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2020.05.18 3話目


すっごく驚いた。

後ろを振り返ってみた物が、私自身なんだもの。

オッドアイの左右が逆だったり、少し気の強そうな顔つきをしてること以外は、全くもって私そのもの。

けれど、シャルトスの瞳が教えてくれる。

目の前に居る彼女は、間違いなくセンセーだ。



「どういう状況か分からないけど、チャーンス!! シャドウブリット!!」



シャドウさんが再びシャドウブリットの連弾を私に向かって放つ。

ミストポーションの効果はすっかり切れた。

慌ててポーションを取り出そうとしたけれど、それよりも早くセンセーが動いた。


センセーがフンッと鼻で笑うと、辺りの気温が一気に低くなる。

ほんの少しだけ肌寒い。

それによって、私を中心に降っている雨がどんどんと凍っていく。


元々威力の低いシャドウブリットは、センセーが魔術をかけたいくつかの雨に当たるだけで消えてしまう。

雨は延々と降り注ぎ、寧ろどんどんとその強さを増していく。

結局、シャドウさんの放ったシャドウブリットは、全てその雨に阻まれた。



「う、うっそ、チートじゃんそんなの!!」



驚くシャドウさんを見て、センセーはニヤリと口元を吊り上げる。

うん、この雰囲気は間違いなくセンセーだ。

どうして私の姿をしているのかは分からない。

けれど、これは嬉しい誤算だ。



「せ、センセー! 一気に攻めよう!」



センセーは小さく頷いてくれた。

珍しく、いつもの面倒くさそうな表情ではない。

剣を構える私と、両手に回復ポーションの瓶を挟むセンセー。

なるほど、そう来たか。

私は慌てて左手に短杖を握る。


センセーは右手に3本、左手に4本、合計七本の回復ポーションをシャドウさんに向かって投げつける。

狙いは逸れても良い。

シャドウさんに当たらなくても良い。


私が短杖でなぞるのは、アクアミストの魔術。

地面に当たって割れた瓶は、辺りにポーションをばらまいた。

そこで、私の魔術が発動される。

ミストポーション。

いつもはセンセーがアクアミストを掛けてくれるけれど、センセーが使える魔術は私が使える物だけだ。

逆に言えば、私とセンセーの役割が入れ替わってもミストポーションは使える。


敵に向かっての回復行為は、基本発生しない。

けれど、今回の場合は別だ。

なぜならそれは、シャドウさんが"アンデッド族"だから。

アンデッド族は同族の覚える闇系の呪文でしかHPが回復されない。

その他の回復手段は、例外なく全てHPダメージへと変わってしまう。


センセーが投げたのは、きっと回復力の高いアーフルのポーション。

出し惜しみせず、きっと7本全てがアーフルのポーションだったのだろう。

……数少ないのに。

しかし、その効果はてき面だった。


アーフルの香りを纏った霧がシャドウさんを包み込む。

継続回復は、アンデッド族にとっては継続ダメージへと変わってしまう。

そして、ポーションの継続回復は全て上書きされていく。

私が持つ最大量の継続回復7本分が、全てダメージに変わってシャドウさんを襲った。



「ちょ、ちょっと、なにこれ!? 減り、えぐいんだけど!?」



みるみる内に減っていくシャドウさんのHPゲージ。

それに呼応する様に、彼女を包んでいた影が晴れていく。

その素顔は、少し勝気だけど可愛らしい女性だった。

やっぱり、おしりが大きい。


それが見えると同時に姿を現す、右胸に光る青いターゲットマーカー。

なるほど、通りで見えないと思った。

そういうケースもあるのか。

いまだ混乱するシャドウさんは、慌てて自分に回復呪文を掛けようとした。

行くなら今しかない。

そう思った。


地面を強く蹴り、一気にシャドウさんの懐に飛び込む。

少し間合いが近かったけれど、構わない。

右手に握った細剣を、腰のひねりを合わせて一気にシャドウさんの右胸に差し込んだ。

クリティカルダメージが、シャドウさんの使った回復呪文を帳消しにする。


その間も、ミストポーションによる継続ダメージは発生し続ける。

次の回復呪文を唱え切る前に、シャドウさんはHPゲージの全てを失った。



「く、くそーーー!! 覚えてろーーー!!」



シャドウさんの身体が光になって消えていく。

イベント中はデスペナルティが発生しない。

その代わりに、倒れたプレイヤーは自軍へと強制的に戻されて、一定時間が経たないと再び参加する事は出来ない。

レオノーラさんがどこまで本隊を進めているかは分からないけれど、きっとシャドウさんは実質リタイアになっただろう。



「センセー! ありが―――」



お礼を言おうと後ろを振り返る。

しかしそこに鏡写しの私はもう居なかった。

代わりに居たのは、びっくりする程に綺麗な猫。

いつもの様に面倒くさそうな顔をして、大きなあくびを漏らしていた。

全く、本当にふてぶてしい。


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― 新着の感想 ―
[良い点] センセイデレだ!!
[一言] 同日に複数話投稿するときは前書きで本日○話目って書いていただけると読み落としてるときに気付けるので助かります
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