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2020.05.31 2話目


図書館に来たのは格好良い騎士様だった。

物語に出てくるような、お姫様を格好良く護る騎士様。

顔が異様に白いことを除けば、乙女ゲームに出て来ても何らおかしくはない。

リッチーさんが言うには、"リビングデッド"と呼ばれる種族らしい。

名前はデミグラスさん。

美味しそう。



「で、何だって急に呼び出したんだよ」



不機嫌そうに話すデミグラスさんは、リッチーさんを不機嫌そうに見ている。

かく言うリッチーさんはそんなのどこ吹く風と言った感じでヒラヒラと踊っている。

この人、落ち着けないのかな。



「デスちゃん、ちびちゃんに会ってみたいって言ってたでしょ? だーから誘ってあげたんだよ。感謝して欲しいね」


「いや、確かに言ったけどよ。だからって急すぎんだろ」



デミグラスさんの視線がこちらへ向く。

怒られるのだろうか。

と思ったけれど、ビクビクと様子を伺う私にデミグラスさんも困っている様にも見える。



「おいおい、大丈夫かよ。アンデッド族が怖くて、良くネザーに居られるな」


「怖いのはデスちゃんの顔だけどね」


「あぁ?」


「ひょわーっ! その目は絶対に人を殺したことがある目よー!」



リッチーさんが言わんとしている事も分かる。

デミグラスさんは身体も大きいし、目つきも悪い。

どこか大型の肉食獣を思わされる見た目をしているのだ。

水龍の前に、デミグラスさんに頭からかじられそう。



「僕みたいに明るい表情を心がけてよ! ちびちゃんは臆病なんだぜ?」


「骸骨が何言ってんだ、このドアホ」


「そのツッコミ、しびれるねー」


「勝手に言ってろ。それで、どこ行くんだ?」


「西の湖。あそこの主様をしばきに行こうぜー」


「湖の主? 釣り竿居るか?」



これは私の夏休みか。






二人の関係性は絶妙だった。

リッチーさんはフワフワとしていて、とっても自由な人。

反対にデミグラスさんはカチッとしていて、浮足立つリッチーさんをしっかり制御してくれている。

かと思ったら、デミグラスさんが突然真顔でボケてリッチーさんがそれにツッコム。

お笑い芸人のやり取りを見ているようだった。


戦闘に関しても、流石の一言に尽きる。

背中に背負った大剣を振り回してヘイトを集めるデミグラスさん。

闇魔術を使って数をどんどん減らしていくリッチーさん。

道中で私のやることはほとんどなかった。

唯一のとりえと言えるポーションも、二人には一切使うことが出来ないし。

……あれ、私はこれ、何をすればいいんだ?



「おいおいちびちゃん、流石にさぼり過ぎだろ。何のためについて来たんだよ」


「ご、ごめなさい!!」


「い、いや、そんな謝るようなことじゃねーけど……」


「ふっふっふ、優しいリッチーさんが今の翻訳をしてあげよう。"ちびちゃん、さっきから何もさせてやれてないけど楽しめてるか?"だよ!」


「勝手な事言ってんじゃねーぞ骸骨」


「でも、間違ってないでしょー?」



……え、そうなの?

デミグラスさんの返事を待っても、それに言い返す様子は一切ない。

話は終わったと言わんばかりにズカズカと前に進んでいく。

こ、これは、男のツンデレ……!



「ね、デスちゃんって可愛いでしょ?」


「潰すぞ骸骨!!」


「おひょーっ! こわーい!」



確かに、可愛い。






そうしてたどり着いた湖。

相変わらず綺麗な湖は、言われてみれば神々しい気さえする。

ただ、ほんの少しだけ変化があった。



「……あれ」


「どしたの、ちびちゃん」


「や、薬草のクオリティが下がってて……」



湖の周りで採れる薬草は、決してクオリティの低い物ではなかった。

けれど、シャルトスの瞳が教えてくれる薬草は、どれもクオリティが落ちている。

すこぶる落ちているわけじゃないし、使えないわけじゃないけど。



「はっはーん、なるほどねー」


「な、何かわかるんですか?」


「いや、さっぱり!」



思わず足元の石に躓いた。

何がなるほどなのか、小一時間程問いただしたい。



「ちびちゃん、その骸骨とまともに付き合う必要ねーぞ。マジで適当な事しか言わねーから」


「な、なんだとー! ボクだって一生懸命考えてるんだぞ! 今日の晩御飯は何が良いかなーとか!」



プンプンと怒るリッチーさん。

本当に、この二人の遠慮が無いやり取りは見ていて気持ちがいい。

思わず気が緩んでしまう。


……どうでも良いけれど、骸骨姿のリッチーさんが歯を食いしばって怒ってるのはおもしろ過ぎる。


二人が喧嘩をしている隙をみて、私は魔女の知恵に聞いてみる。



「シャルトス、薬草のクオリティが下がってる原因は?」


『湖の神聖性が弱まっていることにより、この土地が少しずつネザーに染まりつつあります。その為、生息している薬草にも影響が出ているのでしょう』



神聖性が弱まっている?

かろうじてあったシャルトスの加護が失われつつあるからだろうか。

それって、つまり……。



「り、リッチーさん、デスちゃんさん、急ぎましょう……!」


「おぉ? おっけー!」


「誰がデスちゃんさんだ。俺にはデミグラスっていう美味しそうな名前があんだろうが」



湖を守護しているのは、きっと水龍だ。

水龍はシャルトスと仲良しだったから。

でも、その水龍に何かがあったのだとしたら、この状況も頷ける。

急がないと。

手遅れになったら、水龍に会えない。


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