表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/80

9

今回は少しだけ雰囲気が変わります!


あたしがアイツに出会ったのは少し前のこと。

最初は気に食わなかった。

アイツなんかに仕えることが納得いかなかった。

けど、呼び出されたのだから仕方がない。

せいぜい勝手にやらせてもらおう。

そう思ってた。


けど、アイツはあたしを従えさせるつもりなんて全くなかった。

それどころか、命がけであたしを護るしまつ。

手に負えないほどのお人好し。

次第にその思いが強くなっていった。


またしばらくして、アイツはあたしが進化できることに気が付いた。

本来使い魔として召喚された以上、進化先は自由に選べない。

それがあたしたちの常識で、あたしはその事が納得いかなくて。

けど、アイツは違った。

進化に気付いたとき、アイツは慌ててあたしを呼びつけた。



「ねぇ、センセー。センセーはどっちがいい?」



どっちでも。

アンタの好きにすれば良いでしょ。

どうせあたしに決定権は無いんだから。



「水虎はすっごく強そうだよねー。でもこー、なんだかセンセーっぽくないし」



図体だけでかくなれって?

絶対に嫌。



「ウィッチキャットはセンセーっぽいよね! でもなんか、折角の進化なのに特別感がないって言うか……」



ガリ勉猫になれって?

死んでもごめんだわ。



「……センセー、聞いてる?」



聞いてるってば。

結局あたしの意見は伝わらないんでしょ?



「い、いい加減にしないと、進化させるのやめちゃうからね!」



それが良いってさっきからずっと言ってるでしょ。

やっと気づいたか、このトンチンカン。


膝の上に乗って丸くなる私を、アイツは満足そうに優しく撫でる。



「それじゃ、センセー。どっちに進化したい?私的には水虎……」



違うって言ってるでしょ。



「う、ウィッチキャットが良いの……?」



なんで伝わらないんだ、このバカ。

私は――



「ど、どっちも嫌なの?」



驚いて、一瞬固まった。

まさか話せないあたしの言葉が伝わるとは思わなかった。

話せるようになったのかと思って、鳴いてみる。

けれど、アイツみたいな言葉は一切出てこない。



「……そっか、どっちも嫌なのか。私だったら進化したいけど、センセーが嫌なら仕方ないね」



それでも、気持ちが伝わった。

お人好しで、バカで、どんくさくて、間抜けで。

どうしようもないヤツ。

あたしが居なければ、きっとアイツはすぐにへこたれる。

ついさっきだってあたしが傍に居ないって気付いただけで泣きそうな声をしていた。

アイツにはあたしが傍に居てあげなきゃいけない。


それでもこの道を選んだのは、アイツを悲しませたくないから。

この女は同じ住人を襲わないだろうと言っていた。

そんなはずはない。

追いかけて来たヤツらにとって、魔女を助ける存在は等しく敵なのだから。

あの大男が襲われていたのがその証拠。

きっとこの女を一人にすれば、きっとヤツらにやられる。

そうなった時、きっとアイツはすごく後悔する。


幸い、最近になって後輩が増えた。

使い魔だっていうのに甘えたがりで、まだまだ生まれたばかりの赤ん坊。

それでも、ポテンシャルはあたしよりずっと高い。


あたしが居ない間、しっかりあたしたちのご主人を護れ。

いつもみたいにピーピー鳴くだけじゃなく、あたしの後輩って所を見せつけてやれ。

ここは――



『――あたしが、なんとかしたげるから、いって』



初めて声が出た。

その事に誰よりも驚いたのはあたしだ。

臆病で、繊細で、誰よりも優しいアイツと同じ声。

今になって、どうして。


何かに包まれているような感覚。

護られているよりもずっと強いそれは、あたしの心を奮い立たせる。

あぁ、なるほど、そうか。

あたしはそこまで、いつの間にかアイツに惹かれてしまっていたのか。


あたしたち水猫は、主人だと認めた者に存在を寄せていく。

姿を寄せ、声を寄せ、そして力を寄せる。

完全に認めた者の全てを模倣して存在を強めていくのがあたしたち水猫だ。

そしてそれは――



"女神から受ける寵愛すらも模倣する"。



「……あ、あー」



声を出してみる。

アイツと同じ声だ。

姿を確認してみる。

アイツと同じ姿だ。

けれど、性格までは、アイツと同じという訳にはいかなかったみたいだ。


隣の女が驚いている。

何見てんだよ。

見世物じゃねーぞ。



「あ、あなたは……」


「話は後。さっさと奥へ逃げるよ」



裏口へと続く廊下の入り口を氷で塞ぎ、図書館の出入り口も氷で固める。

これできっと時間を稼げるだろう。

後は、アイツが何とかするまでこの女を護るだけ。



「しっかりやりなよ、ご主人」



自然とそんな言葉が口からこぼれる。

アイツが聞いたらどう思うだろう。

間違いなく調子に乗るはずだ。

目の前では、絶対に呼んでやるもんか。

そう誓いながら、私は女の手を取って図書館の奥へと走り出した。


ブックマークや評価ボタンをお願いします!

モチベーションを高めるために、ぜひ助けて下さい……_(:3 」∠)_


Twitter:@asn_naro

(https://twitter.com/asn_naro)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 猫がカワイイ [気になる点] 全くソロでもボッチでもなく、保護者が沢山いる。 [一言] 題名変えたらどうでしょうか?
[一言] センセー カッコいいぞ❗ そして、センセーが女神の加護を使ったら もしかして センセー新しい進化先が出てくる可能性がある?
[良い点] こんなん泣くやん。 前の掲示板の時点でやばかったのに、こんなん泣くしかないですやん。 ちびちゃんは本当に、幸せ者ですねぇ。 もはや(最初から?)タイトル詐欺(褒め言葉)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ