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2020.06.01 1話目
どうやらリッチーさんの召喚スキルはアンデッド系のモンスターを召喚するものらしい。
そしてそれはリッチーさんが必ずしも従えられるとは限らない。
リッチーさんよりも強いモンスターを召喚した場合、一定時間で裏切られてしまうようだ。
小悪鬼たちよりもギガたんの方が恐ろしく強かった。
盾で攻撃が通らない。
魔法の防御力も高過ぎる。
そもそもリッチーさんの闇魔法がほとんど通用しない。
私とセンセーで隙を作って、デミグラスさんに叩いてもらう。
それを何度も繰り返すしかなかった。
もちろん、長期戦ともなれば消耗も激しい。
デミグラスさんはHPが大分削られてしまい、私とセンセーはMPがもはや枯渇寸前。
呼び出した本人のリッチーさんは、何故かほとんど無傷のままぴんぴんしている。
納得がいかん。
「やー、ごめんごめん。ボク、リッチだからいけると思ったんだけどね!」
「スケルトンメイジがリッチを騙ってるだけだろうが」
「それは言うなっていっつも言ってるだろー!!」
ギリギリと歯を食いしばるリッチーさんは、やっぱり面白い。
なんだろう、普通ならもっと怒っても良い事をされてるはずなのに、何故だか怒る気になれない。
きっとリッチーさんの性格がそうさせているんだと思う。
羨ましい。
でも、それを真似したとしてもきっと上手くはいかないんだろう。
リッチーさんだからできる事であって、私には――
「ちびちゃんもそう思うでしょ!?」
「へぁいっ!?」
意識が遠くの方へ行っていた。
突然話を振られて、変な声が出てしまった。
絶対にからかわれる。
恐る恐るリッチーさんの方を見ると、ニタァっと笑っているのが良く分かる。
「へぁいっ!! これは流行る!! デスちゃん、これを今後ボクたちの挨拶にしようか!」
「ぜってーやだ。おら、先進むぞ」
「へぁいっ!!」
くそ、骸骨の癖に……。
表情筋も無いくせに、どうしてそんなに表情が豊かなんだよ。
表情豊かな骸骨なんて聞いたことない。
奥に進んでいくにつれて、徐々に雰囲気が変わっていった。
最初は洞窟の様な雰囲気だったのだけれど、徐々に神秘的な雰囲気へと変わっていく。
これは、水晶だろうか。
つららの様に綺麗な水晶が、いくつも天井から伸びていた。
ここまで敵との遭遇は無い。
けれど、油断はできない。
慎重に進まなければ、痛い目を見る事になる。
リッチーさんみたいに鼻歌を歌いながらスキップなんてできるはずがない。
大体、マジックユーザーなのになんで先頭を歩いてるんだろう。
『――神の子よ』
頭に直接響く、荘厳な声。
優しそうなシャルトスとは違う、もっと威厳のある声だ。
聞こえていたのは私だけではないらしく、リッチーさんやデミグラスさんも足を止めていた。
『あぁ、神の子よ。ようやく会えた。さぁ、こっちへ』
ボンヤリと光る魔法陣が目の前に現れる。
あの魔法陣には見覚えがあった。
シャルトスの神殿で私が踏み抜いた転移トラップ。
そこに乗れば、きっと声の主の所に行ける。
私が一歩踏み出そうとしたその時だった。
「よっしゃ任せろ!!」
意気揚々と転移トラップの上に乗るリッチーさん。
下から照らされるリッチーさんは神々しく照らされてはいるものの、転移トラップは一切発動しない。
やめて。
そんな目でこっちを見ないで。
面白過ぎる。
「まぁ、常識的に考えてアンデッドの俺らではねーだろ」
「えー、なんでよー。アンデッドは神様の子供にはなれないのかよー」
ぶつくさと文句を垂れるリッチーさんと、私の背中を乱暴に、でも優しく押してくれるデミグラスさん。
「俺が神なら、骸骨よりもちびちゃんみたいな子供が欲しいわ」
「それは間違いない。そいじゃ、ちびちゃん行ってらっしゃい。――お?」
「おぉ、来た来た」
私が転移トラップの魔法陣に乗ると同時に、奥の方から悪鬼が現れた。
今度は小さいサイズではない。
神殿で戦った、大きな悪鬼だ。
慌てて魔法陣から出ようとしたところで、二人の掌が私に向く。
「誰の心配してんだ、タコ。こういう楽しみがあるからダンジョンに潜ってるんだ。邪魔すんな」
「そーそー、ボクらの本職はこっちだからね。あんなやつ速攻でとっちめて、お帰りダンスを踊りながらちびちゃんを待つとするよ」
……なんと、頼もしい。
「す、すぐに帰ってきます!……っ、ま、負けないで――」
言い終わる前に、転移が始まってしまった。
転移される間際、親指を立てる二人の手が目に入る
あぁ、格好良い。
私もいつかはこんな風に。
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