだ。



「いや、他のみんなが豪華すぎて……。これで腰が引けてたら、それこそ俺が居る意味なくなるだろ」



賞賛する私を見ながら、カリーさんは照れ臭そうにそう言った。

なるほど、男の子特有の負けず嫌い。


普段と変わった事と言えば、コーチの様子も少しおかしい。

私の首回りで鳴いているだけの、マスコット的な扱いをずっとしていた。

それなのに、今はどうだ。

首回りにいてくれないどころか、戦闘にすら参加している。

もしかしたら、センセーが居ない穴を必死に埋めようとしてくれているのかもしれない。

素直で、一生懸命で、とっても可愛い。


そんなコーチの戦闘能力の高さには驚かされた。

レベルで言えば私よりもずっと低いはずなのに、与えるダメージは私とそん色がない。

さすがは龍種と言ったところだろう。

まぁ、私とコーチのダメージを合わせても、本職であるディナダンさんやリッチーさんにはギリギリ及ばないのだけれど。

……わ、私の役回りは、今回ヒーラーだから。

悔しくないやい。


パーティを組んで攻略しているのだから、一人で潜りに来た時よりもずっと進みがいいのは言うまでも無いだろう。

けれど、あれだけ苦戦したリビングソードを一瞬で倒された時は少し悲しかった。

まだレベルが低かったし魔術も使えなかったとはいえ、あんなに強かったのに。

ぐぬぬっ。


一定の深さまで潜った所で、自称魔女信徒たちが"邪教徒"というエネミーであることが判明した。

魔女の知恵によれば、邪教徒たちは悪魔を信仰する集団らしい。

つまり、シャルトスや水龍に悪鬼をけしかけているのも、きっとこいつらなのだろう。



「ゾンビは楽に倒せるけど、やっぱ邪教徒はめんどくさいな」


「攻撃も、的確に嫌な所をついてくるんだよー。顔とか、目とか。私はまだ盾があるから良いけど、カリー君は大丈夫?」


「必死になってて、ビビる余裕もないっすよ……」


「そういえば、さっきメイスに頭突きくらわせてたもんねー。超ウケる」


「リッチーは戦闘中に爆笑するのやめてくれ。つられて笑いそうになるわ」


「笑わない骸骨なんて怖いだけでしょー?」



和気あいあいとした雰囲気のまま、ついには最奥までたどり着くことが出来た。

洞窟の中だというのに、目の前に有るのは仰々しい扉。

間違いなく、人の手で作られたものだ。

そしてその扉の両サイドには、見たことも無いモンスターの像が飾られている。

人間の体に山羊の頭。

背中から延びる黒い翼と、足から生えているあれは蹄だろうか。

おっかない。

きっとこの像が、邪教徒たちの信仰する邪神なのだろう。

私たちは息をのんで言葉を失う。

ただ一人だけをのぞいて。



「うっひょー! いいねいいね、雰囲気あるじゃん! なるほど、バフォメットかー!」



キラキラと目を輝かせながら像の周りをうろうろと歩き回るリッチーさん。

飽くまでマイペースを貫くリッチーさんのお陰で、ほんの少しだけ空気が軽くなる。



「リッチーさんはこのモンスターを知ってるんですか?」


「モンスターというか、悪魔だよねー。詳しい訳では無いけど、ヤギの頭と下半身、青白い肌にカラスの翼をもつ悪魔なんて、ボクはバフォメットしか思いつかないや。魔女とも深いかかわりのある悪魔だし」


「魔女と?」


「そうそう。バフォメットは魔女から篤い崇拝を受ける悪魔なんだよ。大方邪教徒たちは、魔女の身でありながら神格化されたシャルトスが気に入らないとか、そんな理由なんじゃないかな?」



シャルトスだって、別に望んで神様になった訳じゃないのに。

理不尽だ。



「準備はいいですか? 扉、開きます」



カリーさんの号令で、重々しい扉が口を開く。


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