表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/80

4


なんとかかんとかお店まで逃げて来た。

今はプライベート設定でキティのフレンド以外はこのお店に入れなくなっているから、ひとまずここまでくれば安全だろう。

……いつの間にお兄さんとフレンド交換したんだ。

抜け目ない。


お店の奥、私のゴロゴロスペースで集まっている私達。

お兄さんは終始気まずそうにしているし、キティはずっと怒っている。

そ、そんなに怒らなくてもいいじゃんか。



「考え無しに行動するのはやめてください。大体ユンはいつもそうです。あの時だって無策に私を庇って、本当にバカですかあなたは」


「ば、バカじゃないやいっ」


「バカじゃなければアホですか。全く、連れて来てどうするんですか。ログアウトをするなり、GMコールを使うなり、この人にも色々方法はあったでしょう」



……なるほど、気付かなかった。

ここに連れて来たことで、逆にお兄さんの立場が悪くなったりするのかな。

不安になってお兄さんに目を向ける。



「え、あ、その……」



なんだ、ただのコミュ障仲間か。

視線を泳がせるお兄さんへ、ついにキティの矛先が向いた。



「あなたもあなたですよ。全く、あの性悪女のギルドに潜入するなんて正気じゃありません」


「い、いや、その、ちびちゃんが危なくなった時、すぐに皆に知らせられるかなって……」


「重たすぎる彼氏ですか、あなたは。そんな事をしたってユンは喜びませんよ。第一、知らせたところで何か好転する訳でもないでしょう」


「き、キティ、言い過ぎだよ。お兄さんだって私の事を思って――」


「思った結果がこれじゃないですか。何の成果にもつながらない思いやりなんて意味がありません」


「ご、ごもっとも……」



シュンと小さくなるお兄さん。

キティは本当に、どんな相手でも物怖じせず自分の言いたいことをハッキリと伝えられる。

格好良いと思う反面、初めて私はキティに反骨精神を抱いてしまった。



「そ、そんな言い方ってないと思う。成果につながるかどうかが全てじゃないいよ」


「いいえ、全てです。頑張ったとか、精一杯やったとか、そんなの関係ありません。結果に繋がらなければ意味がないんです」


「……いや、その、俺もそう思う」



頭を掻きながら、お兄さんが口を開いた。

な、なんでそんなことを言うんだ。

庇っている私が馬鹿みたいじゃないか。

ジトッと見る私の目を見て、お兄さんは悔しそうに笑った。



「いや、前に怖がらせちまったからさ。罪滅ぼしじゃないけど、役に立ちたくて。でも、そっちの子が言う通りだよ。こうしてまた迷惑をかけちゃ、何の意味もないわな」


「全く、その通りです。このまま終われば全てが徒労です」



ツカツカとお兄さんに詰め寄るキティ。

キティはまるで不良の様にお兄さんの胸倉をつかみ、グッと自分の方へと引き寄せた。



「それが嫌なら協力してください。ここまで騒ぎが大きくなってきた以上、さっさとこの問題を片付けないと、おちおち店も開けません」



こうなった時のキティはすごく怖い。

それでも、キティなりの優しさだっていうのも分かる。

現に、落ち込んでいたお兄さんの顔にやる気が戻ったから。



「……素直じゃないなぁ」


「能天気なあんぽんたんは少し黙っててください」



ひ、酷い……。






お兄さんの名前はカリーというらしい。

ヒューマンの戦士で、普段は友達とパーティを組んでタンクをしているみたいだ。

ディナダンさんやデミグラスさんとは違って、純粋なタンク職。

気が弱そうなのに、良くできるなぁ。

そんなカリーさんを含めた私たち三人は、次の日からひたすら戦闘に使えそうなアイテムを買いそろえている。


キティが言うには、大きな戦争が起こるかもしれないという。

詳しい事は分からない。

けど、そんなに大げさな事なのだろうか。



「きびきび働いてください。休んでる暇なんてありません。時間は有限ですから」



どんどんと運ばれてくる素材たち。

それをひたすらポーションや爆破薬、劇毒薬へと変えていく。

目が回るような忙しい時間が、ここ数日ずっと続いている。



「き、キティ、本当にこれ、意味あるの?」


「当然です。あの性悪女の事ですから、きっと自分が有利な条件で喧嘩を吹っかけてくるに決まってます」


「……前から思ってたんだけど、キティとアリスさんって何かあったの?」



そう尋ねる私の言葉に、キティはピタリと動きを止める。

そしてゆっくりとこっちへ顔を向けて来た。

怖い怖い怖い。

ニコニコと笑ってるけど、後ろに般若の顔が見える。



「何もありませんよ」



何かあったんだ。

けど、それに触れ続ける勇気はない。

私は思わず目をそらした。

センセーが退屈そうにあくびをしている。

あぁ、癒し……。



「つ、追加、買って来たぞっ」



バタバタと駆けこんでくるカリーさん。

インベントリがいっぱいになるまで買い込んで、さらに木箱いっぱいにアイテム入れて、のっしのっしと歩いてくる。

怪獣みたい。



「そこへ置いてください。空の木箱へインベントリを移したら、もう一回行きましょう」


「合点!」


「バレてませんね?」


「言われた通り、常に顔は隠してるしNPCからしか買ってない。友達に声をかけられそうにもなったけど、ダッシュで逃げた」


「よろしい。その調子で働いてください」


「おうともさ!」



な、なんか仲良くなってるし……。

コミュ力お化けめ……。


ブックマークや評価ボタンをお願いします!

モチベーションを高めるために、ぜひ助けて下さい……_(:3 」∠)_


Twitter:@asn_naro

(https://twitter.com/asn_naro)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ